第6話 命に替えても


 俺とノノアの出会いは教室の隣の席という平凡で在り来りなものだった。


 一番最初の周回。

 周回とすら言え無かった、まだ神様の存在も知らない最初の俺。

 入学式代表挨拶を終え、昼食までの空き時間に俺は一人教室に来ていた。

 特にやることも無く話す相手も居なく、手持無沙汰にここに来た。

 時間はまだ少し余裕があって、昼食の時間までは結構な空き時間があった。

 けれど、結構同じ考えの人も少なくは無くて人は居た。

 チラホラ話す人は居て、何となくそれを羨ましそうに俺は見てた。

 だから、最初声をかけてくれたのは彼女の方からだった。


「君首席の人だよね! 凄いね!」


 隣からの声に視線を向けると、白い髪のすごく可愛らしい子が満面の笑みを浮かべていた。

 最初は当然驚いたが、緊張しながらも有難いとその後普通に世間話をする。

 向こうがよろしくねと言って、俺も当たり障りなくよろしくと返した。

 一番最初の始まりは、本当にその程度の在り来りな出会いだったと思う。

 それでも、その時の彼女の笑顔は何故か今でも思い出せた。



 一度目の周回が終わって、神様と出会った。

 勇者とか魔王とか訳の分からない事を言われて、困惑しながらも俺は結局その運命を受け入れた。

 頭の中はベリアルの事で一杯で、そのせいで代表挨拶も失敗してしまった。

 けれど、そんな事を気にしている暇もなかった。

 教室に行って、席に座って。

 空いた時間でベリアルの対策を必死で考えた。

 すると、隣から声がかかる。


「君首席の人だよね! 凄いね!」


 多分、前回と全く同じ言葉だった。

 生徒会の人達とも話したからわかってはいたけれど、記憶を保持しているのはやはり自分だけだった。

 俺はこの状態を少しばかり気味悪く思っていた。

 それに、今はベリアルの事を考える時間が欲しかったから。

 だから俺は一言。

 悪い。とだけ言って前を向いた。

 それ以上彼女は何も言って来なかった。

 二度目の周回は、それ以降一度も会話をしなかった。



 数千回目の周回。

 俺はやっとベリアルを倒す事が出来た。

 それでも倒せたというだけで、被害も殆ど抑えられなかったし人も大勢死んでしまった。

 喜んでいいのかどうかも分からない様な惨劇の中で、周りからは俺が勇者なのではと賞賛の声が上がっていた。

 それを見て、ひとまず俺はこの進歩を喜ぶ事にした。

 失った人達は、また次以降の周回で救えばいいだろうと思った。

 そう思わないと、正直やっていられない程には学園も皆もボロボロの辛勝だった。

 そして復興作業の目処がついて、ひと月ほど立ってようやく授業が再開される。

 そして教室に入った俺に飛び交う賞賛とお礼の声。

 俺はその事をむず痒く思いながらも、実際死ぬ程頑張ったのだから今だけはと真っ直ぐそれを受け止めた。

 そして、自分の席に座って。

 隣の席は空席だった。

 ああ、そうなのかと俺は思った。

 よく見れば、教室の席は半分以上が空いていた。

 


