第八節 第二十一話 代償

 3つの部屋に区分された鳩の学舎。その中央の部屋で、ユミら七班は座学の課程の最終日を迎えていた。

 部屋の中に4つの文机ふづくえが横並びになっている。奥から順にテコ、ギン、ユミ、サイが机の傍に腰を下ろす。特に指定されたわけでもないが、初日の席順がそのまま定位置となっていた。そしてその対面側には、大きな文机とともにトキがずっしりと構えている。

 

「よーしお前ら、先日の試験を返してやる。誰から返そうか。最高得点の奴から行くか、ビリのサイから行くか」

「言ってんじゃねぇよ!」

 サイは抗議をすると立ち上がり、トキが顔の前でひらひらとさせている答案用紙を分捕った。

 怒りの表情を浮かべていたサイだったが、試験結果を覗き込むや否やうげぇと顔をしかめる。

「ギリギリ合格だな。お前のおかげで残りのもんは安心して受け取れるってもんだ。ガハハハッ!」

「うう……、これでも頑張ったんだぞ……」

 彼女には似合わず落胆とした様子だ。

「確かにお前にしては頑張った方だと思うぞ。実習より座学の方がよっぽど心配だったからな。これでスナにも一歩近づいたな!」

「義兄さん!」

 その言葉がよっぽど嬉しかったのだろう。サイはぱあっと顔を輝かせた。

 トキは立ち上がり、てのひらをサイの頭の上にぽんと置く。そしてわしゃわしゃと撫でまわす。

 

「次はテコ。よくやった。最年長のサイより優秀だな。ガハハハッ!」

「ちぇっ、いつも一言余計だっつーの……」

 ころころと表情を変えながら呟くサイ。そんな彼女を眺めていたテコは、はっとしたようにトキへと眼を移す。

 のしのしと近づいてきトキに突き出された答案をテコは黙って受け取った。そして恐る恐るサイを見やると、恨めし気にテコを睨んでいるようだった。

 本当はサイに褒めてもらいたかったのだが、そうもいかないようなのでぶるぶると首を振る。

 

「次はギンだな。……お前、頭良かったんだな。多分、能ある鷹は爪を隠すというやつなんだろう」

「え……、別に隠してるつもりもないけど……」

 ギンは不思議そうな顔を浮かべつつ、渡された答案を受け取る。

「そうだな。隠していると言うより、隠れてしまっていると言った方がいいかもしれん。女の尻ばっかり追っかけているお前、実は策士か? ガハハハッ!」

「え? オレそんな感じ?」

 とっさに首を捻り、隣のユミに問いかける。ユミは何も言わなかったが、じとっとした眼差しがなんとも痛い。

「違うよ。ユミだけだからな、オレが……。はっ!」

 ギンは言ってしまったとばかりにあんぐり口を開ける。一方のユミはぷいとそっぽを向いてしまった。

 

「ははは、ギン。もう少し女についても頭が回れば良かったな!」

 いつの間に機嫌を直したのかサイが茶化しだす。

「……サイも少しは気づいてやれよ。男の気持ち」

「え? 百戦錬磨の私に男の気持ちが分からないとでも?」

「百戦錬磨って……、文字通りの意味で言ってんだろ……」

 胸を張るサイと呆れた様子のギン。こんなやり取りも何度目であろうか。傍から見ている分には面白いものだと、ユミから自然と笑みがこぼれた。

 

