プロローグ③

さて、ネモさん達の宇宙船に向かうため、アブダクション先の宇宙船内を歩くこと数分後、僕の目の前にあったのは..........SF映画に登場しそうな、オンボロ宇宙船だった。


「こ、これは.....!?」

「これが俺達の船...アルゴナ号だ」


僕の方を向きながら、そう言うネモさん。


「どうだ?ボロッボロだろ?ダッセェだろ?」


笑えと言わんばかりに、自嘲気味にそう言うネモさん。


「か、カッコいい!!」

「えぇ!?お前、それマジで言ってるのか!?」


僕の言葉に対し、ネモさんは驚きながら、そう言った。


「マジのマジです!!」

「こんなオンボロ船がカッコいいだなんて..........地球人の感性って凄いッスね」

「だな」


そんな会話をした後、宇宙船に乗り込む僕達。

宇宙船の中は、アブダクション先の宇宙船よりかは狭かったものの、通路内に干されている洗濯物や、壁に染み込んでいるタバコや油の匂い。

そして..........窓に映る星の光を見つめるたびに、ここが宇宙なんだと実感した。


「戻ったぞ〜」

「ッス〜」


そう言いながら、二人に続くように大きな部屋に入る僕。

そこには、ミミットさんが居た。


「おかえり〜」

「ただいま......って、何で依頼が終わってもいないのに、酒を飲んでんだよ!!」

「仕事終わりには酒が必要でしょ?」

「今はまだ依頼は終わってねぇよ!!」


お酒らしき物を飲んでいるミミットさんに対し、そうツッコミを入れるネモさん。


「しかもそれ、俺が楽しみにとっておいた酒じゃねぇか!!」

「あ、そうなの?ゴメン」

「ゴメンで済む問題じゃねぇよ!!」


このワチャワチャ感..........何か、デコボコパーティ感があって良いなぁ。


「そういえば、ヘッジはどこにいるんスか?」

「あの石頭なら、リューセーのことでMIBと通信中よ」

「そっかぁ」


ミミットさんの話を聞き、納得するランドさん。

てか......今、MIBって言った!?


「MIBって......もしかして、メン・イン・ブラックですか!?」

「えぇ、そうよ。地球上で起きた宇宙人絡みの犯罪、もしくは、地球人が巻き込まれた事件専門の警察だと思えば良いわ」


あ、そっか。

僕は事件に巻き込まれた側だから、ヘッジさんはMIBに連絡してたのか。

というか、MIBって実在したんだ......


「てか、それオイラの残しておいたお菓子じゃないッスか!!」

「え?コレ、ランドのだったの?」


青いクッキー?らしき物を食べながら、そう言うミミットさん。


「か、返して欲しいッス〜!!」

「名前を書かなかったアンタが悪いんでしょ!!」

「それを言うなら、俺の酒返せ!!」


口々にそう言いながら、喧嘩を始めるネモさんたち。


「..........何をしている」


そんなネモさん達を冷たい目で見つめながら、ヘッジさんが部屋の中に入ってきた。


「聞いてくれよ!!ヘッジ!!ミミットの野郎、俺の酒を勝手に飲みやがった!!」

「しかも、オイラのお菓子を食べたんスよ!!これはもうギルティッス!!」

「うるさいわね!!こういうのは早い者勝ちなのよ!!」

「......うるさい」


ネモさん達の話を一通り聞いた後、そう吐き捨てるヘッジさん。


「そんなに酒や菓子が食いたいのなら、また買えばいい。それだけの話だ」

「「「ゔっ......」」」


ヘッジさんの図星にも程がある発言によって、(心に)大ダメージをくらったネモさん達。


「話はそれだけか?なら、次の話題に入っても問題はないな?」


あ、圧が凄い......


「ところで..........リューセーの件はどうなったんだ?」

「あぁ、そのことだが.................結論から言えば、リューセーは地球に帰還することが不可能になった」

「..............え?」


その言葉が出た瞬間、その場はすぐに静寂に包まれたものの


「「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」」

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