 それから更に何千回目の周回。

 十二月に来る二度目の襲来に為す術なく死に続け、それでもベリアルの襲来だけは回をこなす毎に手慣れてきた。

 どうすれば人が死ななくて済むのか。

 どうすれば最速でベリアルを退けられるのか。

 試行錯誤の連続。

 人が死んだり死ななかったり、一人を助ければもう一人が死んだり。

 正直、疲れる。


「あ、あのっ!」


 項垂れていると、隣の席から声がかかった。

 そう言えばと思う。隣の席の彼女が第一次進行を生き残れたのは、今回が初めての事かも知れなかった。

 足が瓦礫に挟まれ魔獣に襲われているこの子を見つけて、見捨てる理由もなく普通に助けた。

 そしたら、何故か放課後校舎裏に呼び出された。

 初めての経験に疲弊した心で、まさか果たし合いかと当時の俺は馬鹿みたいな事を本気で考えたりした。


「わ、私とっ、付き合って頂けませんかっ……!!」


 そんな言葉に、俺はただただ棒立ちする。

 何千回という時を経て、俺はいつしか恋愛というものの存在すら忘れていた。

 昨夜書いてきたという便箋三枚に綴られた俺への思いを読み上げながら、チラチラとこちらを見てくる少女。

 俺はどうしようかと黙って考えた。

 そしてその時間が長い程、彼女の顔は不安と涙で埋め尽くされた。


「だ、だめ……?」


 その顔を見て、何となく泣いて欲しくないと思った。

 それで、まあ一周くらいならいいかと俺は彼女、ノノアと付き合う事にした。

 正直心は大分疲弊していて少しでいいから癒しが欲しかったのもある。

 了承の言葉に彼女は驚き目を見開いて、何故か余計に泣き出してあやそうとすると抱きついてきた。

 結構積極的な子なんだなと、この時俺は初めて知った。

 でもその程度の、この周回キリの関係だと内心思った。

 そして十二月の襲来で、俺は初めて経験することになる。

 大事な人が死ぬという、今まで一度も無かった地獄の様な絶望を。



 その次の周回でも、ノノアは俺に告白した。

 その次も、そのまた次も俺が助ける内は必ずと言っていい程告白してきた。

 最初の内は、俺と居ると危険な目に合うと思って心を鬼にして断った。

 けど、その内直ぐに俺の心が彼女を求め始めてしまう。

 何千回の内のたったの一周で、俺は彼女に心を奪われていた。

 それからは、彼女と一緒に聖夜を乗り越えるというタスクを勝手に追加して挑んだ。

 その分時間も取られるし、本気でやるならあまり良くないとは直ぐに分かった。

 けど、其れこそいくらでもやり直せるのだからと俺は思う。

 最後には必ず笑えるのだから、その隣には彼女がいて欲しいと思った。




 ????回目の周回。


 赤く染まった雪。

 ほぼ全壊したルフレ魔術学園。

 俺は荒い息を吐きながら、肘から先を失った右手を抑えながら死体の間を走っていた。


「……はァ……はァ……ぐっ……、はァ……!」


 今回も、駄目だった。

 何回やっても駄目だった。

 そもそも前提が間違っている様な気がして、俺はただ走ることしか出来なかった。

 雪が赤く染って、それを隠すように雪がまた積もる。

 その上にまた新しく血の線を走らせながら、俺はただ第二の悪魔から逃げる事しか出来なかった。


「はァ、はァ……!」

「──あっ、きゃあ!?」


 すると、急に影から飛び出して来たノノアとぶつかった。

 俺は重心がいつもと違う事も相まって、元々体感の弱いノノアとそのまま二人で倒れ込む。

 雪が冷たくて、けどノノアの体は暖かくて、痛いのに癒されて、もう感情がぐちゃぐちゃだった。

 けれど、一秒だってそんな時間はなくて、俺は直ぐに起き上がった。


「ノノア、何で……っ!?」


 彼女は、シェルターに無理やり押し込んだ筈だった。

