第14話

~二年後 東京 荒川区 7月24日 ~


引っ越し宣言からに東京入りして2年経過した俺、東京では思うように廃品が手に入らなかったので安いスクラップを求めて秋葉原などを中心に店を巡ったり車に気を付けながらランニングやトレーニングをしていた日々でした。

そんなこんなで今の俺も気が付けば中学1年生、ここ荒神中学に入学してしばらくたった頃だ。

今の俺は肩まで伸ばした髪の毛を縛らずに放置しているため一目で陰キャだと断定される格好になっている、正直髪の毛は縛れば前が見れるので問題ないから浮いたお金はスクラップの購入に使っているので決して髪を切るのがめんどくさいとかは思ってない。

ホントダヨ…

更に俺は図書委員以外のクラブには所属していない、完全に陰キャ道一直線の状態だ。

そして現在、俺は放課後で今は帰宅するために鞄に筆記用具などを仕舞っている最中だ。


(あと8日…8日経てば…)


俺がそう思いながら道具を仕舞っていると、


「うーす、今日も近寄るなオーラ半端ないなお前」


俺に声をかけてくる人物がきた。

この声の主に顔を向けるとそこにいたのは茶髪でオールバックのイケメン、身長も174cmくらいあるし体も程よくがっちりしている男がいた。


「おう、叶か。…てかだれが近寄るなオーラ半端ないだよ。むしろ俺はお話ウェルカムなんだが?」


この人物は『如月 叶』、ジョブは『侍』でスキルも結構いいらしくクラスの人格者的存在だ。


「いや、平均な身長で陰キャスタイルなのに脱ぐと体は格闘家も顔負けレベルだろお前、正直怖いし俺以外の奴がお前に話しかける時は若干ビビってるんだぞ。

知ってるか?この前の体力テストの時に陰でお前の事をバカにしていた奴らが全員お前の身体能力と筋肉を見てガチビビりしたんだぜw」


「何それ初耳」


どうやら鍛え過ぎた体が原因みたいらしい。確かにいわれてみれば今の俺は身長も体つきも平均的だが脱ぐと筋肉が凄まじい。お腹は8パックに割れているし腕も含めた全身の筋肉はなんか先生曰く『もはやゴリラだろお前』と言われ肉体に作用するスキル持ちか疑われたほどだ。足の速さや瞬発力もやばいらしく詳しく調べてもらったらどうやら俺は筋肉の密度が凄まじいらしい。おかげで体力テストは学年1位を取った。


(いや、ただ運動後のプロテインなどの飲み物に魔石の粉を溶かして飲んでいるだけなんだよなー)


前にも言ったが魔石の粉は汎用性の塊だ。ドリンク混ぜればミネラルなどの吸収率も高くなる、まじで万能な粉なのだ。


(もしかして魔石自体に何か知らない作用があるのかな…)


正直分からないから帰ってから調べてもいいかもしれない、そう思いにふけっていると…


「おーい、渉。聞こえてるー?」


叶が話しかけてくるのに気が付いた。


「…すまん、気が付かなかった」


「おう、謝ればよし。んじゃ一緒に帰ろうぜ!」


叶がそう言うと後ろを向いて教室から出ようとする。俺は急いで鞄に物を詰め叶の後を追った。


~帰宅中~


「……でよ、剣道部の顧問が今からでも遅くないから剣道部に入れって言うんだよ。ひどくね?」


「それはお前のジョブが『侍』で体もがっちりしてるのが原因だろ」


「勘弁してくれよ。俺の夢はダンジョン配信者だぞ?」


「いや、夢が物騒で草」


俺たち二人は下校している途中にある自販機の前に自転車を置き、ジュースを買って飲みながら楽しく会話する。

正直前の世界じゃあまりこういう体験はできなかったため新鮮で面白い。

そして叶が飲んでいたジュースの缶をゴミ箱に入れてこちらに振り替える。


「なあ、本題に入るがお前は夏休みどうするの?」


叶は先ほどのふざけた顔から真剣な顔に変わる。これは多分ふざけてはいけない、そう理解した俺はジュースを一気飲みして真剣な顔を作る。


「俺は銀座にいく、叶は?」


「俺は日本橋だな……やっぱり考えは変わらないんだな?」


俺が夏休みの目標を言うと叶は少し悲しそうな顔を浮かべながら更に質問をしてきた。


「ああ、変わらない。せっかく1年前に憲法が改正されたんだ、これを生かすっきゃないよ」


「渉……」


叶の顔が更に険しくなる。無理もない、俺が挑もうとしていることは…


「大丈夫だよ叶、たとえジョブが『職人』の俺でも安全を第一に考えればダンジョンに挑めるって」


下手したら死にに行くようなものだからである。






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