「最後はユミだ。やっぱりすごいんだなお前。クイから話聞いてた時はここまでとは思わなかった」

「あ……」

 トキは答案をユミに渡さず、胸の前で広げる。全体的に丸々としたユミの文字が綴られている。

 用紙の上部には「七班 弓」の署名があり、その右側には赤い文字で「百」が刻まれていた。

「すげぇ……」

 サイが吐き出すように言う。しかし、ユミにとっては当たり前のことを成しただけであった。

 問われたことに対して、知っていることを回答する。設問は全て講義で教わったことに基づいているので、知っているのは当然である。

「あの、トキ教官? 孵卵が試験である意義は理解しているつもりです。でも、この筆記の試験ってどういう……」

 意味があるんですかと問おうとした時、サイと眼が合う。その鋭い眼光はユミの背筋を凍らせ、二の句が継げなくなる。

「クイも言っていたな。ユミは教わったことなら細部まで覚えることが出来るようだが、教わってもいないことについてはどこか抜けているらしい。聞いたぞ、お前腹に赤子――」

「やめて!」

 ユミが顔を真っ赤にしてトキを制する。一体クイはどこまで話したのだろうか。さすがにユミの特別な能力についてまでは漏らしていないはずなのだが、うら若き乙女の秘密に言及するとは思慮に欠ける。今度ヤミに会った折には言いつけてやろうと決意した。

「え……、赤子……」

 隣で絶望的な表情を浮かべるギンに、ユミは平手打ちを食らわせた。

 

―――― 


「ここからは教科書にも載っていないことだが、個人的に伝えておきたいことがある」

 ほとぼりが冷め、各々が席についたのを確認したトキは口を開く。

「帰巣本能を得ることによる代償についてだ。お前らにも心当たりがあるんじゃないか?」

「代償?」

「ああ、人によりけりだがな。孵卵の合格以降、ちょっとした音にビビるようになったとか、眠気に襲われやすくなったとか、そういう話を聞く」

 座学の試験で満点を取得するほどのユミではあるのだが、未だに帰巣本能について体感的には理解できないでいた。従ってその代償と言われても、今一つピンとこない。

 

「子供が森に入ると過剰に恐れたり、魅了されたり、歌い出したり……。まともに動くことが出来なくなる。この森に及ぶ脅威を千鳥と呼んでいる訳だが、千鳥に自ら打ち勝とうとする時に帰巣本能が発現する」

 ユミにとっては孵卵で体験した脅威と言えば森よりもアイだ。今でもアイに打ち勝てるとはとても思えない。

 しかし、先日のキリは勇敢だった。あのアイに打ち勝つどころか、仲良くなろうと言うのだから。

 

「千鳥に打ち勝つのは並大抵のことじゃない。これまで自身に無かった一面を引き出すか、あるいは切り捨てるかする必要がある。」

 

 一方でキリはウラヤへのいざないを拒否した。言葉を選ばずに言えばユミを切り捨てた。

 ケンにあれやこれやと吹き込まれるまで、彼はユミのことしか考えられなかったはずなのに。

 

「とは言え物は言いようだ。音にビビるというのは耳が良くなった証拠だと言えるし、向上した身体能力に身を任せればその内眠くもなるだろう。その中で浮き彫りになった負の面を、代償と捉えることが出来るんじゃないかと俺は考えている」

 ここでトキはふうと息をつく。これは彼が大事な話をするときの前触れだ。それに気づけるぐらいにユミはトキと馴染んでいた。

 

「大事なのは代償を正しく理解することだ。自身の負の面から眼を逸らさず受け入れ、対策を練る。そうすれば、代償によって引き起こされる不都合も最低限に抑えられるはずだ」

 

 キリはユミと別れることを引き換えに、アイと仲良くなると宣言した。これは成長のための決意だ。

 ユミだって立派な鳩になって迎えに行くと約束した。キリをアイに預ける形で。

 とは言え、お互いにまだ発展の途上にある。むしろユミが追い付いていないぐらいだ。この事実を受け入れ、目標に向かって取り組むことが今のユミに課せられたことなのだ。

 ユミは手を上げ質問を試みる。つい先ほど指摘されたことであるが、教わっていないことについてはユミの独自の思考に基づき、納得しようとするきらいがある。ならば知る者から教われば良い。