 彼女と同じ保健委員の子に監視を頼んで、戦場から離れてもらっても性懲りも無く彼女はそこから抜け出した。

 俺は、その事に強く苛立ちを覚える。

 けれど、彼女は俺の気なんて少しも知らない。

 周回を生きる俺と違って、彼女はいつもその世界に全力だった。


「ユーロ、一緒に逃げよう!?」

「逃げるって、何処に……!!」

「スプレンドーレでもグレンツェンでも、何処でも! ユーロが居てくれたら、ユーロが居てくれないと私……っ!」


 彼女は泣きながら、必死に俺の右手に回復魔法を掛けた。

 欠損を治せるような力は彼女には無くて、その事実に他でもない彼女が今一番苦しんでいた。

 しかしそんな事をしても意味は無いと、俺は彼女の腕をとる。

 それを拒絶のように感じたのか、ノノアは酷く怯えた表情を見せた。


「逃げない……俺は、勇者だから」

「勇者でもユーロはユーロだよ゛っ! お願いだから無茶しないでぇっ……!」


 俺を抱きしめる彼女に、俺はもうどうすればいいのか分からなくて。

 これまでにも、何度も何度も繰り返して来て。

 正直、もう。

 こうして彼女と過ごす時間よりも、彼女と別れる辛さが周回の度に積もっていた。


『みーつけた』


「…………っ!」

「きゃあ!?」


 背後に迫る、第二の悪魔。

 すぐ殺せば済むはずなのに、それをしない屑みたいな悪魔。

 まるで鬼ごっこを楽しんでいるかのように、無邪気に致命傷にならない攻撃ばかりを俺に向けてこの戦いを楽しんでいた。


『ほらほら、逃げろ! 死んじゃうぞー!』


「くそ……ッ!」

「ユーロっ、私走れる!!」


 そうは言うが、それでも俺が抱えた方がまだ幾らか早かった。

 魔法を封じられてただの人間になってしまった俺だが、そうなる事を分かっていたのでやわな鍛え方はしていない。

 右へ左へ、攻撃を避けながら遮蔽を意識して駆け回る。

 けれど、ふと思う。この行為に何か意味があるのだろうかと。

 どの道やり直すこの世界で、俺は一体何に縋って生きているのだろうと。


『シャープダーク』


「──ごふっ……」

「ユーロっ!!!」


『大当たりーっ!』


 背中に圧縮された闇魔法が当たって、深く肺を傷つけた。

 俺はノノアを巻き込んで倒れ込み、雪とノノアを赤く濡らした。


『ほらオカワリだ!』


 悪魔が、百はくだらない闇の魔法を並べ立てる。

 それを防ぐ術も、生き残る手段ももう無かった。

 助けてくれそうな人も既にみんな死んでいた。

 俺は這いずって、ノノアだけは守る為にその上に覆いかぶさった。


『デッド・ディア・ルフレ!!』


 無数の魔法が俺の背中に直撃する。

 一撃一撃の威力が調整された、即死には至らない嬲るための魔法。

 ベリアルも大概だったが、コイツはそれより酷かった。

 威力は無くても、それでも俺は彼女に当たらない様に必死で体の中に隠した。


「ごふっ……う、ごッ………ぃッ!」

「駄目ぇ!! ユーロ、ユーロ゛ぉ!!おねがい゛退いでっ、やだぁあ!!」


 泣け叫び俺の胸を押し逃げようとする彼女を、それでも俺は強く抱きしめた。

 そんな事しか、今の俺には出来なかったから。

 そして俺はようやくわかった。

 俺が逃げていたのは、最後にノノアに会いたかったから。

 絶望的な状況でもまだこの世界に縋っていたのは、彼女の死に顔が見たく無かったからだ。


『にんげんっておもしろーい!』


 ケタケタと笑う悪魔は、その間も無数の魔法を放つ。

 水の流れも石を削るように、俺の命もあと少しだと分かった。

 けれど、ノノアはまだ無傷だった。その事が少し誇らしくて、俺は精一杯ノノアに笑いかける。


「ノノ……ごぶっ……、……ノノア、きいてくれ……」

「ユーロ゛……何でぇ……っ」


 いやいやと首を振る彼女は、俺の血で染まっていた。

 その事に申し訳なく思って、それでも今は言葉を紡ぐ。


