DIE WITH ZERO

読後の感想

この本の主張のまとめ。アリとキリギリスを例に出して、労働のためにばかり時間を使うことに批判を述べている。お金は、時間と引き換えに得たものだ。だから、お金を使いきらないということは、時間を無駄にしたことと同じだ。人生の経験は、そのときにしか出来ないものもある。自分の心に忠実にやりたいことを見極めて、それを体験することが大切だ。遊び呆けろと言っているわけではなく、自分の生活の豊かさのために、必要なお金を稼ぎ、使うことが大切だと言っている。

夏目漱石氏の自己本位の考えを思い出すところもある。人生を捧げるような大事業でなくとも、日々の生活の積み重ねが人生であることを改めて考えさせられる。豊かな人生のために、やりたいことを、実現する方法を見つけることは、お金こそ全てと盲目となっていた価値観に、切れ目を入れるものだと思う。


目次と問い

今しかできないことに惜しみ無く金を使え

→年齢とか、体力の話かな?

借金してでも絶対にすべきこと

→そこまでする?

人生で一番大切な仕事は思い出づくり

→思い出で変わるかな?

経験をポイント化してみよう

→初耳。新しい見方

二年半タダ働きした女性の話

→サービス残業?


印象に残ったところとコメント

二年半タダ働きした女性の話は、つまり、働いた分のお金を使いきれない例えの話だった。この本の著者はウォール街で働き、かなりの収入があるようで、自分とは重なるところは少ない。だから、環境と価値観の違いがあるので、一部は自分に当てはまらないこともあるだろうと思う。そのなかで、気になるところは、思い出の大切さについて述べられているところだ。写真などの記録を、残し、共に体験した人と振り返ることによって、記憶を振り返る楽しみがあると言う。

言われてみると、自分は、楽しい記憶は少ないように思う。振り返ってもあまり出てこない。記録にもあまり残していないので、忘れてしまったことも多いだろう。どちらかというと、働いてつらかったことや、落ち込んで苦しんだことばかり思い出される。これでは、自分の時間を豊かな生活のために使っていないと思う。最近は、よく温泉に行ったりするが、街歩きが楽しかったとか、あの店に行ったとか、ふと笑顔になるような思い出だ。最近のことを、除くと、お金と他人の評価のために時間と労力を割いていたようだ。

ある時期に行動を起こさないリスクについても、述べられている。リスクを取るなら、早い段階が良いということだ。このリスクについても、自分は及び腰だと思う。この前、クラウドワークスを見たところ、マンガの考察とか、ドラクエの記事を書くとか、ライティングの仕事があった。関心の対象は、ライティングではなく、好きなものに詳しいことが、仕事に繋がる可能性があることに気づいた点だ。人に対して伝える以上は、ライティングとか動画編集のスキルがあると好ましいのだろうが、SNSという媒体で簡単に発信することもできる。経済的視点からも、好きなことややりたいことを体験して、自分の人生を豊かなものにする努力を避ける理由はだいぶ少ないのかもしれないと感じている。特に、基本的人権が保障されていて、生存権の保護の具体的施策として、生活保護がある。その環境で、自分に忠実に生きる選択を避けることは合理的ではないように思える。

最近の思考の傾向と似た本だった。自分を幸せにするのは自分である。自分の内発的動機にしたがって、行動を選択するべし。明日、死ぬとして、今日の生命を存分に満足するものにすべし。

働き続けて、老後にやりたいことをやる。

この価値観とは違う価値観の時代になってきたように思う。

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