メタリア退治③

さて、メタリア退治最中、激しめな音が聞こえたので、その現場へと向かった僕達だけれども...............現場にたどり着いた時、僕達は、目の前の光景に絶句していた。

何故なら.....僕達の目の前で、大きなサソリと空中に浮かぶクリオネが戦っていたからである。


「キシャアアアアア!!」

「フルルルル!!」


野生動物をテーマしたドキュメンタリーを観てるような気分になりながら、その光景を呆然と見る僕達。

すると、我に返ったランドさんは


「えぇ!?何でヴェノピオンと宇宙クリオネがここに!?」


と叫んだ。


「ヴェノピオン?宇宙クリオネ?」

「ヴェノピオンは、人をたった1秒で殺す猛毒を持った虫で、宇宙クリオネは、その名の通り、宇宙を泳ぐクリオネだと思えばいいわ」

「はぇ.....そうなんですね」


人をたった1秒で殺すサソリに、宇宙を泳ぐクリオネ...........うん、ヤバそうだ。


「フルル!!」


そう思っていたら、宇宙クリオネは頭の部分をパカっと開け、ヴェノピオンを捕食し始めるのだった。


「あ!?ヴェノピオンが食べられたッス!!」

「まぁ、宇宙クリオネは宇宙の捕食者って異名を持ってるし、こうなるのも無理はないわね」


こっちでも、クリオネは可愛いけどえげつない生物だと認知されているのか.............


「というか、何でヴェノピオンと宇宙クリオネがここに!?」

「...........ひょっとして、発電所の壁の隙間から入った、とかですかね?」

「確かに、その可能性は高いッスね」


そんな会話をしていた時、突然、宇宙クリオネは悲鳴をあげ..........ヴェノピオンを吐き出すと、苦しみながら倒れてしまった。


「「「!?」」」


この突然の出来事に対し、思わず、驚く僕達。


「な、何が起こったんスか!?」


宇宙クリオネの死に対し、戸惑っていると......物陰から、小さな宇宙クリオネが出てきた。


「か、可愛い!!」

「ッスね〜」


小さな宇宙クリオネを見つめながら、そう呟くランドさんとミミットさん。

そんな僕らを尻目に、小さな宇宙クリオネは倒れてしまった宇宙クリオネに近づくと.......


「フルル....」


悲しげにそう鳴いていた。


「まさか..........親子だったの!?」

「あ!!だから、ヴェノピオンと戦っていたんスか!!」


宇宙クリオネがヴェノピオンと戦っていた理由を知り、しんみりとした空気になっていると...........


「フルルゥ!!」


小さなクリオネは僕達の存在に気がつき、威嚇し始めた。

恐らく、親を殺した犯人だと思っているのだろう。

今にも襲い掛かろうとしていた。


「ど、どうするッスか!?」

「倒したのは山々だけど.....私は子供の宇宙クリオネを倒す程の外道じゃないし....」


目の前にいる宇宙クリオネが子供だからか、倒すことを躊躇うランドさんとミミットさん。

その時、小さな宇宙クリオネは僕の手に対し、襲いかかった。


「「リューセー!?」」


一生懸命、僕の手を攻撃する小さな宇宙クリオネ。

僕は、そんな宇宙クリオネを見つめながら、こう言った。


「大丈夫、僕は君を攻撃しないよ」


僕がそう言うと、小さな宇宙クリオネはピクッと反応した後、僕の手に対する攻撃を止め...........逆に、ごめんなさいと言うようにスリスリとし始めた。

一方、それを観ていたランドさんとミミットさんはというと.....


「リューセー!!アンタは本当に凄いッス!!」

「全くもう!!こっちの寿命が縮むかと思ったわよ!!」


心配そうな様子で、僕に向けてそう言った。


「フルル?」

「安心して。この人達は悪い人じゃないよ」

「フルル!!」


僕の言葉を聞き、挨拶代わりに頬をスリスリする小さな宇宙クリオネ。

..........可愛い。


「この子、すっかり懐いちゃったわね」

「ですね」


小さな宇宙クリオネを触り、微笑みながら、そう言う僕。


「そうだ!!せっかくだから、この子に名前を付けたらどうッスか?」

「いいわね!!」


名前......かぁ。

クリオネ.....海.....天使...........


「テン.....とか?」


僕がそう呟くと、小さい宇宙クリオネ.....テンは一回転した後


「フルルゥ♪」


嬉しそうに鳴いた。


「テン.....いい名前ッスね」

「ホント、可愛い名前ね」

「フルルルル♪」


可愛いと褒められたことが嬉しかったのか、体全体を使って、嬉しいアピールをするテン。


「それじゃあ、そろそろ進みましょ」

「そうッスね」

「テン、行こうか」

「フルル!!」


こうして、僕達に新しい仲間が増えたのだった。

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