「ノノア……もし、次出会えたら……っ」

「次゛っ……づぎっで何……っ! やだっ、死んじゃやだぁ……っ!」

「来世、とか……なんか、そういうの……っ、…俺はあると、思うんだよ……」


『エンドバイト』


 背後からは今までにない圧力が掛かって、遂に本気で消し去る気だと分かった。

 また、駄目だった。

 けど、俺には次があった。


「つぎ……つぎ、は、絶対に……」

「ユーロぉ……っ、おねがい、死なないでぇ……っ!」


 俺は、泣き叫ぶ彼女にそれでも伝える。

 俺はまた会えるとしても、この世界のノノアとはここでお別れだから。

 だからこそ、俺はいつも決めていた。

 別れる時は、希望を持って。

 せめて最後は笑顔が見たかったから。


「次は……幸せに、するから……」


「だから、わらっでくれ……? ノノア……」


 卑怯な事だと心底思う。

 俺はもう、これ以上頑張れなかったから。

 それでも、絶望のままに絶望の底に落ちるのなんて、そんなの報われないでは無いかと思って。

 少しでも笑って死ぬ為ならばと、俺は平気で道化になった。


 魔法の影で、雪が黒く染まる。

 もう時間が無い。だから俺は、俺の下で泣き喚く彼女に最後、キスをした。

 代わりに、笑ってくれと言わんばかりに。

 ノノアは数瞬して、ぎこちなく、今までで一番不器用な笑顔をうかべた。


「はは、やっぱ…笑顔が、似合うな……」

「ユーロ、駄目っ!!後ろ……っ!! 逃げてぇぇえ゛っっ!!」



 ブツンと、世界から色が消えた。

 そこで、俺たちの物語はどうしようもなく終わった。

 今まで何度も何度も繰り返した。

 何度も何度も何度も何度も繰り返した。

 そして、俺は結局彼女と歩むことを諦めた。

 ?????回の周回の果て、最後に嘘をついて別れた俺にノノアが最後に浮かべたのは結局泣き顔だった。

 その事を少し後悔しながらもすぐに次は始まって、そして隣の席には全てを忘れた彼女がいた。


「君首席の人だよね! 凄いね!」


 何て、笑う彼女を見て。

 俺はもう、その手を取れないのだと実感した。

 もう一度、もう一度だけ頑張ってみようかと考えて。

 今まで何度も考えて、自分が出した結論を思い出した。


 俺はもう、彼女を諦めたのだ。

 そんな、ちゃんと生きてる彼女を見て俺はみっともなく涙を流した。


「え!? えっ!? ごご、ごめん!? 何か不味いこと言っちゃった!?」

「いや、悪い……目にゴミが入ったみたいだ」


 そんなもので誤魔化される人など居るのだろうかと思った。

 けど、彼女は後の保健委員らしく見せてと俺に近寄った。

 目の前一杯に広がる彼女の顔に、慈しむような優しい笑顔に俺は涙を止められなかった。

 ごめん。俺は嘘ついた。

 俺は君の事を幸せには出来ない。

 でも、それでも。


 最後には絶対に、皆が笑える世界を作るから。


「もう、大丈夫」

「え、ほんと? まぁ、見た感じは大丈夫かなぁ……?」

「ああ、ありがとう」


 そして、彼女の手が離れる。その事を、俺は馬鹿みたいに名残惜しく思ってしまった。


「私、ノノア・エレノイト! よろしくね、泣き虫さん!」

「うぐっ、……まぁ、よろしく……ユーロ・リフレインです」


 ただの友達としての、よろしく。

 愛した記憶は、俺の胸の中に閉まっておく。

 きっとこの記憶はいつまでも忘れないだろうけど。

 それでも出来ることなら、いつかきっと迎えに行くから。





 再三言うが、俺はノノアを諦めた。

 彼女との約束は、それからずっと忘れ去らてされて。


 そしてその“次”が、最後の周回で責任を取れとやってきたのだ。













─────────────────

─────────────




 


