付き合ってないの?ないよ。

第5話

そうして戻ってきた俺達に最初に話しかけてきたのは海だった。

「2人とも!どうなったの!?」

と俺達の関係を心配してきた。

全く失礼なやつだ。

だが、今は何故かそれが心地よくて、笑ってしまった。

「ちょっと〜。何笑ってるの?」

「ごめん。何かおかしくてな。大丈夫。ただの友達になっただけだから」

「…お友達から始めてください的な?」

「お前は何を言ってるんだ」

「いや、ローズちゃんに惚れて告白したのかと」

「そんな事無いだろ」

「分からないよ。まだこれからかもしれない」

「何でお前はそう繋げたがるんだ」

「え?珍しいから」

「何がだよ」

「一志君がそんなに笑ってるの」

「まぁ、俺と似た境遇のやつがいたからな」

そう言って俺はアイツ─。ローズを見た。

「そうですね。本音を吐きあった仲ですもんね」

「誤解を生む発言はよしてくれ」

「すみません」

「…ごめん。やっぱり2人共付き合ってるようにしか見えない」

「だから何回言えば分かるんだよ」

「…そう、だよね」

「?」

「一志君が、モテるわけ…無いよね」

「おい」

「何?」

「何だその哀れみの目は!?」

「いいんだよ。無理しなくて」

「やめろ!」

「それとも何?付き合ってますよ。とでも言いたいの?」

「…!あぁ、もうそれでいいよ!」

「へへへー」

俺は生涯海に勝てない。

そう思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る