第8話
今日は土曜日である。Q教授が来る日である。彼は助手のK女史を連れて9時頃に現われる。彼女が運転をして教授は助手席にふんぞえりかえっている。トランクにはいつもチェロがのっている。彼はチェロリストである。ヨーロッパや日本の交響楽団で30年間演奏をしてきた。70歳を機に退団して半年前に音楽大学の教授に赴任したのである。長い髪を一つに束ね、無精ひげを生やし、いかにも芸術家然としていた。また彼の行動も少しユニークである。大学では週3日くらいは教鞭をとっているようだが、生徒に言わせると時たま何の授業か判らない講義をするようである。授業は突然、自分で納得したように「よし」と気合を入れて終わりにするようだ。その後、いつもポケットからスキットルを出して一口含むのが常である。中身は誰も確認したことはないが、どうやらスコッチウイスキーらしい。
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