超宇宙冷蔵庫②
「うわぁ.......」
白い吐息を吐きながら、冷蔵庫内を歩く、僕とミミットさん。
今、僕達がいるところは、卵のエリアらしく...........棚の中には、様々な種類の卵がたくさん置いてあった。
「これ、全部食べられる卵ですよね?」
「当たり前じゃない!!でなきゃ、ここに置いてないわよ!!」
「デスヨネー」
遠い目をしながら、そう呟く僕。
一方、ミミットさんはと言うと..........準備運動をした後、スイスイと棚を登っていき、いくつかの卵を持って降りてきた。
「はい、これが第一弾ね」
「あ、は、はい!!」
そう言った後、卵を受け取る僕。
そして、再び棚へと登るのだった。
「ミミットさん!!あんまり無茶しないでくださいね!!」
「分かってる!!」
そう言った後、床に降り、卵第二弾を渡すミミットさん。
受け取った卵は、全て大きさも形も色も柄も違い、どれも個性豊かな見た目をしていた。
「これだけあれば、十分でしょ」
僕に向けて、自慢げにそう言うミミットさん。
「確かに......これだけあれば、しばらくは待ちそうですね」
「でしょ?」
そんな会話をした後、卵エリアを後にしようと動いたその時、ミミットさんはピクリと反応した後...........天井に向けて、銃弾を放った。
その瞬間、何かの生き物の断末魔が聞こえたかと思えば、天井から、一匹のローパーの死体が落ちてきた。
「全く......油断も隙もないんだから」
「こ、ここにもローパーが.......」
僕は、呆然としながら、ローパーの死体を見ていると..........ミミットさんはおもむろにナイフを取り出し、ローパーの死体を解体し始めたかと思えば
「あった!!」
その死体の中から、綺麗なオレンジ色の丸い物体を取り出すのだった。
「な、何ですかそれ.......」
「何って、ローパーの実」
「実!?」
ローパーの体内に実があるってことは......
「ローパーって、植物なんですか!?」
「そうだけど?」
ビックリする僕に対し、サラッとそう言うミミットさん。
「ローパーはね、天井に実をくっ付ける習性があるのよ。だから、普段は洞窟とかに生息しているんだけど..........」
「不法投棄された宇宙船内に住み着くローパーが後を経たない...............ってことですか?」
「そう!!そうなのよ!!だから、こっちは貴重な弾丸を使う羽目になるのよね......」
ローパーを見つめながら、忌々しげにそう言うミミットさん。
「だけどその分、ローパーの実が食べられるから、ちょっぴり嬉しいんだけどね」
「あ、それ食べられるんですね」
「そうじゃなかったら、わざわざ解体しないわよ」
そう言った後、ミミットさんは解体されたローパーの中から、何個かの実を取り出し、それを小袋へと入れた。
「ちなみに...........ローパーの実って、どうやって食べるんですか?」
「そうね....私の家では、茹でて食べていたわ。茹でるとネットリ滑らかな食感になって、美味しかったのは覚えてる」
ネットリ滑らか......かぁ。
何か、美味しそうだな。
「それじゃあ、生では食べられないんですか?」
「生でも、食べれるには食べれるけど..........私の好み的には、茹でた方が好きだわ」
ローパーの実をジッと見つめながら、そう言うミミットさん。
僕は、そんなミミットさんの言葉を聞きながら、メモを取るのだった。
「あと、ローパーの実は甘いから、デザート向きね」
「デザート!!」
デザートかぁ...........選択肢がいっぱいあるから、どれを作ろうか迷うなぁ。
そんなことを思っていたら、突然、ミミットさんの通信機に連絡が入ってきた。
『....こちらヘッジ、聞こえるか?』
「こちらミミット、バッチリ聞こえるわ」
通信機越しに聞こえるヘッジさんの声に対し、そう答えるミミットさん。
「それより、連絡してきたってことは..........何かあったの?」
『.....いや、ただの定時連絡だ』
「あ〜、そゆことね」
ヘッジさんの言葉を聞き、ミミットさんはホッとした様子で、そう呟いた。
『そちらはどうだ?良い物はあったか?』
「もちろん!!卵を何十個か確保したわ!!それから、ローパーの実もね!!」
『なるほど。了解した』
ミミットさんの言葉を聞き、通信機越しにそう言うヘッジさん。
すると、今度は通信機から別の声が聞こえてきた。
『リューセー!!無事か?』
「ネモさん!!」
『良かった!!無事みたいだな!!』
通信機越しに、嬉しそうに言うネモさん。
「ネモさん、ランドさんは?」
『安心しろ、ちゃんと生きてるぞ』
『酷いッス!!』
ネモさんの言葉に対し、そうツッコミを入れるランドさん。
どうやら、ヘッジさんチームは全員無事らしい。
「ネモとランドが無事ってことは、そっちのローパーは既に倒してあるってことね」
『そういうことッス!!』
ランドさんの言葉を聞き、ホッとする僕。
『ミミット、リューセー、俺達は野菜エリアに向かう。お前達もそこに向かってくれ』
「OK‼︎」
「わ、分かりました!!」
こうして、少しだけ休憩した後、集合場所に向かう僕達なのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます