遊ぼう!(3回目)
第16話
「一志君!」
「今度はどこに遊びにいくんだよ…」
期末テストも終わり、そろそろ夏休みに入ろうとしている頃。
海がまた遊びに誘ってきた。
「今度皆で海に行かない?」
「…」
「無言でこっちを見るのやめてもらえる?」
「ごめん。お前の名前かと思って」
「まぁ、別にいいよそんな事より!行けるの!?」
「…行けたら行く」
「一志君、それ行かないやつじゃん」
「だって、今度優が遊べなくなったら困る。俺は周りの男子から強烈な殺意とかの負の感情持った目で見られるのは嫌なんだよ」
「大丈夫。その日は親も休みらしいし」
「そうか」
「さっきの聞いて「それなら」って言わないの、逆に尊敬するよ」
「嫌なものは嫌だ」
「じゃあ、ジャンケンで決めよう。勝った方が言う事聞かせるね」
「よし、じゃんけんぽん!」
「勝ったー!」
「…くそ!じゃあ今度は負けた方にしよう」
「ジャンケンほい」
「勝った…だと?」
「一志君って、運悪いよね」
「…くそ、分かったよ。行くよ」
「案外あっさり。一志君にしては珍しいね」
「勝手に言ってろ」
当日。
「わぁー…!海だー!」
「綺麗ですね」
「「…」」
「どうしたの?男の子なんだから、もうちょっと気分上げようよ」
「なんで、お前らそれなんだよ」
海とローズはビキニを着ていた。
海に行くと言っただけで遊ぶとは聞いていない。
まぁ、メイドに一応水着を持っていきたしょうと言われたので、持ってきたが。
「うわー、なんだろうあの2人。女優さんとかかな?」
「綺麗…」
「一緒にいる男殺さないか?」
「俺はそれに賛成だ」
と周りからは殺意と注目を浴びせられるばっかりだ。
「ほら、2人とも。早く着替えてきて」
「分かったよ…」
「こんな雰囲気の中やらなきゃ行けないのか…」
と2人して嫌がっていた。
いやいや着替えて行くと…。
「ねぇ〜、お兄さん達と遊ばなーい?」
「君達可愛いねー。ちょ、お前どけろよ」
ローズと海がナンパにあっていた。
まぁ、アイツらモテるから、そういう事頻繁に起きるのだろう。
仕方ないから止めに行くか
「はい、そこまで」
「なんだ?テメェ」
「ナンパは良くないぞ」
「うるせぇ!このガキが!」
と叫びながら殴られた。
「痛いな〜…。あっ、そういえばこれ録画してるんだけどさぁー、これSNSに流してもいいかな?」
「…!テンメェ!」
「流されたくないなら帰りな」
「クソ!」
ナンパ男はまた殴ろうとする。
俺は拳を止め、力いっぱいに握りしめた。
「痛!」
「俺、そんなに弱くない訳じゃないんだよね。だから痛めつけないでネットに流すだけにしようと思ったのに…」
「おい!離せ!」
「これ以上やるようなら、俺は容赦しない。いいか?よく聞け。コイツらに近づくな…!」
「ヒィ!」
ナンパ男は怯えながら逃げって行った。
「一志君ありがとう…!あっ、殴られた所大丈夫!?」
「大丈夫だよ」
「一志君…良かったです。実は私こういうの初めてなので怖かったです」
「そうか…今までは黒服いたもんな。ん?そういえば黒服は?」
「前遊んだ時にいたらしく、その時に一志君になら任せられると思ったと言って護衛無しで遊びに行く事を一志君がいる事を前提で許可してくれました。」
「いや何でだよ」
またもや俺に信頼を寄せられてしまった。
しかも海は何故か仲間外れだし。
「ちなみに海は?」
「男の方がナンパもされないから良いだろうと」
「さっきナンパされたばかりだけどな」
「助けてくれたでしょう」
「それもそうだな」
助けなきゃ良かったと思うが、
良かったのでは?と思ったが、
