第3話 気配りが出来る少女

「では、お邪魔します♪」


 鈴音さんは笑顔で言い終えると、丁寧に靴を脱いで靴もちゃんと揃える。

 稀子の方は、靴を揃えてないので見栄えが悪い。


「~~~♪」


 鈴音さんは和やかな表情で室内に入り、周りを見渡し始める。

 そして、見渡し終えると安心した表情で呟き始める。


「まだ、布団が敷かれていませんから、どうやら未然に防げたようですね」


「……///」


「……///」


 鈴音さんの言葉を聞きながら、俺と稀子は目をそらす。

 鈴音さんはほぼパーフェクトの人でも有るが、少し嫉妬深い一面も有る。


「……比叡さん。お茶を淹れても良いですか?♪」

「後、お茶菓子も持ってきました!♪」


 鈴音さんは笑顔で俺に話す。

 俺は困った笑顔で鈴音さんに話し始める。


「じゃあ、お願いしようかな。鈴音さん」

「すこし、喉が渇いていたし…!」


「では、台所をお借りしますね!」

「比叡さん!!」


 鈴音さんは笑顔で俺に言い終えると、台所の方に足を向ける。

 ちなみに俺の部屋は和室の1Kで有る。(トイレ・風呂は別)


 俺と稀子は、昔ながらのちゃぶ台が置いて有る場所に向かい、そこに置いて有るクッションに腰を下ろす。

 稀子はちゃぶ台に、両肘を付け両手で顔を支えて、残念そうな表情で呟き始める。


「あ~~ぁ」

「鈴ちゃんの邪魔が無ければ、私は今日こそへ為れたのかも知れないのに~~」


「最近……鈴ちゃんの妨害が激しいな~~///」

「以前はこんな事無かったのに~~(汗)」


 俺と稀子の関係はまだ長いが、性的関係までは行っていない。

 これは鈴音さんも同じで有る。


 極端な事を言えば、先に大人の階段を上った人が俺との恋人宣言を出来る。

 けど、稀子や鈴音さんもまだ高校生なので、俺はその二人にキス以上の行為は出来ない。


(まぁ、現実は何だが、他人に見られる恐れも有るからな)

(もし、する時は最善の注意払わないと……)


『てく、てく、―――』


 お茶の準備が出来た鈴音さんが、お盆を両手に持ってちゃぶ台の方に来る。

 クッションは元々3つ用意して有るから、空いているクッションに鈴音さんは腰を下ろす。


 鈴音さんが用意したお茶は、緑茶で有った。

 鈴音さんは急須から、各湯飲みにお茶を注ぎ始める。


「~~~」


『ジョボ、ジョボ、―――♪』


 鈴音さんは和やかな表情で、お茶を湯飲みに注いでいく。

 お茶を湯飲みへ注ぎ終えると、鈴音さんは湯飲みとお茶菓子の配膳を始める。


「はい。比叡さん!」

「お茶請けは、満腹堂の金鍔きんつばですよ♪」


『コトッ』


「ありがとう。鈴音さん」


「いえ、いえ♪」


 鈴音さんは笑顔で俺に言いながら、お茶とお茶菓子の配膳をする。

 俺は和やかな表情でお礼を鈴音さんに言うと、鈴音さんは控えめな笑顔で返事をする。


 満腹堂は羽津音市では有名な和菓子店で有り、金鍔を売りにしている。

 鈴音さんは稀子のお茶菓子も用意して有って、俺の後は稀子の方へ配膳をする。


 鈴音さんは穏やかな表情で、稀子に話し始める。


「稀子さんも、どうぞ!」


『コトッ』


「あっ、ありがとう…。鈴ちゃん///」


 稀子は少し頬を染めた、恥ずかしい表情で鈴音さんに言う。

 稀子はこう言った気配りが出来ないからだ。


『コトッ』


 最後に自分の分と成る、鈴音さんのを手元に置く。

 俺は穏やかな表情で、二人に向けて話し始める。


「じゃあ、みんで仲良く。お茶をしようか!」

「いただきます!!」


「いただきます!」


「いただきます!」


 俺の言葉の後。稀子と鈴音さんは笑顔で食事前の挨拶をした。

 しばらくは休戦状態だ!?

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