3.実際のトラウマケア 3-1.エネルギー不足の解消

トラウマケアは、とても気をつけて進めていかなければいけません。


下手に地獄の釜の蓋を開けてしまうと、プロがカウンセリングをしていても、自死に繋がってしまう場合もあるようです。


そのため、オンラインカウンセリングを行う、コミュニティの連携臨床心理士は、細心の注意を払っているようです。


これは、病院でカウンセリングを受ける際も同じでした。


まず、カウンセリングは暫く、情報収集と信頼関係の構築、小さな困り感の解決からスタートします。


よくある困り感として、エネルギーの枯渇が挙げられます。


様々なカウンセラーの先生と情報交換をする中と、実体験から見えてきたことが3つあります。


人間にも、ガソリンのように、エネルギーがあります。


①日々の活動で使うエネルギーをコントロールする

エネルギーは、例えば100をMAXとした場合

毎日100ではなく、体調によって、60の日もあれば、40の日もあります。


躁状態になったり、その人の生活によって、次の日の分まで前借りしたりしてしまうと、体が動かなくなったり、思うように日中の活動が出来なくなり、最悪寝たきりになります。


カウンセリングではまず、そういったことを防いで、安定して生活を送れる状態を整えていきます。



②安心で安全な環境、心理面を整える

トラウマに晒されていると、常に緊張している状態になります。


安心で安全な環境をイメージしてください。

とカウンセラーによく言われますが、そもそも、「安心で、安全な環境のイメージ」が分からない。


ので、常にエネルギーを消耗してしまいます。


これも、カウンセリングの中で少しづつ、臨床心理士と一緒にイメージを作り上げていきます。



③人格間で使えるエネルギー量を確認し、調整する

トラウマ体験をすると

(1つの人格)

(日常生活に適応する人格)

(トラウマを引き受ける人格)

に別れます。


自我状態療法では、人格を、パーツと呼びます。


このパーツは、普通の人でも持っていますが、普通の人は、上手く協調しながら1つの体を動かしています。


しかし、トラウマ体験をすると

トラウマ体験に合わせたパーツが複数

日常生活を引き受けるパーツ

が出来上がり


更に、そのままにしていると、日常生活を引き受けるパーツも、別れてしまう。

というような話をききました。


このパーツごとに、エネルギーを使うわけですので、通常の人よりもエネルギーを多く使って、疲れてしまいます。



では、エネルギー量を増やしていくには、どうすればいいのでしょうか?


本来であれば

何か出来事がある→エネルギーを使う→その出来事が終わる→使ったエネルギーは帰ってくる

という流れになります。


しかし、トラウマ体験は、終わっていない、現在も続く苦痛のため、エネルギーが帰ってこない状態になります。


しかも、私たちは、それに慣れてしまって、エネルギーが帰ってくる感覚というものが分かっていません。


そのため、まずは、小さな困り感を解決することで、エネルギーが帰ってくる感覚を覚えていく。


ということが、大切になるとのことです。

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