第6話

「え?…ええ?」


振り返ったら非常識な光景。正直頭を打ちすぎて幻覚を見ているかと思った。しかし俺は頭の痛みでこの光景が現実であると強制的に理解してしまう。

だからだろうか、余計に混乱してしまい声も出ない。


(ちょっとまて、冷静に考えろ。目の前の光景を理解しろ俺!)


俺は目の前の光景に目を凝らす。後ろは俺の家の壁や天井があるが前を見たら一目で古いと感じる建物、湖に夜空があり……湖に建物……あれ?何か引っかかるような……


「…そもそもこの光景は実体があるのか?」


俺は取り敢えず考えていた事を一旦放棄して目の前の光景に向かって歩く、正直部屋着で靴下しか履いていなかったが気にせずただただ歩く。

歩く度に足の裏に感じる土の感覚に肌を撫でる程度の風、つまり…


「マジかよ、これ実体がある」


正直理解が追いつかない俺は取り敢えず建物の方に歩く、もしかしたら建物に情報があるかも知れないからだ。


「改めて見ても古いが敷地面積が広すぎる上に建物もでっか!こんな建物は外国でしか見た事ないって!!」


俺が建物の敷地に入って直ぐに思った事はズバリこれだ。湖をバックに教会風の建物が映える映える、正直ここで写真を撮ってアップしたらバズる事は間違いないくらいの光景が目の前に映っているのである。正直興奮物だ。


「……取り敢えず建物の中に入ってみるか」


俺は目の前の光景に一旦区切りをつけて建物のでかい両開きの扉に手をかける。少し力を入れて手前に引くと鍵がかかっていないのかゆっくりと開いていく。


(鍵はかかってないとか……本当に廃墟かもな……)


「お、お邪魔しまーす」


ギィィ…と扉を開ける、そこには…


「…いや、マジで何これ?」


俺は目の前の光景に正直困惑してしまった。

建物はどうやらマジで教会みたいに天井が高い平家みたいな感じの作りだ。

見た感じ部屋はこの場所を含めて奥の方に扉が四つ、部屋はランタンで所どころ光源があるため以外と明るい。何より…


「いや、違和感ありすぎだわ。何で部屋の真ん中にソファーと机はギリ分かるがなんでソファーの後ろに所どころ壊れている石像があるんだよ、正直怖いわ」


部屋の真ん中の位置にソファーがありソファーの前にはランタンが置かれた机、極め付けはソファーの後ろに顔と両腕がない石像が置かれていると言う謎の配置。

正直に言おう、情報過多だ。


「おいおい。教会じゃなくていきなり謎配置の家具がある建物と外は湖、情報が多すぎてきつくなっ……てあれ?」


俺は頭を抱えそうになるがふと思いだす。

湖に建物、この状況を生み出せる不思議な力にめちゃくちゃ心当たりがある。


「もしかして、これが『湖岸の古びた狩人の拠点』なのか…?」


そう、今日検査して出てきた俺にしか見えていなかった謎スキルである『湖岸の古びた狩人の拠点』、今の外の風景や古びた建物はあの文章にピッタリ当てはまる


「つまりここが拠点って事か…」


まさか空間ごと変化させて拠点を出すスキルとは思わなったので面くらってしまう。


(とっ取り敢えず目の前のソファーに座ろう。一旦落ち着いて考えよう)


俺はそう決めると部屋の真ん中のソファーに向かって歩く、しかし…


「っ!?」


俺の目はソファーから外れてその前の机に釘付けになる。何故なら…



『Monster Hand Live』


『people's redemption 〜罪を狩る者達〜』



目の前には俺の求めていた狩ゲーの名前が書かれている本が置かれていたのだから。

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