リベンジャー 第七章 レティア、錬気、音々の森ハイキング 

リベンジャー 第七章 レティア、錬気、音々の森ハイキング


「それじゃ! ママ! いってきます~!!」

「いってきますー!! 優華ちゃん! 安楽満ちゃん!」

「行ってきます」


 音々、レティア、錬気は嬉しそうに手を振った後。バイクに乗って、発進した。

 優華たちはそれを見送った。しかし、安楽満は若干不安そうだ。

 正直大人無しのハイキングは正直安楽満にとって、怖かったからだ。最近魔物や地下派のバカ達が三人を拉致される恐れもある。

 彼女の体は不安なのか。体が震え始める。

 優華は気にかける。


「心配するな。こんなことも文子に頼んで、作ってもらったんだ」


 冷静な顔で優華はアイテムポーチからある物を取り出す。

 それはカメレオンのような緑色フードであった。優華曰く「〈カメレオンフード〉。こいつなら、あいつらにばれずに尾行できるぜ?」そういうと、すぐに安楽満は手に取り「ありがとうございます! 優華さん!」希望が満ちた顔で早速被り、姿を消した。

 すぐにフードのボタンを付けるが、服が見えてしまう。

 それなら安楽満はすぐに服脱いで、下着も脱いで、それを自室へ入れた。優華も服脱いだ。

 すぐに二人は音々たちを追い始める。

 このカメレオンフードは光学迷彩を使われているが、何分とある物が作った奴と違い、不完全だ。

 その証拠に先ほど安楽満が装備すると、体は透けるが、服は残ったままだ。

 優華は走りながら、スマホを連絡する。

 相手は文子だ。


[文子へ。大変だ。どうやらカメレオンフード。服消えなかった]

[やはりか。少し強化したほうがいいかもな。がま口さんに聞いてみる]

[ああ。よろしく頼む。こちらは少し音々たちの様子を見てくる]

[そうか。確か三人でハイキングだよね?]

[そうそう、森ハイキングだったかな?]


 優華はメールしながら走る。

 事の発端は昨日。音々が安楽満の部屋に入り。


 ―――ママ。音々! ハイキング行ってみたい! 錬気ちゃんとレンちゃんと一緒に行ってみたい!

 ―――あらー。いいわねー。

 ―――明日行ってくるね!

 ――――はーい!

 ―――場所はどこなの?

 ――――えっと、豊かの森だよ。

 ―――あ、あそこね。まあ、音々たちなら大丈夫かも。

 ――――ママ! ありがとう!


 無邪気に言う音々。安楽満は止めはせず、賛成する。一応場所のことも安楽満は聞いた。

 音々はその場所を話した。その場所はダンジョンであり、ハイキングスポットである〈豊かの森〉である。


 豊かの森とは豊富な地質と水質やよく光合成する樹木たちから放たれる酸素や魔素がたくさん出ることでこの名前がついた。

 たとえ曇りや雨でも、大量の酸素や光を溜めた樹木が太陽みたいに輝いて、このダンジョンの土地で木の実や自然でできた野菜が生えている。

 さらには食べられる花とかも生えており、それに土地で育った〈宝石花〉が生えている。

 宝石花は良質な土地じゃないと生えることができない高価な花であり、現在では本当に貴重と呼ばれるくらいのレアな花である。

 しかも、そこから魔物の蟲たちが寄ってきて、宝石花の蜜を吸ってくることが多く、そこから独特な進化を遂げる蟲たちがいる。

 音々はすぐにハイキングの準備を始める。

 もちろん、レティアと錬気もハイキングのために準備をし始める。三人は早めに就寝する。

 そして、現在に至る。朝早くに安楽満が張り切って、作った弁当を三人はもらって、嬉しそうにバイクを走らせる。

 無邪気にはしゃぐレティアと音々。それに錬気は大きくうれしそうであった。

 何せ錬気の元の持ち主はハイキングすらも知らないし、行ったこともないため大きく楽しみであった。

 三人はバイクで目的地に着いた。樹々たちが生い茂った場所であり、葉っぱたちは太陽の色みたいに輝いていた。

 レティア、錬気、音々は互いに顔を頷いて、そのダンジョンへ向かった。

 豊かの森は土地も水もきれいであった。音々は大きく目を光らせ、レティアもあたりを見渡して、好奇心が抑えられない子供みたいに見ていた。

 そして、錬気は欲しいものが見つかった子供みたいな顔であたりを見渡す。


「あ、錬気ちゃん! ひとりで行ったらあぶないよ~!」

「あ、そうだった! ごめん~。ついはしゃいじゃった!」

「気を付けましょう。いくら魔物があんまりいないけど、警戒は必要です」

「わかったー! レンちゃん! 音々ちゃん!」


 天真爛漫で錬気は大きくはしゃぎ、一人で行こうとするが、単独行動は自殺行為だ。

 “てへへ”といった感じでにやけながら、錬気は笑う。

 気を取り直して、ハイキングを始める。

 三人がルンルンで歩いて、辺りを見渡す。それに音々は写メを取って、写真を撮りまくる。

 ハイキングは順調に楽しんだ。しかし、ここでは絶対に守らなきゃいけないルールが2つある。

 それはいくら綺麗な花でも採るととんでもないことが起きるからだ。

 一同はいい子だ。そんなひどいことはしたくない。それに何故この豊かの森は採取禁止なのだろうか?

