37.サクッとサクサク行こう
さてこちら、最近お馴染みの“
それでは参りましょう。
まずは第1層と第2層。ここのモンスターは全無視でも構いません。モンスターには一定エリアから離れたがらない習性がありますし、彼らは遅過ぎてこちらに追い着けないのです。他のディーパーの方に迷惑が掛かる場合を除き、スルーしましょう。
続く第3層でも、ほとんど素通りでいいです。L型が居ますが、一匹だけ突出して深追いすると、簡単に殺されることをよく理解しています。ので、彼らもあまり追いかけてきません。
第4層、ここからが戦闘区域になります。M型を放っておいて、後ろから撃たれると一大事です。それぞれの群れのM型と、状況を見てL型を狩っておきましょう。V型とG型は、必要な時を除いて放っておきましょう。
第5層、ここはF型が加わります。基本的には第4層と同じで問題ありませんが、F型が高確率で邪魔になりますし、狩り残すと偶にどこまでも付いて来る奴がいます。一応彼らも全滅させておきましょう。V型とG型は(以下略)
第6、7層は、一気に様相が変わります。M型が長距離狙撃の専門となり、C型が地を爆走します。C型より速く走れるのでなければ、倒していく事をオススメします。旋回するタイミングを狙って飛び乗りましょう。中にG型やV型が居れば、外に追い出してください。C型が止まる前に追い出せれば、それだけで重傷を負ってくれる事もあります。
また、C型を盾に出来ない時に、M型から撃たれても大丈夫なように、曲面の防御膜を魔力で作っておきましょう。M型が居るだろう大体の方向を守れればいいので、完全な球体にする必要はありません。M型に囲まれている場合は、上半身を守れるような壁4枚を、四方に展開しておいてください。これだけで、即死の危険を大幅に低減できます。
第7層から第8層への入り口の前には、D型エイプがいます。破城槌を掘削用ドリルのように使い、地中を移動する乗り物?要塞?です。動力が魔力の為か、魔力探知が出来る方であれば、何処から出てくるのかも分かりやすいでしょう。
地中からの攻撃を避け続けていると、そのうち痺れを切らして、中の兵隊を外に出そうと、地上に顔を出した後に側面のハッチを開きます。そこから乗り込んで、中に居る操縦士猿を殺しましょう。一見丸腰ですが、油断してはいけません。魔法で生んだ鉄針を、一度に2、3本投げたり、口から吹いたりしてきます。
ちなみにこちらが乗り込んでいる間は、要塞部分は動かなくなります。更に8層に行く為のラポルトは、この要塞の中です。なので「倒した後に出られない」、ということはありません。足に大ダメージを受けないかだけ、気をつけましょう。
それと、中には警備用のチビ猿と、G、V、L型が勢ぞろいしています。チビ猿は厄介ですが、他の連中は閉所の為か、ポテンシャルを活かし切れていません。落ち着いて、L型とチビ猿を優先的に殺していきましょう。跳弾が怖いのか、M型は居ません。
この先はこれまで以上に神経を磨り減らします。ので、ここでお昼休憩を取っておく事をオススメします。どうでもいい補足ですが、今日のメインはカヤホで買った、バリバリ激厚コロッケでした。
第8層では
この害悪戦法軍団を指揮しているのが、誰あろうW型です。簡易で軽めの鎧と鉢金を着けて、手足も胴もひょろ長く、口から毒液を吐く上、武器である短刀にも毒を塗っています。当たった事も無いのに何故毒だと分かるかと言えば、見た目が緑色で明らかにヤバイ物質だからです。しかもコイツ、手足を畳んで素早く動く事まで出来ます。空に居たF型を足場に逃げられた事までありました。腕が急に伸びたような間合い誤認攻撃や、魔法で作った石をカタパルトみたいに投げてくる点にも注意。
この階層の対策として、魔力による気配察知、地形解析を絶えず行いましょう。少しでも違和感のある凹凸、突起、モンスター配置があれば、罠だと思ってください。ここは地道に行くしかありません。W型ですか?石は魔力膜で止め、素早く接近して殺気を逃さず感じ、さばき切る。この手に限ります。
「と、いう事を意識すれば、第8層までは、万事解決ですよ!」
『万事解決()』
『お前を基準に語るな、ススム』
『真似できないぞ、ススム』
『ダンジョン内最弱人間…?これが…?』
『【朗報】人間さん、まだ100%のスペックを発揮していなかった模様』
