第28話

グビッグビッグビッ


バキバキバキバキバキ……


「死ぬかと思った」


今回はマジで死んだと思った、体鍛えててよかった。


「対策として厚さ1mのコンクリの壁にネットで買った全身耐火服に耐火ジェルまで使っても全身火傷とか、生身でやってたら死んでたな」


『people's redemption 〜罪を狩る者達〜』の説明は以前少し説明をしたと思う。

このゲームはバイオ技術が発展した近未来でバイオ技術で生み出された生き物である『ミュータント』が制御不能に陥り人類が絶滅寸前まで追い込まれた為、対ミュータント討伐部隊『ケルベロス』に所属する主人公たちがミュータントを狩り人類生存権を確保しつつ人類の復興を目指す物語系の狩りゲーである。

ミュータントは細胞レベルで分解すれば肉体は武器や道具、建築材料や乗り物の材料にも使われる。血液は万能な液体でガソリンや薬、飲み水や化粧品にもなるため人類の発展には必要不可欠であると同時にミュータントは単体生殖と独自進化を繰り返すので討伐が進化を遂げる度に難しくなるという設定がある。

しかし人類も黙ってはいなく、対ミュータント兵器を開発する。それが対ミュータント兵器『稼働武器』、どんな進化を遂げようがミュータントに対して一定のダメージを与えられる稼働機構を内蔵した最終兵器である。

この稼働兵器には2種類あり『電気型』と『燃料型』に分かれる。

電気型は双斧のチョッパーみたいな特殊な乾電池で動き、継続的に一定のダメージを与える武器である。

燃料型は逆に一瞬の火力で相手を仕留めるをコンセプトに電池型よりも強力だが短期間しか動かない武器である。

今回の火柱の原因はこの燃料型に使う燃料、『低濃度血混バイオエタノール』が原因だ。

この燃料の主原料はトウモロコシ・モンスターの血・ごま油などで造るのだか他にも多少材料があるがそれの説明は省く。

そしてこの燃料は作品の中で車やヘリにも使われている燃料なので電池式もダンジョンで動いたので燃料型の燃料を使ったエンジンも動くかもしれないと思い作ったのである。

これが上手くいけば移動手段が手に入るだけではなく高火力の武器も製造できるのだ、是が非でも成功したい。

んで燃料を作ったからには試したくなるのが俺なので取り敢えず昔拾った原付のエンジンを一回検査して設計図を入手、エンジンをばらして魔石の粉を使い部品一つ一つを超パワーアップしてから再度組み立て、そして実験用のエンジンを準備した。

場所も中庭にして少し離れている場所には厚さ一メートルのコンクリートの壁を用意、昔にネットで買った鍛冶用の耐火ジェルと全身耐火服を着てエンジンを原付に戻して燃料とバッテリーを準備、後は遠隔でボタン一つでエンジンが掛る所まで準備した。

しかしいざ実験した瞬間、エンジン部分が一瞬も耐えられずに爆発。火柱が立ったのである。

しかも隠れていた俺まで巻きこまれたが俺は色々と準備していたのと肉体のスペックで何とか全身火傷と全身の毛が燃えた程度で済んだが服が焼けて気が付いたら生まれたての姿になっていた。

その後何とか建物の中に入り、用意していた麦茶味の回復薬αと魔石の粉を混ぜた市販の発毛剤で体と全身の毛が復活して今に至るわけである。


「しまった、忘れていた。あのゲームの乗り物は全部ミュータントの細胞でできているから頑丈で速度も安定性も異次元だったんだ。そりゃエンジンだけ強化しても耐えられるわけ…いや、エンジンから爆発したんだったわ」


予備に置いていた服を着ながら考える。

今の魔石での強化した鉄などではこの燃料には耐えられない、つまりはエンジンの強度問題を解決しなければ小型化したエンジンの設計図の武器も作れない。

とどのつまり今の現状、火力アップも移動手段もお手上げの状態になってしまったのである。


「どうしよう…」


俺はそう言いながら庭に戻る。

庭はまだ原付が置いてあった場所は焦げているがそれ以外は徐々に元に戻っていく。俺も知らなかったがどうやら自動で元に戻る機能もあったみたいだ。


「まだ片目のあいつともう一匹の解体も終わってないしチョッパーも噛まれた所がひびが入ってたから修理しなきゃいけない、後それとは別に『Monster Hand Live』で作らなきゃいけない武器や防具もある。やることが満載だね…」


俺はそう思いながらシャッターの方を見る。

あの空間は死体がそのまま放置されているが腐ることも匂いがきつくなることもない、何せ死体も素材として管理しているらしく何故かきちんと血が垂れない状態で保存されているのである。


「ま、くよくよ言っても変わらないか」


俺はそう言うと今度は『鍛冶 精密機器』の赤い扉に体ごと向く。


「小さな事からコツコツと、少しずつでも進まなきゃね」


俺はそう言いながら俺は歩き出した。腰どころか床に引きずるレベルまで伸びだ髪の毛を引きずりながら。




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