サヤカ③

タクヤのママの言葉の意味が理解できず言葉が出ない。


お医者さんや看護師さんもなんだかザワザワしている。


タクヤのパパが覚悟を決めた顔で話し出す。

「サヤカさんのことは残念だった。あちらのご両親のところには父さんと母さんで伺ったが、あちらもまだ動揺していてきちんと話せていないんだ。お前の体のこともあるし、もう少し落ち着いたら改めてご挨拶に行こう。まずはゆっくり休みなさい。」


ワタシにしてみればあまりにも支離滅裂な状況だが、どうやら「サヤカは死んだ」ようだ。じゃぁ私は誰なのか。鏡を探そうにもうまく体が動かない。


「一人にして…、いいから一人にして!!!!」


タクヤの両親と看護師さんたちに部屋を出てもらった。


自分で今見ることができる体を眺めると、おそらくこれは男性の体だ。


タクヤの両親の話を整理すると「ワタシ」は「タクヤ」の肉体なのかもしれない。


悶々と考えていると時間はすぎ、暗くなった窓に顔が反射する。


その顔は紛れもなくタクヤだった。


ぶつかった衝撃で体が入れ替わっちゃう!みたいな物語は定番だけど、本当にそんなことあるのだろうか?


ましてや私は既に死んだらしい…

物語の展開はだいたい入れ替わったときと同じ行動をすると元に戻るけど…片方が死んでたらそれってどうなるの?


てゆーかタクヤは…?タクヤはもうこの世にはいないの?

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