第11話
~8月16日~
~♪~♪
ガリガリガリガリ…
お宝(不法投棄された物)を無事に回収後に下山、近くのコンビニに止めてあった自転車で帰宅した。
どうやら俺の『地図』スキルは一度その場所を訪れたり写真などで見た場所ならどう行けばいいか理解できるらしく行きは探しながら登っていたため大変だったが帰りはスムーズに下山できた。
あの時の職員の人が俺のスキルが欲しいって言っていたのも頷ける。
しかし帰宅した夜に俺は父さんに夏休みの宿題が遅れ気味なのを指摘されたため急遽予定を変更し次の日1日を使って日記以外を終わらした。
そのため今日は朝早くに家近くの河川敷付の橋の下に移動。
そこには俺が拾ってきて地面に設置した不自然なドアが置いてありドアを開けスキルを発動し今は拠点に来た。因みにこの場合は扉に触れてる部分の地面だけが拠点に繋がるようになるらしく、扉を閉めれば開けない限りただのドアのゴミとしか見えなくなるのだ。何度も検証したため間違いない。
そして今何をやっているかと言うと『製薬 検査』の扉の中で魔石を粉状になるまで砕き、すり潰している。
この部屋の内装は全体的に真っ白で部屋の壁側に大量のガラスで出来た人が余裕で3人は入れる筒が金属製パーツで固定されているくらいしか特徴がない部屋だ。
しかしこの部屋はどうやら俺がコレを作りたいと思ったら地面がせり上がり、作りたいと思った物に必要な設備に変形して制作可能にしてくれる、非常にありがたい部屋だ。
後、部屋のガラスの筒はどうやらアレの中で検査しているらしくまるでSFみたいに金属性のパーツからアームや細い管みたいなのが出てあの中で検査しているのを俺は見た。
そして俺が今何故この部屋で魔石を粉状にしているかというとそうしないといけない理由がある。
「魔石を粉状にしないと他の物にも転用ができないんなんだよね」
魔石はそのままの状態だとただの石なのだが、粉砕し粉状にすると汎用性の塊に変化する。
薬の材料として使えば何故か飲んだ瞬間に薬の効果が現れてしかも薬の効果も段違いに強くなり副作用もない。
製鉄時に使用すれば屑鉄が合金レベルにパワーアップするし製糸の時にこの粉を溶かした水に糸を漬けておくだけで重さそのままでカーボンワイヤー並の強度になる。
もはや狩り武器や防具制作、罠の制作だけではなく薬にも転用可能である魔石の粉は俺の必需品と言ってもいい存在なのだ。
「〜♩」
そのため今は部屋が変化してできた椅子に座り部屋が魔石を砕くために変化した機械を時々眺めながら俺は設計図を読んで時間を潰している訳である。
「初めはやはり作りが簡単な『Monster Hand Live』の初期武器である片手剣から作ろうかな〜?
でも俺はもっぱら狩りゲーでガードしなかったから回避中心でいきたいんだよな〜、そう考えると『people's redemption』の初期武器のチョッパーになるが作るのが複雑なんだよな〜。
それにチョッパーはアレが使えるか分からないしな〜」
俺が設計図を見ながらそうぼやいていると…
〜♩〜……ジジッ…
「ん?」
俺が床に置いてある気分転換に適当な番組を流していたポータブルTVが砂嵐をあげ始める。
「これって…」
俺が設計図から目線を逸らしTVに顔を向ける。すると砂嵐が晴れていき鮮明な画面が映し出されていく。ただし映し出された画面は先ほどの番組ではなく…
「…雷門」
東京は浅草にある雷門、それが映し出されたのだ。
しかしそれだけではなく雷門にある雷神様の像の前にあるダンジョンの入り口である黒い板に画面が近づいて行く。
「…」
ギリギリまで近づくと画面が暗転、次に映し出されたのは…
『…は!?こ…ここが噂の禁層か!?リスナーの皆さん!とうとう俺は禁層に到着しました!!』
岩肌が目立つ大地に立っている中世の騎士が持っていそうな盾と槍が特徴的な全身フルプレートアーマーで身を守る人物がスマホを装着されたドローンに話しかけている光景だった。
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