リーゲンのスキルハント ハント5 高速
リーゲンのスキルハント ハント5 高速
二人の楽しいデートは残念な結果になったが、寝服に着替えた音々と神子は仲が深まる。同じく寝服を着ていたレティアも懐っこく二人に接する。
「お二人は本当に仲いいですね」
「うん! 音々! 神子好き!!」
「ちょ、音々! レティアさんの前で堂々と言う者じゃないっすよ!!」
「――――どうして?」
「―――――!! そ、そんなことしたら、嫉妬して仲を引き裂こうとする展開になるっすよ!!」
無邪気な顔で音々は神子に抱き着く。
一方の神子は慌てた様子且ドキドキとした顔で音々に窘めるけど、潤眼で見る音々。
その目は小動物みたいな可愛らしい顔であった。
それにキュンとした神子はそれでも止めようと説得する。あたふたしながら、彼女はレティアを見る。
しかし、レティアの顔は逆であった。
むしろ、恋愛漫画を読んでいる子みたいにときめいていた。レティアはもっと見たいと好奇心旺盛に見る。
「いえ! もっと見たいです!! どうせなら、私もっと見たいです!! カップルの素晴らしさを見せてください!!」
大きく興奮するレティア。子供みたいに近づいた彼女。音々は大きく喜び、さらに舌で頬を舐め始める。
神子にとって、それがリミッターが外れたのか。下半身が大きく燃え始める。
レティアはそれに気づいたのか。ゆっくりとみるけど、神子はそのまま気を失う。
思考がショートしたのだろうか。音々とレティアはあたふたする。
しかし、二人は眠気がおそい、その場でウトウトし始める。
そこへ優華がたまたま歩いており、三人が床で寝ていたのを発見する。
”こいつらは”と言わんばかりの仕方ない顔で見た後。すぐにレティアを抱きかかえる。それと同時にリーゲンもやってくる。
「音々さん達。寝ると可愛らしいですよね?」
「まあな。オレ達と一緒に戦ってきたんだ。少しくらいはいい夢見させないとな」
「そうですね。【能力オープン オーバーロード】」
彼女は温和な顔で両腕を魔力で強化。音々と神子を抱きかかえる。
すると、寝ている二人は互いの手を握り始めた。
寝ている時もいつでも一緒みたいであった。二人は本気で幸せな顔であった。
「この二人もいずれ結婚しそうですね」
「おお。それもいいかもな。オレ全力で祝い料理を作るぜ」
二人の結婚がもうじきで楽しみだ。優華とリーゲンは凄く楽しみであり、すぐに三人をリーゲンの部屋にある大型ベッドへ寝かした。
昔は全く寂しい部屋であるが、森が好きなのか。森の壁紙やキノコのタンスや木の実の電灯が飾ってあった。
そのベッドは妖精騎士である少女が寝ていたとされているベッドだ。
リーゲンと優華は三人の寝顔を見て、すぐに部屋から出る。
すると、その先に能無がやってきた。
「お前。なんだかんだでここに慣れたみたいだな。能無」
「―――――。誰のせいで、こんな場所へ潜んでいると思っているんだ? 優華貴様が脅すのがいけないのだ」
「そういわれてもよ。オレは地下派のバカ達の心理は知り尽くしているからさ」
茶化すような顔で言う優華。
骸骨で分からないが、大きく呆れていると思われる能無。それに優華は口をとがらせて、能無に話す。
すると、能無はひねくれたような言い方で。
「と言いつつも、ヨゴレにはすごい苦戦している……」
「仕方ねえだろ。あいつのむかつく戦いにこっちも困ってんだからよ」
「そのせいで二人も……」
再びひねくれた言い方をする能無。すると、リーゲンが「【能力オープン 白鬼腕・武器創生】」と言って、白く禍々しい太刀を作り、それを能無の方へ刃を向ける。
「それ以上、お母様の悪口は許しません。それにお母様を虐めるのも、ダメです。でないとここで切り殺します」
恐ろしい怒気を見せるリーゲン。能無はそれを見て「失言だった。謝罪する」と頭を下げる。
「ご、ごめんなさい。私ついお母様を悪く言われるとカッとなりました。ごめんなさい」
リーゲンも我に返り、能無に謝る。けど、能無はタブレットを見せた。