『ほら、簡単だね?じゃないんだよなあ…』
『「毒を受けると帰らなければならないので受けないでください」、それができるなら苦労は無い』
『流星返しはどこだ!?流星返しを出せ!』
『初見です、狭い場所で猿に無双してる切り抜きから来ました』
『昼休み含めて5時間か。ソロであることを考えれば優秀じゃんね』
『なんか最近、この人が魔力溜められないのを忘れそうになる』
『初見に引かれるぞ、ススム』
『正念場だね!』
10月15日。
これまでで一番豪華に飾られた、本堂の中。目の前には、9層へのラポルト。
本当は4時間くらいで収めて、19時くらいまでに歩いて帰れるだけの余裕を、しっかり確保できるのが理想なのだが、今の俺には求め過ぎか。
「さて、長々語っていても、仕方ありません。時間も押してますし、」
ここから先は、配信でも見た事がないエリアだ。
8層以降の映像公開について、規約規定の類は無い。
ただ情報として高い値を付けられるから、見せたがらないディーパーが多いだけ。
そういった先達の皆様からすると、これはあまり、やって欲しくない事かもしれない。
ただ俺は、言うまでもなく儲けも欲しいのだが、お金が必要なのも本心だが、
それ以上に、今の俺は配信者だ。
希望となって、楽しみを届ける。
それを目指す、一人の向こう見ずだ。
「このまま行きましょう!」
『マジ!?』
『配信止めなくていいのか、ススム』
『マナー違反じゃないんですか?』
『問題になりそう』
『色々敵に回すぞ、ススム』
『お前ら騒ぎ過ぎ、法律違反とかじゃないから』
『ってかほんとにA型行くのか?パーティじゃないと倒せないだろ』
『ススム、考え直さないか?A以降はグランドマスターとかじゃないとソロなんて無理だ』
『好きだからこそ言うけど、A型はやめない?せめてビショップは必要だよ』
「皆さんの中には、きっと、僕がこの先の映像も配信することに、心配や不快感を抱く方も、いらっしゃるかもしれません」
けれども、
「これは、前々から決めていた事なんです」
先人にとっては、不都合かもしれない。
だけど、後続達にとって、これは何かの助けになる。
情報料を払えず、事前知識無しで挑む者達。
俺みたいに、“崩落”のようなイリーガル事象に巻き込まれて、迷い込んでしまった者達。
彼らの生存率を上げる、その一助にでも、なるかもしれない。
それに俺が、ローマンが中級を攻略する。これを映像として見せれば、色んな人に勇気を与える、かもしれない。
社会と世界に蔑まれてる、そんな俺でも、やり方さえ分かれば、ここに立てた。
勿論それは、カンナやじいちゃん、多くのリスナーの方々に支えられて、その結果だ。
だから俺は、挑戦する誰かを支える側になりたいと、そう思う。
自分の幸運を、見る人に少しでも還元する。
それが俺の出来る、俺のやりたい精一杯だ。
自己満足だけど、それでも無駄じゃないと、そう信じてる。
「だから俺は、ここから先も皆さんと一緒がいいです…!皆さんに、最後まで、見ていて欲しいんです…!」
「お付き合い、よろしくお願いします」、俺はいつもの構えを取り、己に喝を入れる。
『だからそのポーズやめてwww』
『ううぅぅ、行けって言いたいけど言いたくない二律背反~』
『はいはい良い事言えましたねー?』
『その構えのせいで絶妙にダサくなった』
『台無しだよ!』
『意外と考えてんだな、ススム』
『ろっさんがA行くとかwwwwww』
『「俺」頂きましたー!』
『雑魚一人じゃA型倒せないとも知らない情弱🤭』
『ススむん!遺影の用意はばっちりだよ!🤗ユニークな断末魔期待してる!🤪』
『謎ポーズで〆るのに味占めてて草』
『燃えたら骨は拾うぞ、ススム』
『Aは無理』
『「頑張りました」ムード作って言い訳の用意ですか~?🤔』
『それでも引き返して欲しい』
『かわいいいいいい!』
『そろそろシに様が見れると聞いて』
『君の気持ちは分かったよ!ススム君!』
『覚悟を決めたか、ススム』
『推します、今決めました』
いやあの、ネタのつもりじゃなくて………
(この構え、結構気に入ってるんだけどな…、カッコよくない?)
(((……適切な喩えは…、威嚇する
なんだろうそれ。
帰ったら画像検索でもしてみるか。
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