遊びませんか…?

第17話

秋。葉が色を変え始め、秋に「𓏸𓏸の」を付けてそれをしてしまう人もいるこの時期。


「今度2人きりで遊びましょう」


とローズが誘ってきた。

海に誘われたら読書の秋だから忙しいとか言って断ろうとしたのに。

にしても珍しいな。


「いいぞ。どこで遊ぶんだ?」


「私の家で」


「…?ちょ、もう一回言ってくんね?」


「私の家」


「…何で」


「親が黒服も認める男の人を見てみたいと」


「…嫌だ」


「大丈夫です。何もしません」


「それ信用ならんけど」


「親は、ちゃんとしたお仕事をしておりますよ。ヤクザなどの仕事は以ての外。しかし、黒服達は、そういう傾向の人が多いらしいですけれども…」


「最後の一言が無かったら行こうとは思えたな」


「つべこべ言わず来てください。それと、今日は一緒に帰りましょう。私の家を紹介するので」


「え〜…」



嫌だな。

そう思いながらも結局、ローズの家で遊ぶ事になった。



数日後…。



「お邪魔します…」


「あら、普段そのように礼儀正しくないのにどうしてそんな畏まっているのですか?」


「お前は相変わらず余計な言葉が多すぎる」


「珍しいと想いまして。あっ、どうぞ中へ入って下さい。居間に案内します」


「分かった」



そして俺はローズについて行く。

…。

…。



「何でこんな廊下長いんだ」


「え?ここの廊下が1番短いと思うのですが…」


「…ローズの家見た時にも思ったけど結構な豪邸だよな」


「そうですね。それでも予算は余っているのですから…。想像するだけで目が回りそうです」



こっちからしたら首が360°回るくらいだわ。


俺の家は普通の一軒家だしなんならメイドと2人暮らしだ。

しかも結構節約している。


「ここが居間です」

「広っ…!」

「ここが一番小さいのですが…」

「…」


コイツの親どんだけ稼いでんだよ。

もしかしたら父さんよりも稼いでる説あるぞ?


「さて、そろそろ本題に入りましょう」

「何して遊ぶか?」

「違います。相談を受けて欲しいんです」

「なんだ?」

「…。私の、友達の話なんですけれども…」


あっ、これ絶対ローズの話だな。

俺はそう思いながらもちゃんと話を聞いた。


「その友達の異性の友達と仲良くしているのを見て…。心が、キュッとして落ち着かなくて、痛くて、何故か泣いてて…」


ローズはそれの意味が分からないと言う。

俺は、分かっていた。

でも、言っていいのだろうか。

これは、場合によっては違いうる可能性だってある。

でも、俺は確信を着くように、ローズに言った。


「それは、恋…じゃないのか?」


「恋…?それってあの?それも、私が?」



ローズは恋という意味は分かっていたのだが、感情は知らないようだ。

しかも初めての。それにまさか自分がなるとは思っていなかったのだろう。



「で、相手は誰なんだ?」

「え…?」


優だろうか?まさか、他の男だと言うのだろうか?いや、それは無いか。よっぽどの事がない限り、ローズは心を許さないからな。

いや、それを乗り越えてこその恋か。

誰だろな。でも、優以外の男子の名前知らないからなぁ…


そんな事を考えているとローズが口を開いた。


「教えません…」

「あぁ、そうか。まぁ、それでいいよ」


教えるのが恥ずかしいのか。これは俺の配慮が足りなかったな。


「ん?何かお前顔赤くないか?」

「…黙ってて下さい!」

「そうか。恋だと分かったから恥ずかしいのか…。いやぁ、良いなぁ。俺が恋してる時を思い出すな…」

「だから、黙っててくださいって!う〜…。今日はもう帰って下さい!」

「あ、あぁ。じゃあな」


ローズに押されながら俺は居間から出ていった。


「はぁ…。何であんな事言ったんだろう。もうちょい粘って、好きな奴聞き出すまでしたかったなぁ…」


と俺が呟きながら廊下を歩いていると、後ろから声を掛けられた。


「ちょっと良いでしょうか?」

「はい、何でしょう」

「わたくし、ローズお嬢様のSPの黒露と申します」


その黒露と名乗る女性は、いつもローズに付いてきていた黒服であった。

…いつも遠くから見ていたから分からなかったけどこの人、女なんだな。

黒スーツ黒パンツだったから男だと思っていた。


「何ですか?」

「お嬢は、何と言っていたのでしょうか。日頃の疲れやストレスなど話していたでしょうか?何かわたくし共に対する文句などでしたら対処致しますので、どうか教えて下されば、有難いです」

「いいえ、そんな事は無いですよ。それにそんな文句とかじゃない話ですし…」

「それでは、何を話していたのでしょうか。わたくしとローズお嬢様が認めたご友人なのであれば、わたくし達に話したくないような事でしょうか?」

「いや、ちょっと恋バナしていただけですよ」

「お嬢様が、恋バナ…!?恋バナと言ったら、あの恋の話ですよね!?お相手は誰でしょうか!?」

「落ち着いて下さい。それに教えてくれませんでしたし」

「そうですか…。貴方でさえも教えて下さらないとは…。いや、もしかしたら…」

「何ですか?宛があるのですか?」

「はい。後でローズお嬢様に聞いてみます」

「その人はどのような人ですか?教えて欲しいです」

「秘密です」

「そうですか…。あ、僕はもうこれで失礼します」

「そうですか。それではまたいらっしゃって下さい」

「分かりました」


そうして俺は帰った。


【ローズ目線】

「は〜…。まさか、これが恋とは…」

「お嬢様失礼します」

「何?今ちょっと1人にしてほしいの」

「タメ口になっていますよ」

「別にいいでしょう」

「それもそうですね」

「で、何?」

「さっき、お嬢様のご友人から聞いたのですが、恋バナをしていたらしいじゃないですか」

「…それがどうしたの?」

「お嬢様の好きな人、あの人でございましょう」

「…違うし」

「でも、信用するご友人に好きな人を話さないのは、恥ずかしいかその人自体が好きなのかと2択でしょう」

「私は前者だから」

「お嬢様。顔が赤いですよ。熱でもあるのでしょうか?明日はお休みになられますか?」

「…いや良い」

「好きな人に会いたいから」

「あぁ、もうどっか行ってよ〜!」

「お嬢様は可愛らしいですね」

「う〜、もうー!」


私は一晩中弄られていた。

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外国人に恋した なゆお @askt

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