第25話

ゴリッズシャッ…ピチッ…


「はあ、まだ仮定の段階だがポータルの範囲内なら拠点を展開できるのかもしれないな…でも助かった。お陰で解体ができる」


何故か展開できた拠点のおかげで何とか解体している、(解体場 分解 資材管理)と書かれたシャッターの中でだ。

死体は勝手に分解されないらしく自分で解体するのがこの部屋の仕様らしい。

解体された素材は自動で綺麗に処理され棚に陳列されるため解体した後の素材の処理工程がなくてとても便利だ。

それに解体に関しても『解体名人』のスキルがマジで優秀だ、何せ解体の際は死体に赤い点線が見えてその通りに刃を当てるだけでバターのように切れて解体がし易い。


「ヴェロルの買取素材は肉と内臓以外の全て、とりあえず三匹分でいいか」


モンスターの素材買取にはルールがあり、まず最初に言いたいのは素材の価格はモンスターごとに満額が設定されていると言う事だ。

そこから買取る解体された素材の良し悪しで価格が変化する仕様なのだ。

例えば皮で例えると傷ついた皮だとあまり使い道がないため安く買い叩かれるがあまり傷がついてない皮だと満額で買い取ってもらえる感じだ。

よって解体時の出来によって価格も変化してしまうので解体できる人はマジで需要がある。


「ま、俺は肉はいらないから魔石と内臓だけ保存すればいいか」


そして解体する人は捨てるものを持ち帰る権利が暗黙のルールとしてあるためそれで素材をちょろまかしてしまう人もいる為お抱えの解体師を雇う人もいる。


「うし、完了。あとはコレをこうして…」


俺は手早く三匹分の骨や爪を解体する。そして解体した皮でまとめてくるんで持ち上げた。


「コレでよし、残りの課題はまた今度だな」


まだ調べたい事や他に採掘などもしてみたかったがそれはまた今度でいい。


「んじゃ、帰りますか」


俺はそう言って拠点から出る。そしてキチンと霧になって霧散したのを確認してから余った肉を滝に投げる。こうすると滝の近くにいるモンスターが肉を食べてくれるのだ。そのあと全部の肉を処理した後軽く水で解体した時の返り血を洗い流してから帰還用ポータルに触る、そしてまた俺を謎の浮遊感が包み込んだのだった。



〜銀座駅内〜


「渉さん、初めてのご利用ですので説明させてもらいますね。こちらが持ち込まれた素材の買取情報が記録されたICカードになります。

こちらはギルド系列の建物に装備を返却した入り口近くにあるギルド系列銀行のATMにて換金ができますのでよろしくお願いします。

その際に身分確認もされますので誰かがカードを盗んで清算しようとしてもできない仕様となっていますので安心してください。

後…」


ダンジョンから帰ってきた俺は真っ先に購買の隣にある買取所に持って行く、すると受付に男性職員が出てきたので素材を渡してしばらく待つよう言われた。

そして数分たった今、俺は職員からICカードを受け取りながら説明を聞いていた。


「こちらが道具の申請書類になります。

持ち帰る道具と使った道具を書いて帰りのゲートで職員にお渡しください。

職員がアタッシュケースの中身と書かれた書類を確認してから持ち帰る道具を取り出した後にアタッシュケースにロックをかけますので。

それとボールペンはコレをお貸ししますので書き終わりましたら書類と一緒に渡しましたクリアファイルに書類を入れた後に窓際の回収ボックスに入れてください、なるべく持ち帰らないようお願いします

では、今日はお疲れさまでした」



職員は俺に更に紙を渡して説明してくれる、どうやらここで道具の申請をするらしくご丁寧にボールペンとプラスチック製のファイルまで貸してもらった。

その後職員さんは笑顔でそう言うと持ち場に帰っていく。


「…うし、長居は無用だ。さっさと書類を書いて換金して帰ろう」


俺はそう言うと俺と壁際に体を寄せる、周りを見てもさまざまな人が同じように書類を書いているのが目につく。


(そういえばヴェロルの素材って満額でいくらだっけ?)


ふとそう思った俺は書類を書き終わったと同時にスマホで価格を調べ始める、正直金額なんて気にせず解体したから気になってしまった。


「さてさておいくら万え…ッエ?マジで?」


そして俺は金額を知る。

はっきり言おう、やらかしたかもしれない。

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