第7話
M君は部屋に戻ると1升瓶をベッド脇のサイドテーブルに置いた。べッドに腰を下ろすとテレビをつけた。最近よくやっている旅番組がながれている。M君は漫然とそれを眺めながらいつものコップに日本酒を注いだ。迷うことなく日本酒はM君の体の中に浸透していった。毎夜のルーテインの始まりである。時間と量は無制限であり彼の体のみが終わりを告げる。
彼はいつのまにか寝ていた。どのくらい寝ていただろうか着の身着のままでそのまま朝まで寝てしまった。
M君は起きると両親が暮らしている母屋に行きシャワーを浴び朝食をとり、それから職場に出かけた。
ムッシュ曰く、「M君は幸せな人生だね。」「酒をコントロールできればパーフェクトに近いけどね」ムッシュは顎を撫でながらニコニコした。M君曰く、「わかるけど暇な時は酒くらいしかないんですよ」ムッシュは続けた。「あなたは自分の幸せに気づいていないからだよ、当たり前のことを当然と思っているからだよ、よく自分の日常を客観視したらいいよ。」M君は赤くなった酒やけの首筋をぼりぼりとかきながら頷いた。その後、M君はピタッと来なくなった。どうやら会社も消防団もクビになったらしい。
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