 帰巣本能の代償とは異なるのだろうが、さっそく自身の負の面を見つけられたのだと、むしろ誇らしい気分がこみ上げてくる。

 

「あの……、例えばサイがすぐに物を壊したりするのも代償ですか?」

「おい」

「ガハハハッ! 良い質問だな、ユミ! だがな、それは元からだ!」

「おい!!」

 サイは苛立ちを隠すことなく立ち上がる。

「孵卵が終わってからむしろ手加減できるようになったわ!」

「え!?」

 ユミは信じられないと言いたげな表情だ。

「……少なくとも私の力でガキどもは泣かなくなったぞ」

 サイへと向けた疑惑の眼が鋭くなる。彼女が奇術師から分捕った匙をへし折る姿には、泣きそうになったものだったのだ。


「サイの代償で言うなら、よく食うようになったことだな。ガハハハッ!」

「義兄さぁん……、余計なこと言うなよぉ……。」

 サイが顔を赤くする。人並には羞恥心を持っているらしい。

「サイは確かに加減できるようにはなったようだが、引き出せる力も大きくなったらしい。その代償として熱源を多く摂取しないといけなくなったみたいだな」

「そっか、あのあんみつはサイの力の源だったんだね!」

 彼女が食べるあんみつは、いつもユミより二回りほど大きかったことを思い出す。

 これでまた1つサイのことを正しく理解した、やはり質問して正解だったのだと自己評価する。

「ああそうだろうな。ついでに金もかかるってのも代償と言えるな! ガハハハッ!」

「きゃはははっ!」

「人の体質で盛り上がってんじゃねぇよ!」

 


「やっぱりサイ可愛いな……」

「え!?」

 テコの呟きに隣の席のギンは驚愕する。幸いにも2人のやり取りは、盛り上がるサイ達には聞こえていなかったようだ。

「ねえ、ギンの女好きも代償なの?」

「違いますけど!?」

「なんだ、それも元からか……」

「え、いや、えっと……」

 全く否定ができないギンはしどろもどろになる。

「どうしようもないね」

「お、お前はどうなんだよ?」

「何だと思う?」

 テコの欠点と言えば歳相応の未熟さだと感じるが、それは帰巣本能に由来する代償だとは言い難い。一方で、秀でた特殊な能力も見当たらない。

 そしてギン自身の能力についても考えてみる。頭の良さを褒められはしたが、やはり帰巣本能とは関連が無い。おまけに周りからはバカだと思われている。

「……テコ、一緒に頑張ろうな」

 なんとも情けない気分になり、どうとでも取れる返答をする。

「なんだよ、気持ちの悪い。あ、もしかしてユミのこと? あまりおれと同じだと思われたくないけど……」

 片思いの真っ最中、それも2人の共通点なのだった。


――――

 

「2日の休みを挟めばいよいよ『渡り』だ。お前らは久しぶりに森へ入ることになるな。しっかり休んどけよ」

 ユミらは既に何度か渡りについての説明を受けていた。

 それは雛の課程の1つであり、森で行われる実習とのことだ。

「う……」

 テコが露骨に嫌そうな顔をする。それも無理はないだろう。既に鳩の素質を開花させたとは言え、一度はキリの様に森を恐れたはずだ。

「安心しろテコ。私がついてる」

 サイが向ける笑顔は逞しい。彼女は森を恐れなかったのだろうか。姉のことを思えば誰よりも怖いはずなのに。

「サイぃ……」

 テコは立ち上がり、とてとてとサイの元へ駆けよると上目づかいに彼女を見つめる。

「よしよし、もうひと踏ん張りだからなー」

 サイの手は自然とテコの頬へ引き寄せられた。


 恍惚とした表情を浮かべるテコを見て、ユミは懐かしさを覚えた。年下の少年を可愛がるサイが自分とも重なって見えたのだ。

「なあユミ。テコのあれ、わざとかな?」

「わざと?」

 隣から話しかけてきたギンの鼻息は荒く、それが不快に感じてしまう。先ほど頬を打たれたことは何も響いていないのだろうか。

「年下じゃないとできないよなぁ。どんなに怖くても誰かに甘えるなんて」

「何が言いたいの?」

「何か困ったことが有ったらオレを頼ってくれってことだ」

 ギンは短い髪をかき上げ、白い歯を見せる。

 我慢できなくなったユミは立ち上がり、かわやへ向かった。

 