 理由は簡単だ。眠れなかった音々たちは安楽満にお願いして、読み聞かせしてもらった。

 本の内容は〈豊かの森の裏の顔〉であった。

 昔。この森は魔力があり、大量の資源もあった。しかし、欲深い人間がそれを漁り始める。

 漁り始めて、人間たちは帰ろうとするが、出口がわからない。それに歩いても歩いても出口が見当たらない。

 歩き回っているせいでお腹が鳴り始める。仕方ないから、採取した果物を食べようとすると、恐ろしいことにその者たちは樹々へと変貌する。

 そして、それを見た気弱な人間は手に取った宝石花と果物を返した。すると、樹々たちから声が聞こえた。


 ――――二度とこの場所に訪れるなよ……。


 その声は老人のような声であり、気弱な人間は壊れた人形みたいに何回も頷いて、逃げていった。しかも、あれだけ見えなかった出口も見えるようになり、すぐにここから去った。

 そして、もう二度とここを訪れないようにこの絵本を描いた。

 この森には守り神がいる。その守り神を怒らせてしまえば、そいつは生きて帰れない。

 それを聞いた三人は忠実に守っている。

 腹が減って、三人は昼食を取ろうとするが……。

 何かでかい音が聞こえた。すぐに三人は弁当をアイテムポーチに入れて、すぐに出口へ向かう。

 森の入口にはでかい蜘蛛大蟹〈スパイダー・アースクラブ〉が現れる。

 すぐに臨戦態勢を取るが、音々はハッとする。


「レンちゃん! 錬気ちゃん! 森の近くで戦っちゃダメだったよね!?」

「――――! あ、そうでした! 森を傷つけたら、守り神におこられてしまいます!」

「そうだったそうだった! 森も傷つけないようにしとかないと」


 戦闘モードとして、目がキリっとしたレティア。しかし、音々の言葉に思い出したのか。すぐに通常モードに戻って、音々と話す。

 さらに錬気もあることを思い出した。そう、この森のルールはもう一つある。

 それはこの森で、この森の近くでバトルしてしまって、樹々を傷つけると、森の神様から送られてきた刺客によって、殺されるからだ。

 其の刺客はかなり強く、並大抵の人間では歯が立たない。

 これも安楽満が呼んでいた絵本で分かった事実だ。

 だから、三人はバイクを起動して、スパイダー・アースクラブを誘導する。

 ゴキゴキと言いながら、スパイダー・アースクラブは音々たちを追いかける。

 カメレオンフードを被った二人はすぐに近づく。

 充分な距離にした後。ようやく音々たちは戦闘に入る。

 先に動いたのはレティアだ。戦闘モードになったあと。メタルリングを叩いて、機械ビキニアーマーへチェンジ。頭にヘッドホンとバイザーが合体した機械を付けて、脳波で武器を作り出した。

 この機械はレティアが想像した物が出てくる。消したい場合は『武器消去』といえば、消える。

 右手にはレーザーブレイド。左手に銃を持って、脚のブースターで浮遊をする。

 左手に持っていた銃で撃った後。レーザーブレイドで相手のハサミを斬り飛ばす。さらに武器を消去して、右手にランチャーを持って、エネルギー弾を放ち、バイザーから通したレーザーで追い詰める。

 それに錬気も持っていた刀で抜刀する。抜刀で斬った先は相手の脚だ。

 そして、音々の大鎌が相手の心臓を刺して、とどめ刺した。

 それを見たカメレオンフードを被った二人は大きく安心する。

 その先には大きく喜んだ三人がいた。

 それを見た安楽満は大きくホッとした。


「あ、お腹空いたね」

「それなら、あの森を見ながら、お弁当を食べよう!」

「――――! それいいですね!」


 意見が一致して、音々がレジャーシートをひいて、三人は安楽満が作った弁当を食べ始める。

 今回の弁当はご飯に猫と犬、クマが可愛らしく描かれた御飯。色とりどりの茹で野菜とカニカマ。焼き鮭。シュウマイ、なますが入っており、果物のバナナがあった。

 大きく目を輝かせる三人。そして、三人はこういう。


「「「いただっきまーす!!」」」


 三人は大きな声で嬉しそうに言った。

 その後。音々たちはスパイダー・アースクラブを回収して、優華たちにご飯をお願いした。

 なんと今回は蟹しゃぶと蟹刺身であった。


 夜。密猟者たちがそこへ入り、豊かの森へ入って、傷つけ、平気で宝石花や宝石蟲たちを捕らえる。しかし、それが災いしたのか。


「―――――!!!!!!!!」


 奇声をあげながら、木でできた鬼が襲って、密猟者たちは殺されてしまった。

 森の刺客だ。どんなに銃で撃っても、どんなにナイフで突こうとも、森の刺客は無敵であり、殺した人間は嬉しそうに引きずり、その血は地面に溶け込んで、養分となった。

 そして、密猟者はそいつらの御飯となった。


 ダンジョン紹介


 豊かの森


 豊富な資源と上質な土地。水があるがとると災いが起きる。ハイキングなら大丈夫であり、ハイキングのスポットである。


 森の刺客 不明 属性 不明


 木の鬼であるが、戦闘能力が強く、一般人では太刀打ちなんてできない。


 スパイダー・アースクラブ 通常種 属性 地


 でかい蜘蛛型大蟹。泡やハサミで攻撃する。防御力が高いが、その分身がぎっしりしており、蟹しゃぶもいいし、蟹刺身も良きである。


 次回 蟲のフルコース

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