VividColors VS BrilliantYears

『このワールドは我らBrilliantYearsブリリアントイヤーズが貰い受ける!!』


 ≪誰も聞いてないから言い直してるぞwww≫

   ≪声は緊迫感出してるけど姿がボクセルアバターだからなぁw≫

      ≪れーちゃん、お客さんよー≫


『ん? あー、はいはい。

 極月きづきちゃん、ちょっとお客さん来たみたいだから行こっか』


『はい、分かりましたわ』


『えーっと、全体メッセージで呼び掛けてっと』


伊地藤いちふじ玲夢れむ:お客さんが来たから家に集合して下さい≫


八軒はちけん葉月はづき:早く来てくれ、こいつらうるさい≫


 玲夢れむがワールド内メッセージで全員に呼び掛けると、すでに葉月が新規参加者を対応中である事が分かった。

 VividColorsヴィヴィッドカラーズ所属Vtunerブイチューナー六人が揃うと、その対面にBrilliantYearsと名乗る六人が整列した。


『このワールドは我らBrilliantYearsが貰い受ける!!』


『何回言うんだよ……』


『まぁまぁはーちゃん、最初のキャラ付けが大事だって知っているでしょー?』


 ≪キャラ付けが大事って誰が言ってたのかな???≫

   ≪ハッキングじゃないの!?≫

      ≪ゲーム内ワールドにハッキングしてわざわざ名乗る訳ねぇだろうがw≫


『視聴者の皆さん、私達は大丈夫ですのでなぎなみ動画に通報しないで下さい!

 現在数千件に及ぶ動画通報により運営が対応に追われております!!

 どうかもうしばらくこの様子を見守っていて下さい!!』


 ≪れーちゃんがBrilliantYearsとやらをかばってるように見えて草生えるんだが≫

   ≪これは「ヤバすぎ!」を見てる層なら落ち着いて楽しめる展開≫

      ≪あぁ、そういう事かwww≫


『このワールドは我らBrilliantYearsが……』


『ちょっと待って! まずは視聴者の皆様に自己紹介して下さい。

 ほら、カメラこっちだと思って』


 玲夢のボクセルアバターが腕を上げてカメラを指差している。


『あ、はい。ありがとうございます』


 ≪お礼言っちゃったよw≫

   ≪平和だなぁwww≫

      ≪仲良くしようねwww≫


『おほんっ。


 オレは二階にかい如月きさらぎだ』


『ボクの名前は三村みむら弥生やよいだよ』


『私は五条ごじょう皐月さつきなのよ』


『やれやれ……、七海ななみ文月ふみつき


『しぃちゃんは、郡士ぐんじ霜月しもつきなんだよ?』


『我こそが十文字じゅうもんじ神無月かんなづきなのだっ!』


『オレ達はイサオアール所属Vtuner集団、BrilliantYearsだ!!』


 ≪キャラが濃いなwww≫

    ≪被らないようにちゃんと考えてあるんだよw≫

      ≪イサオアール? 今イサオアールって言った???≫

   ≪ちょーっと話変わって来たかもー≫

     ≪ちょっとイサオアールについて調べて来るわ≫


『視聴者の皆さん、どうか見守って下さい!』


『やっぱりゲーム始める前に自己紹介済ませておくべきだったんよ』


『はーちゃん、こういう時でも山崩し続けるんだねー』


 ≪イサオアールのホームページ見たら会社所在地が藍吹伊通あぶいどおり一丁目に移転してたwww≫

   ≪つまりどういう事だってばよ???≫

      ≪副社長がイサオアールを買収したのかwww≫

  ≪結局ただの茶番じゃねぇかwww≫

      ≪少しでも心配した私がバカだったは≫


≪世界の声:十二人全員でカメラに向かって一礼しましょう≫


『副社長……。

 はい、では皆さんあちらを向いて下さい!』


 世界の声を受けて、玲夢がカメラに向かって身体を向ける。それに合わせて他の十一人もカメラを見つめる。


 ≪世界の声www≫

   ≪誰だろうwww≫

       ≪見てるなら参加してほしいです!!≫


『VividColorsです!』


 VividColors所属Vtunerのボクセルアバターが揃って頭を下げているように見える。


『BrilliantYearsです!』


 イサオアール所属Vtunerのボクセルアバターも同じく揃って頭を下げている、ように見える。


『よろしくお願いします!!』


 ≪わーーー≫

   ≪盛り上がって参りましたwww≫

      ≪さぁ何をするんだ? どっちが高い塔を建てるか対決か?≫


≪世界の声:では、チームVividColorsとチームBrilliantYearsでどちらが高い塔を建てられるか対決を開始します!

 制限時間は三十分です。よーいドン!!≫


 ≪やった採用されたwww≫

   ≪裏山……≫

      ≪そんなのありかよwww≫


『ちょっと! 聞いてた話と違うんだが!?』

『諦めなよー』

『我はやるぞっ!!』

『やれやれ、仕方ないな……』

『やるしかないのですわ!!』

『しぃちゃんは副社長の為に頑張るのです!!』


 ≪誰が喋ってんのか分かりにくいwww≫

   ≪さすがに十二人同時生配信はわちゃわちゃし過ぎではw≫

     ≪これはこれで楽しいw≫

  ≪作業用ではーちゃんのチャンネル覗いたら大変な事になっててワロタ≫

     ≪勉強どころじゃねぇwww≫


『これって相手チームの資材を強奪するのはアリ?』


≪世界の声:ナシです。相手の塔を壊すのもナシ≫


『ちっ……』


『はーちゃん、舌打ちはダメだよー』


『よし、塔の建て方の練習はしていなかったが、我らが勝つぞ!』


『かんちゃん、ボクらが練習してた事は言っちゃダメなんだよ?』


 ≪聞こえてるんだよなぁwww≫

   ≪茶番も茶番だなwwwだがそれが良いwww≫

      ≪うわぁー参加してぇーーー!!w≫


≪世界の声:敵は相手チームだけじゃないので気を付けてねー≫


『そうか、夜になる前に松明で安全地帯を確保するぞ!』


『あぁ、魔物が沸いちゃうもんねー』


『爆発オチだけは避けないとだね』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る