第4話 お茶の時間

「……」


『ズズッ』


 鈴音さんが、静かにお茶を飲み始める中。

 稀子はお茶より先に、金鍔から食べ始める。


『パクッ!』


「あ~~、やっぱり。満腹堂の金鍔は最高だね~~♪」

「久しぶりに食べたけど、美味しい~♪♪」


 稀子は幸せな表情をしながら金鍔を食べている。

 俺もお茶を一口飲んだ後。金鍔を食べ始める。


『パクッ』


「流石。満腹堂だね!」

「控えめな甘さの割りにコクが有る!!」


 俺は和やかな表情で一人しゃべりをする。

 金鍔を売りにしている満腹堂だけ有って、美味しい金鍔で有るが、1個100円程度で買える代物では無い。


 鈴音さんは名家の人だけ有って、金銭面も稀子と比べて余裕が有るし、着ている服も物が良さそうで有る。

 鈴音さんも金鍔を食べ始めるかと俺は思っていたけど、何故か表情に成って、稀子に話し掛ける。


「ところで稀子さん」

「どうして、稀子さんはまだ制服姿なんですか?」


「へっ!?」


 突然、話し掛けられた稀子は驚く。

 だが、稀子は和やかな表情で鈴音さんに話し始める。


「あれだよ。鈴ちゃん!」

「たまには私の制服姿を、比叡君に見せて上げようかなと思って!!」


「はぁ~~」

「稀子さんは制服姿で、比叡さんを誘惑しようしたんですか……」


 鈴音さんは溜め息の後。げんなりした表情で一人しゃべりをする。

 確かによく考えれば、鈴音さんが私服で来ているのに、稀子が制服姿なのも可笑おかししいよな。


 鈴音さんは呆れた表情で、稀子に話し始める。


「それで、稀子さん」

「ちゃんと……私服は持って来たのですよね?」


「その辺は大丈夫だよ。鈴ちゃん!」

「比叡君は私の制服姿より、私服の方が好みだから!!♪」


 稀子は笑顔で鈴音さんに話す。

 稀子の私服姿は、桃色系のカーディガンと白色系ワンピースの組み合わせで有る。


 稀子の幼さをワンピースが強調させるが、カーディガンを大人らしさを演出する。

 俺の中では、稀子の好きな姿の一つでも有る。


 鈴音さんは困った微笑み表情で、稀子に話し始める。


「それなら良いですけど、おやつを食べ終えたらちゃんと着替えてくださいね。稀子さん」

「その姿では、その後の買い物が行きにくいですから…///」


「……」


(あぁ!)

(二人は今晩泊まって行くと言っていたな!!)


 俺は鈴音さんの言葉で有る事に気付く。

 稀子や鈴音さんも、着替えなどは持ってきている感じで有るが、晩ご飯の材料などを持って来ている感じは無かった。


 稀子は素っ頓狂な表情と声を上げながら、鈴音さんに話し始める。


「えっ!?」

「鈴ちゃん!!」


「今から何処かへ、買い物に出掛けるの!??」

「鈴ちゃんは比叡君の家に、遊びに来たんだよね??」


「?」

「何を驚いているのですか。稀子さん?」


 稀子がそう言う中。鈴音さんは澄ました表情と、落ち着いた口調で稀子に話す。

 鈴音さんは困った微笑み表情に成って、稀子に言葉を続ける。


「だって……稀子さん」

「私たちが急に押し掛けて来たのですから、買い物に出掛けないと今晩の晩ご飯が作れないと思いますよ///」


「……あっ」

「そう言えば、そうだね……鈴ちゃん」


「私も、比叡君に『今晩何を食べたい♪』と、聞くつもりで有ったし」


 稀子も鈴音さんの言葉を理解して、理解した表情で呟く。

 お茶の後は、3人で買い物に行く流れに成りそうだ。


 今まで稀子と二人で、お家ご飯を食べた事が有るが、鈴音さんを含めては初めてで有る。


 ……


 稀子から鈴音さんを紹介された時。

 鈴音さんは、俺への強い好意を最初の内は見せなかったが、俺が稀子と関係を深めると共に、鈴音さんは俺へ好意を見せ始めた。


 鈴音さんに彼氏や、男性親友はいないらしい。←これは稀子からの情報


 これは俺の予想だが、隣の芝生は青い現象だと俺は見ている。

 俺と稀子が仲良くしているのを見て、鈴音さんも色々な意味で我慢出来なくなったのだろう。


 だからこそ、こんな状態に成ってしまった///

 けど、稀子は鈴音さんといがみ合わないし、鈴音さんも俺への強い好意を示すが、稀子ほど積極的では無い?


 変な言い方をすれば、鈴音さんは稀子の事が心配で有ると同時に、異性で有る俺に興味が有るのだろう?


 ☆


 お茶の後の時間。稀子は制服から私服に着替え、俺は稀子、鈴音さんの三人で晩ご飯の材料を買い行く為、近所に有るスーパーへ向った。

 最初に起きた騒動なんて、すっかり忘れている三人でも有った。

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