サヤカ④
数日後、ワタシは私の葬儀に参列した。
私の両親は憔悴しきっている。
友達も泣いている。
親の関係か知らない人も多かった。
タクヤの両親はどこか居心地が悪そうにしていた。
「タクヤ…無事でよかったね、サヤのことは残念だったね…」
共通の友達はタクヤのことも気遣ってくれている。
生前葬なんてものもなくはないけど、まさかこの若さで自分の葬儀を客観視するとは思ってもいなかった。
帰り際の友達たちはただ素直に悲しんでくれる人もいれば、ちょっとした悪口や、身勝手な噂なんかも聞こえてきた。普通本人が目の前にいたら言えないだろう。もちろん彼女らにはまさか本人が近くにいるなんて思ってもないだろうけど。
「タクヤくんは涙も流さないのね…」
これは帰り際に私の母がワタシにかけた言葉である。その表情はあまりにも冷たくて、その突き刺すような空気で目が冷めたが咄嗟に返す言葉は出てこなかった。
あ、そうか。ワタシは今「事故で彼女を亡くした男」なのか。涙の一つくらい流さなければ不自然か。
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