リーゲンのスキルハント ハント7 狂鎧
リーゲンのスキルハント ハント7 狂鎧
朝六時。リーゲンが目を覚ますと、そこには能無が待っていた。
困惑の顔でリーゲンは見る。
無表情な顔で能無はタブレットを見せる。要はお仕事なのだろう。
リーゲンは嫌な顔をせず、優し気に見る。
自分のためにわざわざ見せてくれる辺り、彼なりの優しさなのだろうか。
リーゲンはベッドの上でタブレットを見る。すると、彼女の目にはとあるフルドライブスキルが目に映った。
それは鎧の具現化であった。リーゲンはそのタブレットのリストにあった鎧具現化の能力を見せる。
その能力を確認した能無は納得するような顔で見る。
リーゲンが見たフルドライブスキルは【狂鎧】。
「その男は通称〈アーマー〉。元々ひ弱のいじめられっ子で、いじめっ子たちに自分の夢を馬鹿にされたことを怒り、自棄を起こして、地下派と手を組んで、フルドライブスキル〈狂鎧〉を手に入れた。そして、そいつはいじめっ子たちを虐殺。
さらに親と学校の教員もすべて殺したそうだ」
能無の解説でリーゲンは聞いた。
「教員と親もって、助けなかったからですか?」
「そうだ。今の奴は暴走マシーンだ」
「場所はどこです?」
「そいつはギルド養成学校。いや、お前たちの屋敷に既に来ていた。おそらく、地下派の連中に洗脳されていると思う。急げ」
能無は場所を言うと同時にリーゲンの部屋から出た。
リーゲンは着替え、赤黒い妖精騎士ビキニアーマーを着て、すぐに外へ出る。
そこには黒い鎧を着た男性が咆哮をあげて、リーゲンに襲いかかる。
最初に来たのは相手の攻撃だ。相手はがむしゃらに殴る。
けど、リーゲンはそいつの攻撃をバックステップした後。【能力オープン チェーン】を発動して、両肩の横から魔力穴から鎖を飛ばして、相手の両腕に絡ませて、両腕を手錠みたいに拘束、リーゲンは鎖を両手で掴んで、そいつを転ばした。
すぐにリーゲンは【能力オープン オーバーロード】を発動。さらに【能力オープン 白鬼腕・武器創生】を使って、白く禍々しい片手剣もといバットを作り、左手で鎖を持って、上にあげた後。
リーゲンは片手で大きくフルスイングした。
だが、相手は大きな魔物へと姿を現す。四足歩行の鎧の獣だ。
そう、狂鎧のフルドライブスキルはアーマーを作るだけではない。モンスターとなって、大きく暴れるのだ。
図体がでかくなったが、相手は大きく突進する。リーゲンはバットを消して、白く禍々しい双剣を作った後。
単調な攻撃をかわして、乱舞をお見舞い。四本脚を切り付けたことで相手はその場で倒れる。
すぐにリーゲンは魔獣の前両脚を切り落とす。オーバーロードで強化しているからだろう。前両脚は簡単に切り落とした。
そして、双剣を消したリーゲン。しかし、相手の頭が大きく暴れ始めるけど、リーゲンは両脚で踏んづけ、両親指を両人差し指の関節を押して、骨を鳴らし、右手に魔力を纏わせて、魔力穴を無理やりあけて、右手を突っ込んだ。
突っ込んだ右手は何かをつかんだ。
魔力穴から魔力球をリーゲンは引きずり出した。
狂鎧を奪われたことでアーマーの姿が元に戻る。ひ弱の青年だ。
青年は両腕がないが、それでも立ち上がり、リーゲンに襲い掛かる。
リーゲンは【能力オープン・白鬼腕・武器創生】を発動して、左手で片手剣を作り、そのまま相手の首を斬る。
アーマーの脳裏で何かを思い出す。彼はヒーロー好きであり、ずっと憧れていた。
だが、現実は甘くなく。学力も運動も本気でダメであり、格好の虐めの的だった。
そして、止めは『お前にはヒーローなんて向かない』であった。その結果。彼の心は大きく歪み。
彼はその学校から出ていった。もちろん先生にも話したが、無視される始末。
両親にも話したが、仕事が忙しいという理由で取り持ってくれない。
どうしようもなく途方に暮れていると地下派のスキル商人が近づいて、フルドライブスキル【狂鎧】を取得。
しかし、このスキルドライブは持ち主の人格を凶暴にして、鎧を作ることができる。
鎧は魔素たちを集めて、瞬時に作ることができる。
この力ならいじめっ子や自分のことを無視した教員や家族を惨たらしく殺すことができる。
けれども、生命反応で微かに生きている中。リーゲンの姿を見て、本当のヒーローを見たことで彼は満足げに死んでいった。
しかし、リーゲンはこの狂がみんなを傷つける可能性が高い。そこでリーゲンは【能力インストール】ではなく、【能力カスタマイズ】を使った。
前にも言った通り、フルドライブスキルは持ち主が使うたびに強化、効果が追加される。
今現在リーゲンが使う【能力オープン】、【能力インストール】、【能力アンインストール】、【能力スティール】。それと追加された【能力カスタマイズ】。
この能力カスタマイズはフルドライブスキルの一部を消し、一部追加することができる。
リーゲンがカスタマイズするのは狂鎧の狂を消して、魔に変える【魔鎧】。そうすれば、狂うこともない。
魔鎧にした後。【能力インストール】で【魔鎧】を自分の胸に入れる。
すぐにリーゲンは剣を消して、炎の初級魔法【ファイヤボール】で相手の胴体を燃やした。
そして、リーゲンは静かに呟く。
「【能力オープン 魔鎧】」
魔素を集めて、防御が硬い鎧を纏ったリーゲン。狂うこともなく、その前に能無が待っていた。
リーゲンはそれを渡した。
「見事な殺害だった。報酬だ」
彼はそういうと、報酬として15万5千ツカを差し出した。
リーゲンは「ありがとうございます」と言って、頭を下げて、すぐに朝食を作る準備をした。
能無はタブレットでニュースを確認する。
それはあのアーマーがやった凶行だ。
{本日。新メインストリートのギルド養成学校ととあるお宅で殺人事件が発生。ギルド養成学校はいじめを隠蔽。学園長が早急に謝罪会見を開いている模様です}
能無はそれを見て、見下す顔で見ていた。
「子供を見ずに何が先生だ。教師の仮面を被った馬鹿どもが……」
殺害対象者
アーマー フルドライブスキル 狂鎧
ヒーローに憧れたひ弱な青年。しかし、勉強もスポーツもダメな彼は格好の虐めの的。
いじめっ子に自分の夢を否定され、家族や教師も無視された彼はやがて歪み。
地下派のスキル商人のフルドライブスキルを手に取り、凶行に及んだ。
けれども、今回戦ったリーゲンを見て、本当のヒーローを見たことで、彼は満足げに亡くなった。
次回 ハント8 サイコキネシス
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