第22話
噛みつき、ひっかき、尻尾の振りにによる薙ぎ払い。そして突進にジャンプからの奇襲
「おいおい、手負いなのにやるじゃん。燃えてきた、おらっ!」
『クッ!?』
片目だけなのに動きに曇りがない、俺は何とか隙を見つけて振り下ろしや横なぎをして攻撃はしているんだが全部かすり傷だ。
しかも見えていないであろう左側に回り込もうとしたら体を勢いよく回転させて右目でとらえてくる。
こいつは他の個体とは違うのかもしれない、何故なら…
『ギャ!』
「うお!?」
今も斧の横振りをよけてそのまま頭突きをかましてくる。そしてすぐに後ろに下がってなるべく距離を取ってこちらの様子をうかがっている。多分自分なりで片目での戦い方を理解しだしたんだろう。
「くそ、決定打に欠ける…」
俺は奴に対して決定打が打てずに体力だけが失われていく、それはお互い様らしくヴェロルの方も先ほどから息が荒い。
(そろそろ決めないと…!)
『…!、ガァッ!!』 ダッ
「ッ、逃がすか!」
俺がそう思っていた次の瞬間、急にヴェロルがバックステップで下がった。
先ほどまでの戦闘では見せなかった動きに逃げるのかと思い声を上げ双斧を背中まで振りかりながら前に出た、しかしこの時の俺は絶対に狩りたいと言う気持ちが先行して視界を狭めてしまったのだろう、
『クッ!』 バッ
「嘘だろ!?」
俺が振り下ろした瞬間にまさの横にステップ、そして俺の振り下ろし先にあるのは木、当然俺の双斧が木に突き刺さる。
ダンッ!
重い音がなり、木に深々と刃が刺さる。
「忘れていた、こいつの頭の良さを!?」
まさか片目がつぶれた状態で武器の双斧を封じる一手を出してきたことに動揺が走る。
この時まで俺はあいつを狩りたい気持ちで頭がいっぱいだった、しかしあいつは片目だが周りをよく見てこの手を見つけたのだ。確か誰かがこう言っていた「戦闘では冷静な奴が勝つ」と。
「くそっ」
双斧を抜こうとするがかなり深く入ったんだろう、中々ぬけない。
俺がもたもたしていると横腹に衝撃が走った。
「グハァッ!」
俺は吹っ飛ばされて少し遠い木にぶつかる。そして右目が赤く染まった。
「やべ、頭が切れたか」
『ギャオ!』
俺が視界が赤く染まった事に驚いているとアイツがゆっくりと歩いて近づいてくるのが視界に映る。
(やばい、武器は木にささ…あ)
俺は武器を探すが木に刺さっている事を思い出す。しかし俺の真横に双斧の片割れがあるではないか。
(確か俺が吹っ飛ばされた時に斧をつかんでいたから片方が運よく外れたのか!)
俺は急いで斧を拾う、そして考える。
(もしアレができなかったら…いや、考えるな。ぶっつけ本番でやるしかな、今までもそうじゃないか!)
俺は覚悟を決めポーチにある予備の電池のもう一本を取り出す。
「頼むぜ…」
俺はそう言いながら斧の機械っぽいデザインの一部をスライドする、そこにはちょうど単二の電池が入るくらいの大きさの穴があり俺は迷わずそこに電池を入れる。するとハンドガードで守られている部分の持ち手からカチッと音が鳴る。
俺はその音を聞くと急いでスライドしていた部分を戻す。準備が出来たと同時に影が俺を覆う。
そして目の前には大きく開かれた口。
「オラッ!」
俺は迷わず右手で斧を持ち左側から横なぎで斧を振るう…が、
『ギャブ!』 ガキンッ
奴の歯が俺の斧の刃を噛んで止めた、そしてミシミシと嫌な音が鳴り始める。どうやらこのまま噛んで壊す気なのだろう。
「おい」
だか、俺は冷静だ。血を流したからかもしれないが頭が冷たい。
だからこそ言える。
「教えてやるよ」
この狩りは、
「この武器の愛称が何故『ピザカッター』なのかをな」
俺の勝ちだ。
そして俺はハンドガードで守られている持ち手を思いっきり『捻る』。
ブロロロロロッ!!
ガリガリガリ
『ギァアアアアア!』
チョッパーの刃の代わりついていた丸鋸が音を立てて高速回転する。そして歯を砕き、ボロボロにした。
そう、これこそ『people's redemption』に登場する武器の特徴、『稼働機構』だ。
「うおおお!」
俺が捻るのやめると刃の回転も止まる。そして俺は驚いて開きっぱなしの奴の口の左の口角に丸鋸の刃を当てる。
「あばよ、そしてありがとう」
俺はそう言いながら持ち手をまた捻る、そして鳴り響くエンジン音と共に丸鋸が再度回転、そして…
ジョリリリリリリリリッ
俺が持ちながら奴の真後ろまで走り抜くとまるでピザを切るように口から尻尾まできれいな一閃がヴェロルの体に入る。そしてそこから大量の血が通った後から吹き出てそのまま右に倒れた。
「……勝った」
俺は振り返り奴を見る、出血量的に見て死んだのは間違いないだろう。そして俺はまた死体の数を数える為にまた反対側を向く。
「1、2、3、4…」
離れているが向こうには確かに止めを刺した4匹がいる。そして俺はまた振り替える。
「…5…」
5匹、5匹いる。そして俺を襲った数も5匹だ。
「……」
俺は頭から流れる血を無視してその場で空を見上げる。木々の葉っぱから少し見える空の色が今はとても綺麗に思えて仕方がなかった。
こうして俺の初めての狩りが幕を閉じたのであった。
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どうも、作者です。ここまで読んでいだだきありがとうございます。
実はこの初戦闘がここまでの話数がかかるとは自分も想定しておらず困惑しています。
と言うのも自分は戦闘描写や解説などはしっかりと書きたい癖がありましてここまで長い話になってしまいました。本当にすみませんでした。
もしよろしければ誤字や脱字などがありましたら是非教えてください。分かり次第直していきます。
では、こんな作品ですか今後ともよろしくお願いします。
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