ショートショート

無題

「部屋、汚いな・・・」

　ど真ん中に位置する炬燵机はものに溢れている。周りにも薬やゴミ、重要そうな書類、アクセサリー類に中途半端に書きなぐったノート、スケッチブックなどが乱雑に投げ置かれており、布団を敷くこともできず炬燵として機能していない。

　床は足の踏み場もなく、まとめるだけまとめたゴミ袋がそこかしこに置かれている。マットレスには、前飛んだ工場の作業着、その前に飛んだスーパーのエプロン、いつのものかわからない白衣。

　インターネットで"花を買うと片付けが捗る”というコピペを見たから買った、いつのものかもわからない花は、すっかり枯れて色を失い、花瓶代わりに挿した水筒ごと腐っている。出来心で枯れた花弁に火をつけたから、所々黒く焦げてチリチリになっていた。水筒の蓋はどこにやったか忘れてしまった。

　至る所に抜けた髪の毛が落ちており、もう何ヶ月も変えていないキッチンシンクの三角コーナーネットにはヘドロになった野菜の皮に自らの赤い毛が纏わりついている。

　ゴミの上を歩く。窓を開けるとベランダには、かつて魚を飼っていた発泡スチロール箱。今は水も涸れ、水草だったものと藻だったものが煙草の吸殻とともに茶色く変色し、悪臭を放っている。箱の縁には幾本ものそれが傘を切り取られたキノコのように不気味に生え揃っていた。

　最近は体調も悪くて、Peaceを二、三本吸えば酷い頭痛が襲い、吐き気を催す。それでもやめられないのは、脳がニコチンに支配されているからなのか、はたまた自傷の類なのか。今もまた、たった一本の煙草で目眩。窓際に寝そべり、スマホを触る。今日飛んだバイト先から電話がかかってきたので、電源を消してベランダから見える川に投げ捨てた。

　明日死のうと思う。