181.夏休みスペシャルでーす part2
「このコラボ中、私の配信枠で入った収益の配分で、ご相談したい事があるんです!」
「ちょおっ!?」
『金銭トラブルキター!』
『ススム、女子には気前よく行けとあれほど』
『ススム、法外な配当を要求するなんて、失望したぞ』
『それ配信に乗せて良い話?』
駄目だよ!?
いきなり何言い出してんの!?
って言うか俺は——
「ススム君が!収益を一切受け取ってくれないんですけど!どう思いますか!?」
『は?』
『えっ』
『えっ』
『は?』
『えっ』
『ススム、それはないわ』
『ススム、そこはしっかりしとけ』
『報酬は受け取るべきだぞ、カミザススム』
『ススム、彼女が出来たら俺に教えろ、身辺調査する』
『ススムきゅんに投げた分行ってないの!?』
「いやいやいや!皆さんいつも甲斐性とか言ってるじゃないですか!って言うか、く~ちゃんの枠の色コメって、く~ちゃんに向けて投げられてるわけで、僕が得るのは違うでしょ!そこしか枠がないわけでもなくて、それぞれ別視点で枠取ってるんですよ?」
『俺はお前にやるつもりで投げたが?』
『ススムの面倒見てくれてありがとう代とススムへのお小遣い代を合わせて投げましたが何か?』
『お前の枠には投げられないだろうが!!!!』
『甲斐性と奴隷根性は違うぞススム!』
『カメラ壊れても2台目を買えない分際で強がるなよ、ススム』
『悲報:脱法貢ぎメソッド、破綻』
『コラボは二人で作る物なんだからお前の取り分があるべきだろススム』
『うっわ、スス豚共キッモ、くれ豚共と潰し合ってくんないかな』
『仮に色コメを受け取らないとしても、再生数分の収益から何割か譲渡とかあるだろ!』
「ほらススム君!みんな納得行ってないって顔してる!」
「えー…?なんで?」
俺を見てて楽しんでる人が居るのは知ってたけど、積極的にお金を払いたいレベルだとは思ってなかった。
あれ、これって、
「僕、もしかして結構人気?」
「………」
く~ちゃん?
黙るのやめて?
『ススムはさあ……』
『こいつホンマ』
『住所送れ、一回殴ってやる、札束で』
『むしろウチに来いススム、俺が飼う』
「いや、あの、違うんです。こう、何と言うか、みんなでワイワイやってるテンションだったので、自分にそんな、有料コンテンツになれる程の娯楽性があるのか、分かんないっていうか………」
強くなって、そしてそれを証明し、出来れば誰かに活力を与えたい、という方針だったが、強いからと言って、払わなくて良いお金を払いたい、とまで思わせられるかは、別問題で。
「いや、だって、思わないじゃないですか。その、俺を見てるだけで、本気でお金払う人が居るなんて……」
「収益化通したい、とか言ってたのに?」
「再生数が稼ぎの足しになればなあって………」
え?
いつものあれって、冗談じゃなくて、みんなマジで言ってたの?
あれもこれも、本気で、色コメ投げたがってたの?
うわ、
うわうわうわ、
なんか、
照れくさくなってきた。
うわー………!
「ちょ!?く~ちゃん!?なんでカメラ持って近付いて来てるわけ!?」
「え?ススム君の赤面を、ススナーの皆に高画質でお届けしよっかなって」
「やめ!ちょ!そういう配慮要らないから!離れて!ソーシャルディスタンス!ソーシャルディスタンス!」
「じゃあズームと高解像度モードポチっと」
「なんで!?」
『ナイス!ナイスナイスナイス!』
『く~さんと呼ばせてください』
『く~さん一生付いて行きます!』
『有能』
『ススムきゅん目元隠さないで!むしろエロいよ!』
『ススム、なんだその顔は』
『誘ってんのか?ススム』
『俺、ススムでいいや……』
「と、撮らないで…!」
「収益から運営の取り分3割を引いて、残りの半分、3割5分、受け取ってくれますね?」
「い、1割でいい!1割でいいから!多分大半はく~ちゃん宛てだから!」
「反省の色が見られませんよ!
「見ないで!見んでいいから!」
「3割!」
「1割5分!」
「じぃー………」
「やめてくれ~~~~!!」
取り分が2割になりました。
TooTubeに払う分を除いた7割のうち、30%って感じです。
「いや、でもやっぱり多くない?」
配信終了後、丁都に帰る電車内で、もう一度掛け合ってみる。
「まだ言うのー?」
「だって、ほら、ミヨちゃんの方に、俺のガチ恋勢から、苦情が行くなんて事ないだろ?」
「えっ、……うん、まあ、あんまりね?」
「俺の方には、ミヨちゃんのガチ恋勢のクレーム、結構来るんだよ。つまり、ミヨちゃんの方が、熱心なファンが多いんだよ?色コメの金額も、それ相応に……ミヨちゃん?どうしてスマホを構えるの?」
「この前のプールで私がお尻の食い込み直してたの、ススム君がガンガンに見てたの告発してもいいんだよ?」
「脅迫する気か!?って言うか弱みを握る為に誘ってたのかよ!釣られた!」
「え?本当に見てたの?」
「え?」
「え?」
「あ、………え?」
「………」
それから車内は、俺達以外誰も居なかった事もあって、線路の継ぎ目で車輪が跳ねる音だけが、静かに規則正しく鳴っていた。
俺達が二人とも、顔を手で覆っていたのは、
きっと西日が、眩しかったせいだと思う。
(((女の子の肌ツヤに夢中なの、知られてしまいましたね?ススムくん)))
(今良い感じに〆ただろうが!そこを掘り返すなよ!)
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