132.尋常に……とでも言うと思ったか! part1
「あれ?そちらさんご自慢のビョーニンさんは、どうしたんすか?俺、戦うのを楽しみにしてたんすけど?」
「やめなさい朱雀大路さん。彼は怖れをなしたのです。昨夜、あれだけ真剣勝負をしようと誓い合ったのに、この場にすら現れないとは、残念です」
10時15分。
出場者と、同教室の生徒達による、教室同士の挨拶。
その儀式に、特指クラス側が出してきたのは、出場者五人だけ。
その様を見た朱雀大路が煽り、万はそれを嗜めるポーズを取りながら、いけしゃあしゃあと、ここに居ない少年を嗤った。
「………ッチ」
「『弱い犬ほどよく吠える』、本当ね?」
六本木が舌を打ち、トロワが刺し返す。
「あれあれ?なんすかあ?もしかして、ピキっちゃった感じっすかあ?」
「ああ、あなたの場合、小鳥、かしら?ピーチクパーチク、ランク1の雛鳥みたいよ?やめたら?ディーパー」
「さっきから事実の指摘が、何でそんなに効いてんのか知んないっすけど——」
「両者とも、それまでです!ええ!互いへのリスペクトをお忘れなく!」
審判兼救護班長である、養護・栄養教諭代表、白取〇鶙が割って入る。
「良いですね!?」
「心得ています!」
「
睨み合う、特別指導クラス、別名シャン教室代表のニークトと、
「それでは握手を!勝敗がどのようであれ、互いの力を、能力・知力・体力・努力・忍耐力を、敬い、讃え合いましょう!ええ、人とは何処までも
左手を出し合う、代表生徒二人。
ギャンバーのルールでは、握手は試合の前に行われる。
試合後では怪我の治療だったり、意識を失っていたりして、身動きが取れない事があるからだ。
「それにしても、僕は君の参戦が一番意外だったよ、乗研君」
オープンロールを踏まえた作戦会議、その後の着替えの為、互いのパーティーが部屋を後にする途中、乗研にそう声を投じる万。
「今更真人間に戻れるなんて、そんな虫の良い事を考えているのかい?更生して、大逆転!人生を劇的に取り戻す、って?だとしたら、僕達のようにずっと真面目にやって来た人間に、失礼だとは思わないかい?」
「万君!私はリスペクトを」「失礼、独り言が大き過ぎました。忘れて下さい」
明から様な挑発に、乗研は、
「怖いか?」
「……なんだって?」
「カミザが起きないよう念入りに魔法を使う。人数不足で戦い自体を成立させないように画策する。それが失敗すれば、俺をキレさせて失格にしようとちょっかいを掛ける。問題児クラスを、随分怖がってるみてえじゃあねえか?」
「な、何を…!言い掛かりだ!僕達はそのような姑息な手は使わない!白取先生!今のはマナー違反です!警告を」「
「は?」
「寝言はデカい方でな。忘れろ」
そう言って、それでも何事か抗議する万を尻目に、出口で待つパーティーメンバーと合流した。
「言うじゃん?」
「エモ~……」
「ニヒヒ、オヌシもワルよのう…?」
「フン、チキンがイキってやがるのが、ムカついただけだ」
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