超宇宙冷蔵庫⑤

あの宇宙冷蔵庫に行った日から数日後.........僕達の乗るアルゴナ号は、ギルドのある宇宙ステーションに向けて移動していた。


「皆さん!!朝ごはん出来ましたよ!!」


そして、今はちょうど朝の時間帯のため、僕は、ヘッジさん達の朝ご飯を用意していた。


「うぉぉぉぉ!!待ってました!!」

「今日の朝ごはんは.......ジャム乗せパン!!それからローパーの実とサラダもある!!」

「やった!!今日も豪華ッス!!」

「.......美味そうだな」


目の前にある朝ごはんに対し、嬉しそうに反応するヘッジさん達。


「んじゃ、食べましょうか」


僕がそう言うと、ヘッジさん達は椅子に座り、朝ごはんを食べ始めた。


「うわっ!!このジャム美味っ!!」

「これ、ひょっとしてローパーの実のジャムッスか?」

「はい!!そうです!!ローパーの実が余っていたので、使ってみたんです!!」

「リューセー!!アンタは天才ッスか!!」


ローパーの実のジャムのあまりの美味しさに、思わず、そう叫ぶランドさん。


「ローパーの実ジャム.....これは商品化してもおかしくはないわね...........」

「あぁ、それほどまでに美味い」


..........そんなに褒められると、恥ずかしいな。


「ヘッジ、テレビをつけてもいいッスか?」

「......構わない」

「ありがとうッス!!」


ヘッジさんの許可を得て、テレビをつけるランドさん。

テレビと言っても、宇宙のテレビは地球の物とは大分違う。

何故なら...........宇宙のテレビは、空中ディスプレイなのだ。

しかも、チャンネル数が多く、ニュース番組専用のチャンネルだけでも、十個ぐらいあるというオマケ付き。

なので、ニュース番組一つにしても、どのチャンネルにしようか悩むのは、宇宙では日常茶飯事らしい。


「おっ!!今日は【ギャラクシー通信】か。何か面白いニュースとかないか?」

「無いっぽいですね。強いて言うなら、不法投棄された宇宙船をリノベーションしたカフェの話題とかですかね?」

「何だそのほのぼのニュースは!?こっちはハラハラドキドキのニュースを求めてるっていうのに.......」

「ニュース番組にスリルを求めてどうするんですか」


ネモさんの言葉に対し、呆れながらそう言う僕。

ちょうどその時......ニュース番組内で、とあるニュースが流れていた。


『次のニュースです。昨日、エルダー宙域にある宇宙冷蔵庫内に侵入した男性三人がグール虫に襲われ、負傷するという事件が発生しました』


「「「「「ブフォ!?」」」」」


そのニュースを聞いた途端、その場にいた全員が口から牛乳を出したのは、言うまでもない。


「ゲホッゲホッ、エルダー宙域にある宇宙冷蔵庫って.............この前、僕達が行ったところじゃないですか!!」

「私達の他に、あそこに行った連中がいたのね....」

「ま、マジかよ....」


グール虫に襲われたってことは......襲われた三人は、野菜エリアに居たってことなのか?

食料を確保するためとはいえ、あの芋虫に襲われるなんて......本当にご愁傷様としか言いようがないな。


『なお、現場では成虫のグール虫も確認されたため、今現在は宇宙警察によって封鎖されています』


「「「「「成虫のグール虫!?」」」」」


てか、グール虫って成虫になるのか!?


「......どうりで、あんなに大量のグール虫がいたわけだ」

「でも、オイラ達が来た時は成虫のグール虫は見かけなかったッスよ?」

「恐らく.....俺達を一網打尽にするためのタイミングを狙っていたのだろうな」


ヘッジさんがそう言った瞬間、サーっと血の気が引いていく僕達。


「じゃ、じゃあ、俺達が無事だったのは......」

「運が良かった.....と言うことね」


それじゃあ、あの時は呑気にプリンを食べてる状況じゃなかったってことか......


「ところで、成体のグール虫はどんな感じなんですか?」

「芋虫の頃よりもグロデスクな見た目だと思えばいいぞ」

「あ〜」


キモい見た目なんですね分かります。


「それに、成虫のグール虫は芋虫の頃よりかは手強いから、ある程度戦闘経験を積まないと倒せないんだよなぁ」

「ゲームで言うところの中ボス的な感じですかね?」

「そうそう!!そんな感じなんだよ!!」


それじゃあ......襲われた人は、戦い慣れてない人ってことになるのだろうか?


「.....宇宙って、まだまだ知らないことが多いんだなぁ」


宇宙の広さや、恐ろしさを再確認しつつ、ジャムを塗ったパンを一口食べる僕なのだった。


「ところでよ、俺のビール誰か飲んだ?」

「あ、ごめん。それ私が飲んだかも」

「うぉい!!」

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