第2話 太一から声をかけられて……
毎日続いていたLINEのやりとりは気まずくなって、バレンタインデーから止まってしまった。でも太一君の受験前日に「頑張って!」というリスのスタンプを送った。
既読がつかなくて送ったことを後悔し始めたころ、「ありがとう!」とスタンプが送られてきた。太一君が受験前日で緊張しているはずなのに、余計なことをしちゃったかなと何度も思ってしまった。だから入試が終わっても連絡することができなかった。
結局卒業式を迎えてしまった。茉奈はずっと私を唆していたけど、太一君は友達に囲まれていてずっと話しかけることができないまま、担任の先生からありがたい言葉を聞く時間が始まった。バレンタインにチョコレートを渡せただけで充分だったんだ。あまり高望みしちゃいけない。
茉奈と一緒に廊下に出たとき、「北岸さん」という声がした。ぎしぎしと体を軋ませながら振り向くと太一君が一人で立っていた。
「バレンタインのお返ししたいからホワイトデーの日、高校の近くの公園に来れる?」
「う、うん……」
「よかった! じゃあね」
太一君が教室に戻っていくと、男子たちのからかう声が聞こえてきた。耳と顔が熱くなる。
「涼音! ついに、告白されるんじゃないの?」
茉奈は私の横腹をつつきながら言ってきた。それに対して私はどう言い返したか覚えていない。
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