第26話

「マジかよ…中学生にコレはダメだろ…」


あの後急いでロッカーで着替えてからゲートでもろもろの審査が終わり、スキットルと武器のチョッパーを持ち帰り用の貸し出ししているGPSつきのアタッシュケースに分けて渡された。

どうやら申請を出した道具等は貸し出し用の奴に別に入れてまたダンジョンに行く際は貸出用の奴に追加分を入れてゲートでまた確認してもらうという形らしい。

後、防犯目的のためGPSがついており書類に記載されている住所とゲートのある場所以外はロックが外れない仕様になっているとも言っていた。

俺は両手にアタッシュケースを持ちながらゲートを急いで出てギルド系列の建物を目指した。


「あかん、目が痛くなって来た」


その後はスムーズに事を済ましてアタッシュケースを預け、貸し出し用の方のアタッシュケースを持って建物の入り口にある3台のATMの内の一台で今に至るのである。

そしてATMの画面に映っているのは…


『買取金額 522000円 (特例税 58000円)』


「中学生にポンっと渡す金額じゃねーよ、金銭感覚狂うわ」


どうやら俺は20代の初任給の倍くらいを今日一日で稼いでしまったらしい。


〜数十分後 自宅マンション〜


「ふう、やっと落ち着ける」


まさかの金額を稼いでしまったがお金は俺の銀行口座に振り込みのようなのでとりあえず自宅に帰宅することにした。

そして帰宅してから俺は父さんと叶に無事の連絡を入れたが未だどちらも返事がない。なのでとりあえず買取について調べることにしたのだ。

そして調べた感じわかったことは3つ、


⚪︎買取金額は原則銀行振り込みのみ、現金が欲しければ振り込みを確認してから下ろすしかない。

しかしATMは換金のみの操作の場合は無料で振り込み手数料もギルド持ちである。


⚪︎買取金額には特例税なるものがあり買取金額の一割が引かれる。


⚪︎買取金額で支払われる税金は特例税のみ、他の所得税など諸々の税金等は対象外であり支払い義務は発生しない。

そして如何なる場合でも国は特例税の増税はできない。


⚪︎パーティを組んで倒した素材は買取金額から税金が引かれた後にパーティの人数分に等しく分割、端数が出た場合のみその金額を現金で渡す。


という事らしい。

つまり俺は武器や薬など諸々バレたくないのでソロで狩ったからこの金額を稼いだらしい。


「ヴェロルの買取の満額は20万、そして素材は三匹分。そりゃあの金額になるわな」



因みにビックボアの買取の満額は10万円、理由は主に狩られるモンスターの代表で肉と皮が一度に大量に手に入る、しかし手に入ればすぐに消費されてしまう為需要と供給のバランスが取れているからこの値段らしい。

確かにビックボアの肉は昔から猪肉の代わりにスーパーで豚肉並みの安さで売られているし皮も防具や服などに使う為に必要だから安定して確保できるならこの値段は適正だと思う。

しかしヴェロルは違う。

基本的に凶暴性の高いモンスターの買取金額は高く設定されている。

そしてヴェロルは凶暴で更に複数で連携してくる為かなりの確率で切り傷などで傷だらけになった皮やボロボロになった爪などでも需要がある。

理由はヴェロルの素材で作った防具や武器はいわゆる一人前の証みたいな扱いらしく飛ぶように売れる為需要と供給が追いついていない為らしい。

しかし他の凶暴性の高いモンスターに比べて狩やすい為金額を抑えめにしているのも事実、実際に中層、つまり二層にいる凶暴性の高いモンスターは一番安い奴で満額170万と桁が違う。


「そう考えるとダンジョンで生計を立てている人がいてもおかしくないな」


まさにハイリスクハイリターンの言葉そのものだ。しかもギルドのホームページから受けられる依頼も買取と同じ法案が適用されるためマジで稼げる職として定着しているんだと思う。


「更にライブ配信すれば人気と名声、そして金が手に入る。

そりゃ死ぬ可能性があっても次の階層にいくわけだ」


今日だけでこの世界の常識にどれだけ驚かれた事だろう。


「だが、それがいいんだよね」


そう、それがいいのだ。

シンプルで一番簡単な狩りの理由だ、だからこそ気に入った。


「さて、そうで決まれば明日は稼いだ金額をどう使うか決めまし…


〜♩


…んお?」


俺が明日の予定について考えていると不意にスマホが鳴る、俺は急いで画面を確認した。


『着信 如月 叶』





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