胸が苦しい、これって初恋!?
ひとまず、根の国に向かってるんだが、なんか知らないけど川に箸が流れてるわ。もしかして、上流に誰かいるのか? 情報収集のために寄り道も悪くない。
寄り道してみたら、爺と婆がいる。なんでか知らないけど泣いてるわ。二人の間にはめっちゃ可愛い少女がいる。胸が苦しい。これって、一目ぼれってやつ? ひとまず、話を聞いてやるか。
「なんで泣いてるんだ?」
「毎年、ヤマタノオロチがやって来ては、娘を食っていくのです。もともと八人娘がいたのですが、最後の一人になってしまいました」
「そのヤマタノオロチってどんやつ?」
「目が真っ赤で、一つの胴体に八つの頭と八つの尾があります。胴体はいつも血だらけです。おお、恐ろしい」
ヤマタノオロチって、とんでもない奴じゃん。今年はこの可愛い娘を食べるわけでしょ? 俺の初恋の人を食われるわけにはいかない。なんとかせねば。
「なあ、あんたの娘を妻にしていいか?」
「あなた様はどちら様でしょうか。知らない方に娘を嫁がせるわけにはいきませんから」
「ああ、俺はアマテラスの弟だよ」
「それは恐れ多い。ぜひ、娘をあなた様の妻にしてください」
アマテラスの名前だしたら、簡単に可愛い娘をもらえたんだが。奴もたまには役立つな。
「そういえば、まだお前の名前を聞いてなかったな」
肝心な初恋相手の名前を聞いていなかった。
「私はクシナダヒメと申します」
可愛いうえに、上品だ。俺の妻にふさわしい。
「娘をもらったから、ついでにそのヤマタノオロチって奴、倒してやるよ」
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