幕間:男性に聞く100の質問とその反応
男性に聞く100の質問その1
画面は肌色一色。よく見ると、それは喉仏がぼこりと突き出た、男性の喉元である事が分かる。
「まずは私からお礼を申し上げたいと思います。男性様であるとは知らずお声をお掛けしてしまったのにも関わらず、弊社所属Vtunerとしてデビューして下さる事をご了承頂きまして、本当にありがとうございます」
最初に話し出したのは女性の声。
「いえ、こちらこそ声を掛けて頂いてありがとうございます。こうして何かを発信する事が出来る場を与えて下さり、これから多くの女性とお話出来るんだと思うと嬉しくてなりません」
女性の声に答えたのは画面に映っている喉仏の持ち主。男性の声が響くのに合わせて、喉仏が上下に大きく動いている。
「早速質問に移らせて頂きます。
一問目、
「ええ、あります。頻繁に見ている訳ではありませんが」
「二問目、
不安や迷いなどはありませんか? もしお嫌でしたら今からでも撮影を止めますが」
「ご心配下さりありがとうございます。ですが、僕は大丈夫です。
あと、質問者さんとこの動画を見て下さっている視聴者さんにお願いです。僕に対しては男性様なんて堅苦しい呼び方をしないでもらえれば嬉しいです。
もっと皆さんに僕という存在を身近に感じてほしいので、敬称を付けず一般名詞として男とか男性とか、そういう表現を使って下さい」
「私達一般女性にとって、なかなか難しいご要望ではありますが、貴方がそう望まれるのであればそうさせて頂きます。
続きまして三問目。お名前を教えて頂けますか?」
「さすがに本名は恥ずかしいので、Vtunerとしての名前を考えようと思っています。この動画を公開して、一ヶ月後くらいにVtunerデビューする予定で考えているのでそれまでに考えようかな、と」
「四問目。どのようなお名前になるか、候補に挙がっているお名前などあるのでしょうか?」
「候補ですか。パッと今思い浮かんだので挙げると、『
「いや、男性様の名前の由来が猫だなんてとんでもないです。恐れ多くて気軽にお呼び出来ません」
「そうですか、では『
「に、肉柱は何となく由来が分かりますが、皆橋大太郎とは?」
「
この動画をご覧の視聴者さん、これ以外にも何か良い名前があればコメント欄で教えて下さい」
「あ、そうね、編集で切ったらいいわね」
「え? 何をコソコソ話されているんですか? 編集する必要があるところありました?」
「それは後ほどお付きの侍女さん達を交えて話し合わせて下さい。
続きまして五問目。ご年齢は?」
「つい先日十八歳になりました」
「それはおめでとうございます。
六問目。お誕生日はいつですか?」
「七月二十一日です。オナニーの日と覚えて下さい」
「……えーっと、本当に男性様、じゃなくて男性ですか?
あ、これ七問目です」
「はい、男です。喉仏以外で分かりやすい別の外見的特徴をお見せした方がいいでしょうか?」
「いえ、信じます。信じますのでベルトはそのままでお願いします!
……八問目。どのような女性に惹かれるかなど、お伺いしても大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫です。
とはいえどのような女性と言われても困りますね。これから配信者として世の女性に好きになってもらいたい身としては、女性であれば大体好きですと言いたいところですが」
「それでは少し絞らせてもらいましょう。
九問目。髪が長い女性が好きか、それとも短い女性が好きか教えて下さい」
「長いのも短いのも好きですが、肩に掛からないくらいの長さが個人的にはグッと来ますね。ちょうど質問者さんくらいの長さです」
画面が不自然に変化する。画面に大きく字幕が表示される。
『質問者が固まってしまった為、編集で切り取って意識が戻った場面まで飛ばしました』
「…………ハッ!?
失礼致しました。次の質問に参ります。
十問目。好みのお顔はどのような雰囲気の女性でしょうか?」
「どんな顔か、ですか。可愛い系、美人系、大和撫子系、西洋のお姫様系、垂れ目、キリリとした眉毛、艶のある唇、目元のホクロ、キレイな鼻筋……。
一言で言い表せないですね」
「十一問目。女性の身体でつい目が行くところはありますか?」
「胸はやっぱり見てしまいますね。あと、ズボンやスカートに限らずお尻にも目が行ってしまいます」
「お尻、ですか。具体的にどういうところに魅力を感じられるのでしょうか。
この質問を十二問目とさせて頂きます」
「ぷりんと形のいいお尻はいいですね。弾力がありそうな見た目だと思わず手が伸びそうになってしまいます」
「胸についても質問させて下さい。
十三問目。やはり胸は大きい方が良いのでしょうか?」
「いやいや、決してそんな事はないです。誤解のないようにはっきりと言いますが、大きなおっぱいには大きいなりの、小さなおっぱいには小さいなりの魅力があるんです。大きくなければおっぱいではないなどと言っては罰が当たります」
「な、なるほど。よく分かりました。
十四問目。ご自身の身体で自信のあるところはどこですか?」
「腹筋ですね。六つに割れてるので」
「六つに割れているというのはすごいですね。
それでは十五問目。日常的に運動をされているのでしょうか?」
「空手や柔道などを習っています。とは言っても、本格的に道を極めるようなものではなく、護身術として実践的に身に付くようにするのが目的です」
「十六問目。どなたか専属の指導者がおられるのでしょうか?」
「今は亡き祖母と、生まれた時からお世話になってる侍女のお二人から教わりました。三人とも尊敬する師匠です。
今でも侍女の二人から稽古を受けています」
「十七問目。稽古が嫌だとか、もう止めたいなど思われた事はありますか?」
「いえ、ないですね。あくまで自分の為に習っているのと、一緒に習う仲間がいたのでいつも楽しかったです」
「習い事というのはなかなか続かない人も多いかと思いますが、今も続けておられるというのは素晴らしい事ですね。
少し質問の傾向を変えさせて頂きます。
十八問目。お好きな色は?」
「うーん、特に好きなのは紫ですね」
「十九問目。好きな言葉は?」
「習うより慣れろ」
「二十問目。好きな歴史上の人物は?」
「織田信長」
「二十一問目。好きな食べ物は?」
「カレー、唐揚げ、ラーメン、シチュー、コロッケ、肉じゃが……。これも挙げたらキリがないですね」
「それでは二十二問目。嫌いな食べ物は?」
「嫌いとまでは言いませんが、納豆は苦手ですかね」
「納豆のどういうところが苦手ですか?
これは二十三問目とさせて頂きます」
「臭いと味は大丈夫なのですが、唇とお箸にひっついて糸を引くのが面倒臭いんですよね。だから好んでは食べません」
「二十四問目。オクラや山芋は如何ですか?」
「どちらも好きですね。あと鰻と牡蠣とニンニクとセロリ、ブロッコリー、ほうれん草とかも好きです。全部精力が付く食べ物と言われていますね」
「えっと、そういう意味で質問した訳ではなくて……。
ゴホン、二十五問目。好きな飲み物は?」
「コーヒーも紅茶も緑茶も好きです。炭酸飲料も好きです」
「二十六問目。先日十八歳になられたとの事ですが、お酒は飲まれましたか?」
「飲んだ事はないですし、今後も飲まないと思いますね」
「二十七問目。お酒に対して何か苦手意識をお持ちのようですが……」
「ええ、ちょっと。あ、周りの誰かがお酒を飲んで自分が嫌な思いをした、とかではないです」
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