プロローグ④

「リューセーが地球に帰れないって、どういうことだよ!!」


衝撃的な事実に対し、我に帰ったのか、そう叫ぶネモさん。

それは、ランドさんやミミットさんも同じだったようで


「そうッスよ!!そんなの酷いッス!!」

「そうよそうよ!!」


と、口々に叫んでいた。


「...........ヘッジさん」

「.....何だ?」

「何で...........僕は地球に帰れないんですか?」


僕がそう尋ねると、ヘッジさんの口から、予想だにしていない言葉が出てきた。


「MIB曰く......地球内で宇宙由来のウイルスが確認された。それが原因で、宇宙からの来訪を一時的に禁止にするらしい」

「そんな.......」


確かに、変なウイルスが発見されたとかって、テレビで言ってたけど..........まさか、それが原因で帰れなくなるなんて.....


「......大丈夫か?」

「...........大丈夫じゃないです」


ネモさんの言葉に対し、そう答える僕。


「というか、その宇宙由来のウイルスって、どんなウイルスなのよ」

「.........宇宙風邪だ」

「へ〜、宇宙風邪......って、宇宙風邪!?」


ヘッジさんの言葉に対し、とても驚いた様子で、そう言うミミットさん。


「宇宙風邪?地球の風邪とは違うんですか?」

「程度にもよるけど、死者が出るような病気ではないわ。何だったら、ワクチンだってあるし」

「地球にはそのワクチンが無いんだが?」

「あ.......」


..........宇宙風邪って、インフルエンザみたいなものなのかな?


「なら、ワクチンを届ければいいんじゃないんスか?」

「地球人は俺達よりも繊細だ。恐らく、宇宙産のワクチンの副作用を懸念しているのだろうな」

「うわぁ......面倒くさいッスね」

「宇宙風邪に慣れている俺たちと違って、地球人にとっては、宇宙風邪は未知のウイルスだ。そうなっても仕方ないだろう」


ランドさんの言葉に対し、そう返すヘッジさん。

う〜む.....ヘッジさんの言い方だと、地球では、しばらく宇宙風邪が流行るってことなのかな?

..........何か、それはそれで気になるな。


「それじゃあ、リューセーはどうなるんだ?」

「それは.....」


ヘッジさんがそう言いかけた時、どこからか、お腹が鳴る音が聞こえた。


「..........ゴメン、お腹が減ってて、つい」

「確かに、オイラもお腹が空いたッス」

「俺も〜」

「お前達.......」


呆れ顔で、そう呟くヘッジさん。


「..........ヘッジ。リューセーのことは、とりあえず飯を食ってから考えようぜ」

「......そうだな」

「今日のご飯...........楽しみッス!!」

「だね!!」


そんな会話をした後、僕達はキッチンに向かったんだけど.......


「「「「「....................」」」」


何ということでしょう。

キッチンには、食料一つもないじゃありませんか(某番組風)


「...........おいミミット。食料はどうした?」


ヘッジさんがそう言うと、みんなの視線はミミットさんの方を向くと


「あ、えっと.....その、買い忘れた....かも?」


ミミットさんは、観念したようにそう言った。


「はぁ!?何やってんだよ!!」

「これじゃあ!!餓死するに決まってるじゃないですか!!」


食料が無い事実に対し、絶望の声を上げる二人。


「大丈夫よ。食料ならあるわ!!」


ミミットさんがそう言うと、ネモさんとランドさんの目は輝き


「本当か!!」

「で、その食料はどこにあるんスか?」


と言った。


「ほら、そこにあるじゃん」


それを聞いたミミットさんが、指刺す場所にあったのは..........ウヨウヨと動く、軟体生物がいた。


「..........なぁ、これ宇宙ヒッツキ虫じゃないよな?」

「そうだけど?」


ネモさんの問いに対し、そう答えるミミットさん。


「そうだけど?じゃねぇよ!!何でまたこんな気持ち悪い生き物を食わなきゃいけないんだ!!」

「オイラもネモの意見に賛成ッス!!」

「......そもそも、それは食えるのか?」

「大丈夫よ!!ちゃんと塩水に浸ければ食べれるから!!」


食べれるのか?という目で、軟体生物を見つめるネモさん達に対し、自身なさげにそう言うミミットさん。

てか、これって食べれるんだ。


「あの.....何だったら、僕が作りましょうか?」


僕がそう言うと......ネモさん達は一斉にこっちに振り向くと


「「「「本当(か)(ッスか)!?」」」」


一斉にそう叫んだ。


「リューセー、お前料理出来るのか!?」

「はい、一応は出来ます」

「救世主!!救世主がいたッス!!」


嬉しそうに、そう反応するネモさんとランドさん。


「......無理はするな」

「そうそう!!無茶はしないでよね!!」

「もちろん!!無理はしない程度に頑張ります」


こうして、宇宙船内で料理を作ることになった、僕なのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る