「───ノノアッ!!」


 手を伸ばす。魔法を使う。

 他の全ての些事を無視して、彼女だけが視界に入る。

 痛みも、血も、ベリアルでさえも俺の思考から消え去った。

 僅かばかりの理性が働こうとして、すぐにどこかへ消えていく。

 駄目だ。

 死ぬな、死なないでくれ。

 俺は縺れながら、みっともなく彼女に近づいて。

 その冷たい顔と流れる血を見て、心臓を大きく跳ねさせた。


「ディバインリィヒールッ!!」


 あの日、ノノアと出会って。

 あの日、ノノアが俺の中で特別になって。

 あの日、ノノアと生きる事を諦めて。

 それからずっと、俺は彼女に嘘をつき続けて。


「ふざけんなッ! まだ、ちゃんと謝れても無いのに……ッ!!」


 彼女と過した最後の世界の、ノノアはどんな絶望の元に死んで逝ったのだろう。

 記憶をもったノノアはこの世界で目覚めて、どんな希望を抱いて、そして俺に絶望を抱いた事だろう。


 俺は、本気でクズ野郎だった。

 彼女よりも世界をとって、計画を進めるあまりに彼女を兎に角蔑ろにして。

 それこそが結果彼女の幸せに繋がると傲慢に言い放って、そして武様に失敗した。


「ヒールッ! ヒール──ッ!!」

「ケホッ……」

「ノノア!? ノノア……っ!?」


 回復系統の上級魔法を使って、殆ど空になった魔力でなけなしのヒールを彼女にかける。

 そして、文字通り首の皮が一枚繋がって。

 彼女は何とか、息を吹き返した。


「良かった……ッ! ぅぐ……くそッ、ベリアル……ッ!!」


 全ての元凶を睨みつける。

 もしここで本当に失っていたのなら、仮にベリアルを倒したとしてその後俺はどうなったのだろう。

 全部諦めて、世界を捨てていただろうか。

 分からない。分からないけど。

 

 けどこれでもう、本当に全部が終わりだと言うことは馬鹿な俺でも疾く理解した。


『動くな、喋るな、魔力を練るな』 


 ベリアルの『命令』が、俺の動きを再び制限する。

 俺の手の中ではノノアが静かに眠って、俺はただ聞く事しか出来なかった。


『魔法を消せ、思考を止めろ、力を抜け、戦う意思を捨てろ』


 ノノアは助かった。

 けどそれも結局は時間の問題でしかない。

 言葉と共に全てが、奪われていく。

 ベリアルがノノアの後ろに現れた時点で、俺に迫られたのは二択だった。

 ノノアを取るか、世界を取るか。

 ノノアを取れば、どの道世界も終わるというのに。

 それでも俺は彼女に手を伸ばす事を止めることは出来なかった。

 今まで勝手に捨てていたくせに、土壇場で拾いあげようとした。


『指示に従え。勇者である事を諦めろ。大人しくすれば、最後は共に逝かせてやる』


 そして、俺は思考すら出来なくなった。

 そこは全てが白く見えた。

 何もない。

 何も考えられない。

 俺はそのまま、ノノアと同じように目を閉じた。




















「──居た」

『な、グゥ……ッ!?』


 思考が戻る。

 世界に色が映える。

 俺は直ぐに頭を降って、戦場に意識を戻らせる。


 何が起きたのか。

 命令が解けて生きている以上、誰かが助けに来てくれたのだと思った。

 目の前にあるのは膝をつき、肩から血を出すベリアルの姿。

 その切り口はどこか見覚えがあって、そしてベリアルの後ろに立って居たのは──


「間に合った」


 間に合う筈が無かった。

 ライラが去って、まだ少ししか立って居なかったから。

 だからこの人が来る筈が無くて、俺は大きく目を見開いた。


 左腕に掲げる腕章。そこに刻まれる“風紀”の二文字。


 床に着くほど長い黒髪。


 一本の刀と長丈のスカート。


「風紀委員長……?」

「む、何だ? ──またネメシスとは呼んでくれないのか?」


 そう肩に刀を掲げて笑うのは、この世界“最強”の一角。

 共に魔王討伐の為戦った、風紀委員長のネメシス・ブレイブその人だった。


 


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