メタリア退治④

「フルル~」


テンとの出会いから数分後、僕・ミミットさん・ランドさんはテンと一緒に発電所内を歩いていた。


「すっかり懐いてるわね」

「ま、リューセーは良い奴だから無理はないッスね」


ほっぺたをスリスリしているテンに対し、そう言うミミットさんもランドさん。

と、その時.......どこからか音がしたかと思えば、どこからかカエルになりかけのオタマジャクシのような生物が出てきた。

そして、そのオタマジャクシが僕の方を向いた瞬間


「うちの料理人に手出しはさせないっつうの!!」


ミミットさんはそう叫んだ後、オタマジャクシを射殺した。


「み、ミミットさん?」


呆然とした様子でそういう僕に対し、ランドさんはヤンキー座りをしながらこう言った。


「リューセー。あれはフロッギュっていう宇宙生物で、地球人を一瞬で殺せるほどの力を持った危険な生き物なんスよ」

「えぇ!?」


あのオタマジャクシって、そんなに危険な生物だったの!?

というか、見た目が可愛いから油断してたわ....


「全く.......ヴェノピオンと宇宙クリオネの後はフロッギュだなんて.....どんだけ宇宙生物が住み着いているのよ」

「まぁ、廃棄された場所に宇宙生物が住み着くのはお約束みたいなもんだから仕方ないッスよ」


そんな会話をした後、フロッギュを解体するための部屋を探す僕達。

そして、良い感じの部屋を見つけたのでその部屋に入ると


「ヘッジさん!?ネモさん!?」


その部屋には、何故かヘッジさんとネモさんがいた。


「よぉ!!生きてたか!!」

「....その様子だと、お前たちも無事らしいな」


僕達の様子を見て、そう言うネモさんとヘッジさん。

しかし、すぐにテンの存在に気がついたのか


「うぉっ!?何で宇宙クリオネがここに!?」


ネモさんはビックリとした様子でそう言った。


「あ、えっと....その、僕に懐いちゃいまして」

「フルル‼︎」


僕がそう説明すると、ヘッジさんは


「....珍しいこともあるものだな」


フッと笑いながらそう言った。


「ところで.....もしかしてそれフロッギュか?」


ランドさんが背負っているフロッギュを見つめながら、そう言うネモさん。

......やっぱりフロッギュっていう生き物は有名なのか?


「えぇ、そうよ。ここに来る道中でバッタリと遭遇しちゃったのよね」

「んで吹っ飛ばしたと」

「そゆこと」


ネモさんの言葉に対し、そう言うミミットさん。

一方、その話を聞いたヘッジさんはただ一言


「....フロッギュまで居るとはな」


と腕組みをしながら言った。


「メタリアはともかく、フロッギュも居るなんて思わなかったッス」

「ホントホント、アイツらどこにでも居るのよね」


フロッギュの死体を部屋の中にあった机の上に乗せ、解体する準備を整えながらそう言うランドさんとミミットさん。


「んじゃ、始めるわね」


そう言った後、フロッギュの解体を始めるミミットさん。

解体が始まると、ミミットさんは手際良く皮を剥ぎ.....それから、プルンとした半透明の肉の部分と内臓、骨の順番で解体していった。


「ふぅ....とりあえずはこんなところね」


内臓を密閉袋のような物に入れながら、そう言うミミットさん。

その顔には、達成感という表情が滲み出ていた。


「あの、解体したフロッギュの皮とか内臓とかはどうするんですか?」


僕がそう尋ねると......ミミットさんはニッと笑ったかと思えばこう言った。


「そうね...フロッギュの皮は宇宙用スーツやバック、内臓は薬とかの材料として重宝されているの。あと、肉は鮮度が落ちるのが早いからあんまり流通してないのよね」

「てことは、フロッギュの肉はこの場で食べなきゃいけないってことですか?」

「そう、だからフロッギュの肉を食べることは冒険者の特権ってわけ」


そう言いながら、フロッギュの肉を刺身の切るような感覚でスライスしていくミミットさん。

なるほど....つまりは漁師飯みたいなものなのか。

と、そんなことを思っていたら


「リューセー、塩ちょうだい」


ミミットさんは手の平を出しながらそう言った。


「あ、は、はい!!」


そう言うと、カバンの中から出した塩をミミットさんに手渡す僕。

その塩を手渡されたミミットさんは、スライスしたフロッギュの肉に塩を揉み込むのだった。


「こうすると肉の甘さが引き立つのよね〜」

「ふむふむ」

「フルル」


....勉強になるなぁ。


「よし、こんなもんでいっか!!」


ある程度塩を揉み込む作業が終わったのか、手をタオルで拭きながらそう言うミミットさん。

塩揉みをしたからか、フロッギュの肉の透明度は増していて.....まるでガラスのように透け透けになっていた。


「お〜!!こりゃ美味そうだな!!」

「鮮度が落ちないうちに早く食べたいッス!!」

「....そうだな」


そう口々に言った後、塩揉みされたフロッギュの肉を食べるヘッジさん達。

その瞬間....ネモさんとランドさんの頬が緩んだかと思えば、こう叫んだ。


「「美味っ!!」」


そう言った後、フロッギュの肉をパクパク食べるネモさんとランドさん。

そんな二人を尻目に、ヘッジさんは黙々とフロッギュの肉を食べていた。


「リューセーも食べる?」

「は、はい!!」


ミミットさんの言葉に対してそう答えた後、フロッギュの肉を口に入れる僕。

その瞬間、カニのように甘いフロッギュの肉の油と揉み込んだ塩の塩味が口の中に広まり、思わず頬が緩むのだった。


「美味しい!!というか甘い!!」

「でしょ?」


ニコッと笑いながら、僕に向けてそう言うミミットさん。

これがフロッギュの肉の味.....!!

何だか、高級な物を食べてるような感じがするなぁ。

そう思いながらテンの方を見ると、テンもまた夢中になってフロッギュの肉を食べていた。


「あ〜、この依頼受けて良かったわ〜」

「ッスね」


そんなわけで、お昼ご飯を楽しむ僕達なのだった。

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