第77話♡:サキュバスの巣5

◆◆◆◆


 手足が重だるくて指先すら動かすことが出来ない。


 下半身は萎えさせている分けではなく、出しすぎて全く立たない。私の脳が、”これ以上はまずい”と危険信号を送っているのだろう。


 今日、私は生まれて初めて、脳が命の危険を発する程の快楽を受けた。


 私の首に腕を回して身体を密着させていたアリスが、身体を起こしニヤリと嘲笑う。


 そして私のアソコから自身の下半身を外して私の顔の前に見せた。彼女のアソコは、私が出した白濁液が奥から垂れており、まるで噴火したマグマのようだった。


 自分でもよくこれ程の量を出せた……いや、よくこれほどの量が、私の睾丸に蓄積されていたと驚いてしまう。


 そして、これほどの量の精液を経った10分足らずで放出したことを目の当たりにして、自分の身体が心配になる。


 ようやく、白濁液の噴火が落ち着いたアソコを私のアソコに再びこすりつけながら彼女は話を始めた。


「私の勝ちで良いかしら?」


「ああ、私の完敗だよ。」


 この勝負は冷静に考えれば、始まる前から勝敗がわかっていたのだ。


 剣の達人と、数回だけ剣術の稽古を行った素人剣士が戦えば、数秒と経たない内に素人剣士が敗れてしまうだろう。


 それと同じで、性技の達人である彼女からすれば、性交経験が片手で数えるほどしか無い私など童貞同然であり、私のことをイかせるなど造作もないことだったのだ。

 

「そう、じゃあ約束通り、これから2週間、私の付き人になってもらうわ。貴方はこの部屋の中で、家事全般を行って貰うことと、私の身の回りの世話をしてもらうわ。詳しい内容は明日話すから、今日はもう寝ちゃいなさい。」


 そして彼女は私の上から立ち上がり、バスローブだけを身に付けて部屋を出た。


 私は、目を開けていることすら気だるいため、そっと目を閉じた。


◆◆◆◆


 ――約10分前――


 私はアリスに手を引かれながら4階まで階段を登った。


 4階は他のフロアとは明らかに異なっており、廊下の幅は2人がようやくすれ違える程度の狭さだが、床には金色の豪華な刺繍の施された絨毯が敷かれ、美しい模様が掘られた豪華な扉が一定の間隔で設置されている。


 彼女は奥から2番目の扉に入り、キングサイズのベッドに腰をかけた。私もつられて、彼女のとなりに腰を下ろす。


「貴方から観て、ミリアさんはどのような女性に見えるのかしら?」


「しっかりもので頑張り屋――いつも、ハウスメイドとして働きながら、ギルド職員としての仕事もこなしています。それに人とのコミュニケーションの取り方も上手い。遠すぎず、かといって踏み込みすぎない絶妙なコミュニケーションに”あの”器量なので、冒険者達の間で彼女のファンも多いですよ。ただ、張り詰めすぎているように見えるので、少しだけ、どこかで緩めて欲しいと思っていますね。」


「貴方、ミリアさんのことをしっかりと観ているのね。貴方の言う通り、彼女は張り詰めすぎてしまうことがあるわ。不安や心配事があると、その分頑張ってしまうタイプなの。だから、貴方が彼女のことを安心させてあげなさい。」


 時計を見ると、この部屋に入ってからすでに2分程度経過していた。つまり後8分我慢をすれば良い。


 そんなことを考えていると、私の手にアリスの手が重なり、ゆっくりと指を絡める。


「まあ、ここから無事に帰ることが出来たら……の話なんですけれどね。」


 そう話した瞬間、ベッドの上に押し倒されのしかかられた。


 片手は恋人繋ぎでもう片腕は手首をガッチリとホールドされている。そして、私の腿と腿の間に身体を滑り込まされて、足を閉じることが出来ない。


 歯を食いしばり唇を一文字に結ぶが、彼女はその上からキスをする。強引に舌をねじ込むわけでも、吸い付くわけでもない。初めて行為を行う相手の不安を解きほぐすような優しい口付け。


 思えば私を押し倒すときも、のしかかるときも、彼女は優しく私のことを包み込むような所作だった。


 彼女はキスを続けたまま、私の手首から手を離して私のズボンをパンツごと摺り下げる。


 彼女は、少しだけ血流が回った私のアソコに指を這わせ、何かを確信したようにニヤリと嘲笑うと顔を上げた。


 彼女は私の目をジッと見つめる。その表情は、恋に落ちた生娘のような可愛らしさと、今から愛する旦那と念願の子作りを行う美人妻のような色気が混在しており、彼女の瞳から目を逸らすことが出来ない。


「私は今、セツナ様のことを誰よりも愛しております。今この瞬間であれば、ミリアよりも誰よりも、私が世界で一番セツナ様のことを愛しております。もう抑えきれないくらい……。だからセツナ様も、今だけは私のことを愛して下さい。でなければ……。」


 部屋中の空気が淫靡なものへと変わるような錯覚に陥った。


 その瞳は先程のような可愛らしいものではなく、蠱惑的に微笑んでおり、襲いかかる寸前の肉食獣のような威圧感がある。


 色気に充てられて、7分立ち程度に硬くなった息子の上に、今すぐにでも咥えこんでしまいそうな蜜壺が、よだれを垂らしながら待ち構えていた。


「でなければ、レイプになってしまいます。」


 話し終わった瞬間、下半身に、我慢をすることすら忘れてしまうような――優しくも暴力的な快楽を流し込まれ、自分でも聞いたことのないような――初体験時の女子のような声が自分の喉から出ていた。


 しかし、その声すら包み込むように、彼女の唇が私の唇を塞ぐ。


 首筋に腕を回され、身動き1つ取れない状況で、ただただ与えられる暴力的な快楽の前に、身体を震わせることしか出来なかった。

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