第2話 もう一人の少女

「じゃあ、比叡君!」

「早速、私とキスをしようか!♪」


『チュッ❤』


 稀子は笑顔で言い終えると、俺にキスをする。

 稀子は本当に積極的だ!


「んっ……稀子。俺も稀子が好きだ///」


 俺は稀子を優しく抱き締めながら、甘い言葉も言う。

 まだ夕方の時間なのに、俺と稀子は早々とヒートアップし始めていた。


『ピンポーン♪』


『ピンポーン♪』


「!!///」


「!?///」


 これから、稀子と本格的へ入る前に玄関のインターホーンが鳴る。

 インターホーンで当然。俺と稀子は驚く。


「ちぇ……りんちゃんが、邪魔しに来たな///」


 稀子は俺を抱き締めながらで有るが、表情で呟く。

 稀子は少し頬を染めた微笑み表情で、俺に話し始める。


「比叡君///」

「少しお預けだね///」


「…だね。稀子」


 俺は苦笑しながら稀子に話す。

 鈴ちゃんとは、美作鈴音みまさかすずねの事で有り、稀子は鈴音すずねりんちゃんと呼んでいる。


 稀子の同級生及び、同じ下宿人で有り、鈴音さんも稀子と同じ小柄な体型で有るが、綺麗な黒髪ロングヘアーで有り、性格も大人おとなしい。

 稀子はで呼んでいるが、俺はで鈴音さんを呼んでいる。


 鈴音さんの実家は名家めいからしく、お嬢様の一面も見られるからで有る。

 それに、今勤めている企業にもらしい。


 稀子は俺から離れ立ち上がり、玄関の方に向う。

 俺は座ったままだ。


『ガチャ!』


 稀子が玄関のドアを開けると、稀子の予想通り鈴音さんが立っていた。

 鈴音さんの両手には、手荷物が持たれている?


 鈴音さんは嬉しそうな表情で、稀子に話し始める。


「やはり、比叡さんの所に来ていましたね。稀子さん♪(怒)」

「抜け駆けは許しませんよ!♪(怒)」


「おばさまから『今晩は稀子ちゃん。友達の家で泊まるそうです』と、聞きましたから、もしやと感じていましたが…(怒)」


 鈴音さんは嬉しそうな表情で有るが、実は怒っている様にも見える。

 稀子はバツの悪い表情で、鈴音さんに言い始める。


「抜け駆けって……鈴ちゃん///」

「比叡君は、ほぼ私の物だよ///」


「そうですけど、私も比叡さんの事が好きなんです!」

「まだ比叡さんは、稀子さんを恋人宣言していませんから、その行為は抜け駆けですよ!!」


 鈴音さんは悪意の有る笑顔で稀子に話す。

 鈴音さんは俺の事を好いてくれているが、稀子を裏切る事は出来ない。


 けど、容姿は鈴音さんの方が上だ。

 性格も鈴音さんの方が遙かに大人だし、鈴音さんは名家の人だから、運が良ければ逆玉の輿も期待出来る。


 言葉は悪いが、俺は鈴音さんをキープしている。

 どちらも捨てがたい二人で有るから、俺は稀子と鈴音さんと関係を持っている。


 俺は立ち上がり、困った笑顔で鈴音さんに話し始める。

 ちなみに鈴音さんの姿は、黄色系のロングニットと水色系のスカートで有った。


「鈴音さん。こんにちは」

「鈴音さんも、遊びに来てくれたの?」


「はい。遊びに来ました。比叡さん!」

「私も今晩。比叡さんの家にお泊まりするつもりです!♪」


「おばさまにも言って有ります!!♪」


「……///」


 鈴音さんは弾ける笑顔で俺に話す。

 稀子は『参ったな』の表情をしている。


 稀子にとっては邪魔者が入ってしまった。

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