リーゲンのスキルハント ハント6 再生強化

 リーゲンは目を覚ました。そこは自分の自室だ。

 そこでリーゲンは思い出した。どうやら酔っぱらって、眠ったことを。

 なんとも恥ずかしい。リーゲンは若干頬を真っ赤に染める。その隣には優華が寝ていた。

 運んだあと。優華は疲労で眠っていた。それに隣には服が置いてあった。

 リーゲンは理解する。自分は確かに酒が強いけど、その代わり酔うと脱いでしまうことを。

 しかし、酒の気持ちよさには抗えない。すると、誰かがノックする音が聞こえ、リーゲンは焦るように「お待ちください!」と言い、着替え始める。

 おそらくノックの主は能無だろう。すぐに赤黒い妖精騎士のビキニアーマーを着るリーゲン。下着は後でいいだろうと思い、それを胸元へ入れて、ドアを開けた。


「遅いぞリーゲン。何をしていた」


 能無は待たされたことにご立腹であるが、リーゲンは申し訳ない顔で「ごめんなさい」と謝る。

 能無は許してくれたのか。タブレットを起動して、それを見せる。

 つまり、償いはこれで示せと言いたのだろう。リーゲンはもちろん確認する。

 リーゲンはあるフルドライブスキルを見る。

 それは〈強化再生〉である。すると、能無は勝手に語り始める。


「そいつは通称〈狂芸〉。女だ。昔大道芸であったが、いつも失敗ばかりで落ちこぼれだ。そして、いつまでも失敗するから、同僚たちのいたずらでそいつの大道芸中に事故を合わせた。

 顔に半分やけどの跡がある。その顔では客に見せられないという理由で解雇された狂芸は露頭をさ迷っていたところに地下派の人間と出くわした。

 そして、このフルドライブスキルを使って、自分を見下した奴に復讐している。

 現在彼女が復讐したのは同僚たち。その後は復讐よりかは自分のフルドライブスキルによっているようだ。

 おそらく、奴はこの屋敷へ向かっているだろう」


 能無の説明でリーゲンはすぐに窓を見る。

 そこには大量の傷跡をもった。顔半分が火傷の跡を負ったバニーガール女性が双剣を持って、辺りをさ迷っていた。

 ストレスで髪は真っ白に染まっており、それでもうれしそうに笑う。

 リーゲンは能無に聞いた。


「あれですか?」


 大人しそうな顔でそう言うと、無能は黙ってうなずいた。

 すぐにリーゲンは向かう。入口には狂気の顔でリーゲンを見る。

 すると、相手は「あははははは!!」と言いながら、双剣を振い始める。

 リーゲンは真剣な顔をしながら【能力オープン 白鬼腕・武器創生】で片手剣を作り、それに対抗する。

 相手は適当にふっているせいで、リーゲンは上手く剣で弾き、相手の腕を吹き飛ばした。


「あはははは! 【フルドライブスキル発動 強化再生】!!」


 相手はそういうと右腕があった場所から魔素を集めて、右腕を元に戻した。

 リーゲンはそれを見て、驚愕する。

 しかも右腕はさっきまでとは違い、威力も攻撃速度も速くなっていた。

 それならと思い、リーゲンは相手が再生できないように素早く両腕を切り、更に相手が発動をさせないように自分の下着を口枷にした。

 これならフルドライブスキルの発動ができないと確信するリーゲン。すぐに左親指を左人差し指の関節を鳴らした後。


「【能力スティール】」


 リーゲンはそういった後。左手に魔力を纏って、リーゲンは無理矢理こじ開けた相手の魔力穴から手を突っ込んで、そこから魔力球を引きずり出した。


「【能力インストール】」


 彼女がそうつぶやくと、魔力球はリーゲンの胸の中へ入り込んだ。

 しかし、狂芸は怒りだして、リーゲンに襲い掛かる。

 リーゲンは片手剣で迎撃しようとするが、その背後から誰かに刺された。

 それを見たリーゲンは相手の首を切り、相手の口に突っ込ませた下着を出した。そして、アイテムポーチへ突っ込んだ。

 首はその場で転がり、その背後には黒長髪で左目が隠れていた死神の服を着た女性がいた。

 そいつは辛気臭そうな顔でこちらを見て、リーゲンに襲い掛かる。

 リーゲンも構えるが、相手は双剣をしまった。


「なんだー。違ったのか~」


 少し間が抜けた声で女性は話した。しかし、リーゲンは真剣な顔で。


「いきなりなんですか?! 突然襲い掛かって!!」


 相手を一喝する。しかし、その女性はけだるそうな顔で言う。


「えー。そんなこといわれてもなー。ボクー。助けようとしただけなのにー。これじゃ、200年前の前やあの耳長のくそ婆と同じだな―」


 女の話でリーゲンは思い出した。優華がそのことを言っていたことを。おそらくこの者が勇者の中の一人。


「すみません。声を荒げてしまいました。貴方が200年前の勇者の一人ですか?」

「そうだよー。だけどー。ボク、なんも手に入れてないからー、ゆうしゃじゃないんだってー。それよりー、だれからー、きいたのー?」


 リーゲンは謝罪する。

 女性は不思議そうな顔でリーゲンに聞いた。


「おか、優華様です」

「あー。あの女かー。優華ー。優しい人―。ボクにー気を遣って―くれたー」


 リーゲンの答えに女性は嬉しそうな顔で言うと、すぐにここから離れる。


「あー、優華のことだ。ボクーを疑うと思うからー、スマホあるー?」

「はい。優華様からもらいました。撮ります」


 リーゲンは穏やかな顔でスマホで写真を撮る。

 しかし、その女性はどこにもいなかった。

 すぐにリーゲンは狂芸の首を持って、能無に接触する。

 能無は念入りに調べると、報酬として、20万ツカをリーゲンに差し出した。

 そして、優華が目を覚まし、リーゲンは優華に近づいた。


「お母様。お話があります!」


 殺害対象者


 狂芸 フルドライブスキル 強化再生


 その昔、ドジな曲芸師がいた。その曲芸師は一生懸命であるが、なぜかうまくできない。団長は寛容で練習している姿も実は知っていることから、追い出さなかった。

 ある日。それを疎ましく思った同僚が嫌がらせで本番で嫌がらせ、松明を投げて、狂芸の顔は火傷を負った。

 さすがにこんな顔では無理だと感じた団長は狂芸を解雇。身も心も壊れてしまった彼女は地下派の人間の甘言に唆されて、壊れた曲芸師となった。


 次回 ハント7 狂鎧

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