超宇宙冷蔵庫③

ミミットさんと共に、野菜コーナーに向かうこと数十分。

途中でローパーに襲われながらも、僕達は何とか野菜コーナーにたどり着き


「ヘッジさん!!ネモさん!!ランドさん!!」

「ヘッジ!!来たわよ!!」


無事、ヘッジさんと合流したのだった。


「お〜!!やっと来たか」

「遅かったッスね」

「ちょっと雑草ローパー退治をしてたから、つい」

「そっか、なら仕方ないな」


やっぱり、ローパー=雑草っていう認知なんだ。


「....無駄口は後にしろ。それより、今から野菜を確保する」


色とりどりの野菜がズラリと並んだ棚を見つめながら、そう言うヘッジさん。


「それで?今回は何を取るの?」

「そうだな.....今回は、トマメッツ・オニソン・チーシャ・ポテトゥ、それから、カロットを確保するつもりだ」

「健康的なラインナップッスねぇ」


宇宙の野菜.....どんなモノなんだろう?


「それじゃあ、ササっと取ってくるわ」


そう言った後、ミミットさんは軽々と棚を登り、指定された野菜をゲットしていった。

そして、最後の野菜を手に取ろうとした時、何かに気づいたヘッジさんは、こう叫んだ。


「ミミット!!そのまま右に移動しろ!!」

「へ?」

「早く!!」


何が何だか分からないまま、右へと移動するミミットさん。

その瞬間、さっきまでミミットさんがいたところの中から、大きな芋虫のような生物が現れた。


「嘘!?何でグール虫がここに!?」


大きな芋虫の登場に対し、思わず、そう叫ぶミミットさん。


「ミミット!!そのまま降りてこい!!」

「分かってるって!!」


ヘッジさんの言葉に対し、ミミットさんはそう答えた後、棚から降りると..........それが引き金になったのか、野菜の棚の中から、次々と大きな芋虫.....グール虫が次々と現れるのだった。


「ギャアアアア!?何じゃこりゃあぁぁぁぁぁぁ!?」

「あっちもこっちもどっちもグール虫だらけッス!!」


一斉に出てきたグール虫に対し、顔が真っ青になるネモさんとランドさん。


「ミミットさん!!大丈夫ですか!!」

「う、うん、何とかね.......」


そう言いながら、フラフラと立ち上がるミミットさん。


「ネモ!!ランド!!ミミット!!リューセー!!ここは一時退却だ!!」

「は、はい!!」


流石にヤバいと判断したのか、その場から撤退するように指示するヘッジさん。

確かに、こんなに大量の虫が出たら、逃げたくなるよな。


「逃げるが勝ちッス〜!!」

「もう!!途中までは上手く行ってたのに!!」

「ローパーがいるのなら、グール虫も居て当然ってことかよ!!」


逃げながら、そう口々に言うネモさん達。

ふと、僕は逃げながら、野菜エリアの方を振り向くと......野菜エリアの棚の中にいたグール虫達は、獲物が去ったことを確認したのか、棚の中に戻っていったのだった。


「ヘッジ!!これからどこに向かうの!!」

「....この先には乳製品エリアがある。そこでは一旦休息を取ろうと思っている」

「分かったわ!!」


ヘッジさんの言葉通り、乳製品エリアへと向かった僕達。

乳製品エリアには、牛乳らしき物の他に、見たこともない食べ物がズラリと並んでいた。


「しっかし、凄い数の食材だな....」

「どれを選ぼうか、迷うッス」

「テキトーに選べばいいんじゃない?」


たくさんの乳製品を前に、そんな会話をするネモさん達。


「こんなにたくさんの乳製品を飲み食いしていたなんて..........超古代宇宙人の人達は、グルメだったんですかね?」

「かもな」


だとしたら、冷蔵庫が要塞化してもおかしくはない..........てことか。


「あ〜。色々と動いたから腹が減った〜」

「それはオイラも思ったッス」

「まさか、ローパーどころかグール虫が居るなんて、想像もつかなかったしね」

「..........そうだな」


確かに.....結構歩いたから、僕もお腹が空いているんだよな。

...........寒い中、こんなにもお腹が空くとは思わなかっだけど。


「...........どうする?ここで飯にするか?」

「賛成〜!!」

「オイラもその意見に賛成ッス!!」


そう言った後、カバンの中からお昼ご飯を取り出そうとするネモさん達。

しかし、いくら探しても見つからないのか...........その顔は、徐々に焦り顔へとは変わっていた。


「あ、アレ?おかしいな.....ちゃんと入れたはず...........だよな?」

「そ、そうッスよね....」

「も、もしかして...........逃げてる最中に、落とした.....とか?」


ミミットさんがそう言うと、ネモさんとランドさんの顔は真っ青になり


「「それだ!!」」


と叫んだ。


「うわぁぁぁぁぁ!!やっちまったぁぁぁぁ!!」

「これじゃあ、冷蔵庫の中で餓死しちゃうッス!!」

「嫌だ!!それ絶対シャレにならないやつじゃん!!」


絶望しながら、そう言うネモさん達。

一方のヘッジさんはというと......


「..........」


細長い筒のような物を持ってきていた。


「あ、それがヘッジさんのご飯ですか?」

「......そうだが?」


チラッとこっちを見た後、そう言うヘッジさん。


「いいな〜、一口頂戴」

「ダメだ」

「ケチ!!」


プンプン怒るミミットさんを尻目に、ご飯を食べようとするヘッジさん。

しかし、その筒の中から出てきたのは.......一粒のチョコっぽい物だけだった。


「...........」

「あ〜、その.....とりあえずドンマイ」


ヘッジさんに対し、そんな言葉をかけるミミットさん。


「だぁぁぁぁぁぁ!!これじゃあ八方塞がりじゃねぇか!!」

「いえ、そうとも限らないですよ」

「え?」


僕の言葉に対し、キョトンとするネモさん。


「僕達には.....これがあるじゃないですか!!」


そう言った後、僕がカバンの中から取り出したのは.........いくつかのローパーの実だった。


「そ、そうか!!ローパーの実があったんだった!!」


ローパーの実を見て、顔が明るくなるネモさん。

それは、他の皆も同じだったようで


「ハッ!!ローパーの実の存在を忘れてたわ!!」

「これはありがたいッス!!」

「......よくやった」


と、嬉しそうに言った。


「それじゃあ、ローパーを使って一品作りますね」


そんなわけで、冷蔵庫内で料理をすることになった、僕なのだった。

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