どうやら、償いは依頼をこなしてくれという事だろう。リーゲンはそれを確認する。
優華もそれを覗き始める。これまで優華はたくさんのモンスターや犯罪者たちを殺しまくっているから、戦闘で役に立つ能力を熟知している。
「リーゲン。それならこの能力を奪ってみるのもありだぞ? 〈高速〉だ」
「どうしてですか?」
優華の提案でリーゲンは不思議そうな顔で見る。
「あ? それは高速移動は逃げる敵に対して、非常に役に立つからだろ? 特に某鬼狩りに出てきた嘘つき鬼みたいなすぐ逃げるモンスターに対して」
優華はそう解説すると、能無が突然解説する。
「優華の言った通り、そいつは通称〈トンズラ〉。逃げるのだけは得意の中年オヤジだ。
逃げる他にも弱い奴に対してはイキリ、学生たちに金銭をカツアゲする小物だ。
子供のころから逃げることだけは得意で地下派と手を組んだのは、ボディガードとして、自分を守ってほしいようだ。
今現在盗人として、いろんなものを盗んでいる。
特に女性者の下着が好きみたいだ。場所は新メインストリートで盗みをしている」
「つうかお前、割り込むなよ」
優華は冷静に突っ込むと、すぐにリーゲンは出発する。
「行くのか?」
「はい! お母様」
優華は冷静に言うと、リーゲンはにこやかに頷いて、すぐに駐車場へ向かって、バイクで目的地へ走った。
今回は私服で挑む。その理由は身に着けている物を囮として。
新メインストリートに着くとそこに小太りの中年オヤジ〈トンズラ〉がゆっくりと歩く。
リーゲンはバイクから降りて、下着を脱いだ後。さりげなく、落とした。
トンズラはリーゲンの下着に興奮して、近づいた。
下着は何と黒色だ。
「お、大人の黒色だ……。ふへへへ。ぼ、ぼくこれが……」
「引っかかりましたね 【能力スティール】」
拾おうとすると、その前から、リーゲンが両手の人差し指を親指で鳴らし始め、右手に魔力を纏って、心臓付近に魔力穴を通して、右手を突っ込む。
魔力穴から魔力球が出てきた。トンズラは慌てた顔で言う。
「ゆ、許してくれ! ぼ、ぼくはただ楽して……」
言い訳を言うトンズラ。しかし、リーゲンは【能力オープン オーバーロード】を使って、魔力で強化した左手で手刀。相手の首が飛ばした。
リーゲンは【能力インストール】で高速を手に入り、下着を回収。
さらにトンズラの遺体を左手で炎の初級魔法【ファイヤボール】で燃やして、バイクで帰った。
能無に殺害対象の首を渡し「報酬だ」と言って、能無から11万ツカをリーゲンはもらった。
すると、優華は気になる顔で聞いた。
「殺害対象の金額って、どんな感じで決めているんだ?」
「今の金額は一般人レベルだ。強い相手の場合なら、五十万相当の報酬を渡すつもりだ」
「――――」
能無の発言に優華は考える。
「なあ、能無。オレも参加していいか?」
「構わないが?」
「お、お母様! よろしいのですか?」
リーゲンは驚いた。続けてリーゲンは言う。
「これは私がやったことです。お母様の手を汚すなんていけません!」
「なーに言ってんだ? オレも手伝わせてくれ。娘ばかりにやらせるわけにはいかないだろ?」
「お母様。はい! よろしくお願いします!!」
最初は大好きな優華を傷つける姿を見たくないのか。止めるリーゲン。
しかし、優華は真剣な顔やお願いにすごい心を打たれ、リーゲンも大きく頷いた。
こうして、リーゲンのスキルハントに優華が加わった。
殺害対象者
トンズラ フルドライブスキル 高速
逃げることが得意の中年小太り親父。盗人をやっており、地下派のボディガードを雇っているが、金を渡さなかった理由で地下派から見限られた。
もし、リーゲンがやらなければ、いずれか地下派の刺客に殺されていた。
無類の女の下着好きであり、奪った下着は隠れ家でコレクションしていた。
次回 ハント6 強化再生
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