第4話
昼の1時近くになって、そろそろ昼食を取ろうということになった。水遊びに夢中になっていた子供達も、さすがにお腹が空いた様子だった。私とT君の母の呼びかけに、子供達はわりと素直に集まって来た。持参したタオルで濡れた髪と体を拭いて、レジャーシートの上にみんなで輪になるように座った。公園に来る途中に小型スーパーがあり、ピクニック用の食べ物や飲み物をあらかじめ買っておいたのをシートに並べた。私はおにぎりを5つ(梅干し1、昆布2、おかか1、明太子1)と、小さなチョコマーブルパンが沢山入った袋を買っておいた。飲み物は魔法瓶に冷たい麦茶を入れてある。T君親子は、焼きそばやサンドイッチ、サイダーなどを買ったようだ。
「いただきまーす」
ウェットティッシュでSとYの手を拭き(出産するまではこんなにウェットティッシュを使う日々が来るとは思わなかった)、おにぎりの具は何が食べたいかを訊ねながら手渡した。Sは梅干し、Yは昆布。私は何となく余りそうな気配のおかかを食べることにした。おにぎりのパリパリした食感とご飯の塩気が、口の中にじゅわ〜と広がり、ペロリと食べ終わってしまった。満腹感は全くなし。SとYも、ものすごい勢いで一つ目のおにぎりを平らげた。
「次は何にする?」
「んー、昆布!」とY。
「チョコパーン」とS。
それぞれの希望するものを手渡して、私は二つ目のおにぎり(明太子)の包装を破いた。
メインの食べ物を大体食べ終わった頃に、T君のお母さんがクーラーボックスの中から、一口サイズのカップ入りゼリーを出して
「溶けちゃってるけど、どうぞ。家出た時はカチコチだったんだけどね」
と渡してくれた。
「わー、嬉しい。ありがとう。重かったでしょ」
クーラーボックスには、色とりどりのゼリーが20個くらい入っていそうだった。レジャーシートの上に設置している折り畳み式の簡易テントも、T君のお母さんが持ってきてくれたものだ。子供達はテントに入ったり出たりしながら、食べたり遊んだりして盛り上がっている。
デザートも食べてお腹が満たされた子供達は、また水遊びに戻っていった。午後になって、新たに小学校3〜4年生くらいの男の子数人が人工池に加わっているのが見えた。SもT君も2年生としては小柄で大人しそうに見える外見なので、私は何か起きないか注意を向けつつ、母同士の会話に戻った。
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