海が殺気が籠った目で見て男達が引いていく姿が目に見えたのでやはり助けなくても良かったと思い直す。
「怖かった…」
と海が涙目になりながら言ってきた。
俺は慰める為にあたまを撫でた。
「ん…」
と可愛い声を出して嬉しがっていた。
俺の理性がぶち壊れそうになりそうだ。
「…あ、あのぉ…」
「「!?」」
ローズが声を掛けた事で海が現実へと戻ってきた。
そして辺りを見て、嫉妬と温かい目で見られている事に気が付きどんどんと顔を赤くする。
「うぅ…」
と蹲り、恥ずかしがる。
俺もそれに負けず顔を赤くし蹲った。
後から来た優は俺達を見て「具合悪いの!?」
と心配してくれたが、ローズを事情を説明すると温かい目で見てきた。
しばらくして、落ち着いてきたから遊ぶ事にした。
最初は水をかけ合う事にした。
皆が持ってきた水鉄砲で戦っていた。
「優!2時の方向!海がいる!」
「了解!」
「俺は10時の方向に行く!」
「海を倒したらサポート行く!」
「感謝!」
「何あの2人!?分からない単語発してるんだけど!」
「分かりませんがあの2人、随分相性が良いらしいですね」
「うわー!」
「海さん!」
「よし1キル!」
「よそ見は良くないぜ!」
「!?」
ローズは俺より早く打っていた。
「グへっ!」
「一志!」
「後は…たの…む」
「分かった!」
「…」
「ビゃ!」
と優も倒されてしまった。
「いてて…にしまてもローズ強いな」
「小さい頃に習ってたので」
ローズがそう、笑顔で言った。
…。ローズの親は何をしている人なのだろう。
次はスイカ割りをした。
最初は俺がやった。
「右!右!あぁ!行き過ぎ!」
「前だ!前!そうそこ!」
「そのまま振りかぶっえ!」
俺は振りかぶっていきよいよく下へと力を込めた。
当たらなかった。
まぁ、まだ最初だし。
次は優の番だ。
「どこだ…?」
と棒を振りながら探す優。
ずる賢いな…。
と思いながら優にアドバイスする。
「そこだ!」
と下に棒で殴りつけるも外れる。
「あぁ惜しい」
と嘆いていた。
続いて海の番となった。
誘導して上手くスイカの前に立った。
そしたら、優が
「それを一志の頭だと思って!」
と言った。
そしたら海が思いっきり振り下ろした。
だが外れてしまった。
「…」
俺はただただ怖かった。
俺は二度と海に変な事をしないと誓った。
最後のローズの出番。
スイカの前に立って位置を調整し、大きく振りかぶる。
そして力一杯に下へ叩き付ける。
「割れましたよ!」
とキラキラとした目で言った。
「おぉ!」
と拍手してさっさと食べようとちょっと凸凹のできているスイカを食べた。
食後の運動という事で皆で泳いだ。
誰が早いか、とか誰が深く潜れるかとか小さい魚が通って行ったりとか。
遊んでいるともう夕方になってしまった。
海から上がると海が
「楽しかったね」
と言ってきた。
その瞬間。
俺は夕日に照らされている、海を見て、
綺麗だと思ってしまった。
【ローズ視点】
今日、1日中楽しかった。
もう夕方になってしまい、海から出て、一志君と海さんが話している所を見て、酷く心が傷んでしまった。
なぜだろう。
自問自答しても答えは出てくれなかった。
海さんと話している一志君を見ていると、
何でこんなにも心が苦しいのか。
海さんを撫でていた時だって
心にグサグサとナイフが刺さるみたいに痛かった。
そして、海さんと喋った時の一志君の、
私にも見せてくれない、
なんとも言えない顔を見た時。
目から、夕日に照らされた海水が流れていた。
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