 ――――

 

「よしユミも戻って来たな。お前ら仲が良さそうで何よりだ」

 席が隣ではあるのだが、ユミはギンの方を見ないように必死になっていた。トキは何を根拠に仲が良さそうだと判断したのだろうか。

「ユミ、今度は自分で考えてみるといい。渡りの目的はなんだ?」

「え、えっと……」

 渡りの期間は14日。初日はトキの持つ帰巣本能に従い、彼の出身地であるナガラの村へ向かう。

 ユミとテコにとっては例外的に出身の村ではない村へ行く機会となる。

 

 ナガラの宿舎を拠点とし、森で過ごすことを基本とする生活だ。

 森で2晩寝泊まりし、3日目の晩には宿舎へ帰る。これを1式として4度繰り返す。

 1人に1式ずつ、班員を先導する役割が与えられる。

 トミサからナガラへの往路に1日、森での生活に12日、ナガラからトミサへの復路に1日。併せて14日間の課程だ。

 その14日目に班員全てが、無事トミサに帰り着くことが渡り修了の条件となる。

 

 以上の内容がトキから既に聞かされていることである。これからその目的を導き出せ、というのがトキの問いの趣旨なのだろう。

 時に誤りはするが、与えられた知識から理論を組み立てることもユミの得意とするところではあった。問題なのはその誤りを正す機会がないと、いつまでも思い込んだままで恥をかくということだ。

 幸いにも今ならいくらでも間違うことが出来る。失敗を恐れず、考えたことを発言してみようという意欲が湧いた。

 

 渡り実施の前提条件は、班員全てが雛の座学試験に合格していることだ。即ち、鳩の務めを果たす上での心構えが一通りできているものとみなされている。

「座学で学んだことを実践して、森で生き伸びる術を身に着ける……、こと?」

「確かにその通りだな。だがそれは孵卵合格の時点である程度示されたことだ。ユミ、お前は特にそうだろ」

「えへへへ……」

 トキの言葉から皮肉を読み取ったユミは自虐的に笑う。確かにユミはヤマから教わっていたことを応用することが出来た。

 しかし、それが故に森に腰を据えてしまったところがある。鳩の業務においてはむしろ無用の長物と言えるほどの能力だっただろう。

 そしてユミ以外の七班の顔ぶれについて考えてみれば、期間こそ短いのだろうが千鳥の脅威に怯えながらも生まれ故郷へと生還を果たしたのだ。最低限の生存能力を持っていると判断されても良いはずだ。


 ならば孵卵と渡りとの違いから、その目的を追求するのが良さそうだ。

 森で過ごし、目的地へと帰り着く。一見すると孵卵とも似た課程であるが、既に帰巣本能を有していることが大きく異なる。

 帰ろうと思えば帰れるのに、敢えて森で過ごすことになるのだ。鳩の責務から考えると不思議な状況である。

「ユミ、お前は孵卵で何人だった?」

 考えあぐねていたユミを見かねてトキが援護する。

「えっと……、6人?」

 どこまで人数に含めて良いのだろうと自身とキリ、クイとヤミ、ミズとアサまで数えた。ケンはわざと除外した。

「は?」

 声を発したのはサイだ。訳が分からないという顔を浮かべている。

「私だって姉さんと2人……、いや何でもない」

 思いを断ち切るように首を振るサイ。トキは静かに彼女を見つめていたがすぐにユミへと向き直る。

「ユミ? さすがに多すぎるだろ。クイとヤミを含めた3人と言うのならまだ筋が通るんだが……」

「あ、そっか……」

 しまったとばかりにユミはあんぐり口を開く。

 

