超宇宙冷蔵庫

超宇宙冷蔵庫①

宇宙人達に攫われた末に、アルゴナ号の仲間入りした次の日............今現在の僕達はと言うと


「す、凄い.......」


食料を調達するため、宇宙ステーションならぬ、宇宙冷蔵庫に来ていた。


「ここ、本当に冷蔵庫なんですか!?宇宙要塞の間違いじゃないんですよね!?」


宇宙要塞と言われてもおかしくはない、冷蔵庫を指差しながら、そう言う僕。


「何言ってんだ?どっからどう見ても冷蔵庫だろ?」

「普通、冷蔵庫に行く時には銃を装備しませんよ!!」

「そりゃ地球の冷蔵庫は宇宙一安全だからさ」

「これぞまさしく宇宙ギャップってやつね〜」


ネモさん曰く..........宇宙では、冷蔵庫=超古代宇宙人が残した遺跡らしい。

超古代宇宙人とは、遥か昔に存在した知的生命体で、文献や書物によれば、めちゃくちゃデカかったとか。

ただ、超古代宇宙人は何万年か繁栄していたものの......突然、ポックリと絶滅し、彼らの生きた証として宇宙に残されたのは、古びた宇宙ステーションらしき遺跡と、放置された宇宙船だけ。

そして...........それらの中には、当然ながら貴重な遺物が眠っているので、トレジャーハンターとして稼いでいる宇宙人も少なくないのだとか。


「んで、この冷蔵庫内は一万年以上待つように設計されてるらしくてな、ここなら、タダで食料を調達できるってわけだ」

「ただし、凶暴な宇宙生物がいるから、そこは気をつけた方がいいッスよ」

「ヒェ」


凶暴な宇宙生物がいる冷蔵庫......うん、ヤバいな。


「でも、その分美味しい食材は多いから、期待して損はないわ」

「だといいんですけど....」


不安しかないよ.....


「..........行くぞ」


不安でいっぱいな僕を尻目に、鉄製の壁の隙間から、冷蔵庫内に入っていくネモさん達。


「あ、ま、待ってください!!」


意を決して、僕も冷蔵庫に入ると...........そこには、綺麗にズラリと並んでいる棚があった。


「さ、寒っ!!」


ガクガクと震えながら、そう呟く僕。

てか、普通の冷蔵庫よりも寒くね?


「あ、リューセーにこれを渡すのを忘れてたッス」


そう呟いた後、ラムネのような物を手渡すランドさん。


「こ、これは....?」

「まぁ、食べれば分かるッスよ」


そう言われ、恐る恐るラムネのような物を食べると..........あっという間に、体がポカポカ暖かくなるのだった。


「あ!!何か、体がポカポカします!!」

「良かった、環境適応タブレットは地球人にも効くっぽいッスね」

「環境適応タブレット?」

「簡単に言えば、寒いところで体が暖かくなったり、暑いところでは体が涼しくなったりする便利な食べ物ッス」


また某猫型ロボットみたいな道具キター!!


「こんな便利な物があるなんて....宇宙って凄いですね!!」

「そうッスねぇ」

「ランド、リューセー、そろそろ行くぞ」

「は、はい!!」


ヘッジさんの掛け声と共に、冷蔵庫を進む僕達。

棚の中には、卵・肉・野菜・肉・加工食品...........などなどが、種類ごとに分けられてあり、僕にとっては、見たことのない食材ばっかりだった。


「たくさんありますね.......」

「それだけ、この冷蔵庫がパンパンってわけだよ」

「..........普通、パンパンとなった冷蔵庫を放置しますかね?」

「それは俺も思った」


そんな会話をしながら歩いていると、突然、ヘッジさんは僕達を制止すると


「......来るぞ」


と言い、物陰に向けて銃を構えた。

すると.....何かを察したのか、ネモさん達も銃を構えるのだった。


「敵は何匹?大きさは?」

「.......敵は一匹、いや、十数匹、大きさは分からない」

「了解!!」

「はぁ!?そんなにいるんスか!?」


ヘッジさん達がそう口々に言った後、物陰から出てきたのは..........触手を使って移動する、殻を被ったイソギンチャクのような生き物だった。


「キシャアアアアアアア!!」

「チッ!!ローパーかよ!!」


殻を被ったイソギンチャクに対し、銃を構えながら、そう呟くネモさん。

そして.....そのまま戦闘に入るのだった。


「リューセー!!お前はミミットと共に食料を確保!!ネモとランドは俺と共にローパーを殲滅を行う!!いいな!!」

「OK‼︎」

「合点承知ッス!!」


そう言うと、物陰の中に進むヘッジさん達。


「さ、行くわよ!!」

「は、はい!!」


ミミットさんと共に、物陰とは別方向に向かう僕。

こうして、僕達は二手に分かれて行動することになったのだった。


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