「ユミも千鳥にやられて誰かの影を見たのかもしれんな。そうでもないと300日近くも過ごせんわな。だったらこの質問は難しかったか。ギン、代わりに答えてやれ。ユミにいいとこ見せる好機だぞ?」

 一瞬だけ動揺を見せたギンだったが、ごほんと一度咳ばらいをすると語り始める。

「トキ教官のさっきの何人だったかという質問だけど、1人と答えることが想定されてたんじゃないかな」

「うん、今なら分かる」

 ギンの態度にわずかに苛立ちを覚えたユミだったが、素直に続きを促す。

「でも今度の渡りは4人、トキ教官を併せれば5人だ。そして渡りが終わるまで誰1人欠けちゃいけない」

 ギンは室内を見渡し、開いた手で班員らを指し示した。

「教官が言ってたようにオレ達には良い面、悪い面がある。治せるものもあるんだろうけど、サイの食欲が尽きることはあり得ない」

「おい」

「だからオレ達が森に入ったら、サイのために食料をせっせと集めることになるな」

「おい!!」

 サイが立ち上がると、ユミは先ほども見た光景だなと呆れた表情をみせる。

 

「人のことを手がかかる赤子みたいな扱いしてんじゃねぇ! 自分で食う分ぐらいなんとかするよ! いいか、お前ら。確かに私は人の数倍食う。だけど食べるのは大好きだ。代償だとも思ってない。むしろこの体質は恩恵だと思ってる。うまいもんいっぱい食えるからな。お前らも、何か困ってることがあったらまずはそれを受け入れろ。そして活かせ! そしたらバカみたいに生きていける。そう、私の様に。……って誰がバカだ!」

 

 早口で捲し立てるサイを見つめ、ユミは思わず拍手をしてしまった。

「演説ありがとうサイ、だが落ち着け。ギンの言うことは尤もなんだ。まあ、からかうつもりが無かったとは言えんが……」

 トキも拍手しながらサイを宥める。

「お前はもっと誰かを頼っていい。代わりにサイのバカ力、誰かのために役立てろ。持ちつ持たれつ、スナにはそれが出来ていた」

「義兄さん……」

「ギン、分かりやすい例を出してくれて助かった。ユミ、それからテコ」

 トキは誰かを呼びかける度、名前の主の方をしかと見据えるよう心がけているようだ。

「俺たちは鳩になったからと言って万能じゃない。むしろそのせいで現れた代償がある。だが、俺達は助け合える。皆が手を取り合い、無事トミサへと帰ってくる。これを成し遂げられるようになることが渡りの目的だ」

 

 ユミはトキの言葉を噛みしめるように聞いていた。

 七班とともに過ごすようになり、少しずつ他者のことを考えられるようになってきたと感じる。

 キリと初めて会った時、無遠慮に語り、触れ合った。キリも素直にそれを受け入れた。

 しかしそれは、どうしようもなくキリと気が合ったがために成し得たことなのだろう。

 鳩として生きていく上で、今後様々な人と出会い、時に反りが合わず不快な思いをすることもあるかもしれない。

 それでも仕事を遂行することが求められる。

 ふと、クイの飛びっきりの笑顔を思い出す。その裏に込められた意味さえ知らなければ、人好きのする笑顔だった。

 笑顔を作るのにも心理的な負荷がかかるのだろうが、ヤミがそれを癒す。クイも助けられてきたのだろう。

 そしてユミも、2人には助けられてきた。


 少しはギンにも優しくしてやらねばならないと感じ、彼の方を見やる。

 先ほどの渡りの目的の問いに対する答え、それを称えて欲しいのだろうか。彼はしたり顔で構えていた。

 ユミはまた厠へ駆けこむことになる。

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