リーゲンのスキルハント ハント4 白鬼腕

リーゲンのスキルハント ハント4 白鬼腕


 大浴場で入浴するリーゲン。そこへ優華が入ってくる。バスタオルもなしで堂々と入る。

 当然リーゲンもバスタオルなしだ。自分の体を恥ずかしいと思ったことがない。

 リーゲンは優華の両腕がすごい気になる。かなり憧れがあるからだ。

 しかし、その憧れを心の引き出しに仕舞った。すると優華が話しかける。


「お、リーゲン戻ってきたのか。どうだ? スキルハントは?」

「はい。お母様。今のとこは順調です。ですけど気になったのは……」

「あ?」

「能無さんのことです。あの人は何も教えてくれません」


 リーゲンは困った顔で優華に話した。

 優華は静かな顔でリーゲンに「そういえば、がま口からも聞いても『わからない』だけだったしな。あいつが嘘言う奴じゃねえ」話す。

 不思議そうに考えるリーゲン。

 優華は何かに気づいたのか。湯船から上がって、桶を思いっきり投げる。

 すると、覗いていた奴の情けない声が聞こえ、その場で落ちる音が聞こえた。


「やれやれ……。またこれか。別に取られやしないのに……」


 その声はky。相変わらず懲りない奴だ。二人は顔を合わせて、すぐに浴場から退却した。

 すると、リーゲンは赤黒で堕ちた妖精騎士風ビキニアーマーに着替え、外へ出かける。

 優華はそれを見て、納得する。


 ―――おそらく、能無のところか。


 優華は冷静な顔で着替えていた。

 リーゲンは歩くと、入り口で能無が待っていた。

 能無は既にタブレットを起動して、リーゲンに手渡した。

 リーゲンの目にある能力が入った。それは〈白鬼腕(しろおにしゅ〉である。


「その能力が欲しいのか。その能力はお前のとこにいる優華が持つ腕と同じだ。

 ターゲットは通称〈追放〉。以前戦闘能力が低いことでギルドから追放。行き場を無くした奴はギルドに復讐をする。

 そして、そこへやってきたのが地下派だ。地下派は追放の心の闇を漬け込んだ。

 そして、手に入れたのが白鬼腕。そいつは自分のことを弱いといった奴らを自分の強さを見せつけるために暴れているそうだ」


 再び勝手に話す能無。リーゲンはこの能力者を殺害することを決めたのか。


「あの。このフルドライブスキルを持っている方はどこにいますか?」

「おそらく、商売の街 恵比寿にいるだろう。急いだほうがいい」

「ありがとうございます! 行ってきます!!」


 無表情に能無はそういうと、リーゲンは頭を下げて、すぐに駐車場にあるバイクを起動。

 すぐにバイクは商売の街 恵比寿へ向かった。

 能無の背後で優華が現れる。


「お前が能無か?」

「ふん。噂では聞いたが、貴様が優華か」

「ああ。何のつもりでリーゲンにかかわっているのかわからないが。何を隠している?」

「貴様には関係のないことだ」

「あるぜ? お前、地下派と関係あるのだろう?」


 優華の両目が光る。彼は明らかに何かを隠している。

 すると、能無は白状したのか。フードを外した。


「あ、お前死んでるのか」


 優華はあっさりといった。そう、能無は首から上は骸骨で。首から下は生身の体であった。


「そのとおり、自分はとある友人と手を組み、スキル屋を設立した。友人の名は〈有能〉。

 だが、奴は自分を裏切って、殺した。そして、売り上げも商品も全て奪われた。

 唯一残っているのは自分が必死に貯めた貯金と蘇った時に隠したタブレットだけだ」

「となるとお前は地下派の人間に復讐をするというわけか……」

「そうだ。少し喋りすぎたな。自分はリーゲンを待つ」

「なら、オレも待つか」

「なぜだ?」

「あ? お前絶対に狙われるからな。ここに匿わせるよ」

「ふん。好きにしろ」


 能無の過去。どうやら友人に裏切られて、一度死んだらしく、そして執念でよみがえった。

 その後。自分の貯金やタブレットを持ってきたそうだ。そして、あんまり姿を見せない商人として、生活している。

 彼はリーゲンを待つも、優華もまつ。

 正直こいつを野放しにしたら、地下派が気づかれて、拉致られる可能性が高い。

 優華は放っておけなかった。


 一歩その頃。リーゲンはというと、フルアクセルで恵比寿へ向かった。

 そこには白い髪をしたいかにも優しく、両腕が白い異形の腕と化した青年〈追放〉が歩いていた。

 どうやら既にフルドライブスキル〈白鬼腕(しろおにしゅ)〉が発動しているようだ。

 すぐにリーゲンは【能力オープン オーバーロード】と【能力オープン チェーン】を発動する。

 四肢を魔力で強化。さらに大量の魔力穴から鎖を待ち構える。

 後に気づいた追放はにやりと笑い。


「僕の獲物見つけたー。ここで僕の貢献になってろ!!」


 追放は狂気的な笑みを浮かべるけど、リーゲンは待ち構えた鎖で相手を縛り上げる。

 追放は四肢を封じられ、身動きが取れない。

 すぐにリーゲンはオーバーロードで相手の両腕の骨を圧し折った。


「ぎゃああああああ!!!」


 悲鳴を上げる追放。そして、リーゲンは両手を前にして、親指で人差し指の関節を押して、骨を鳴らす。

 魔力を纏った右手で魔力穴に突っ込み。そこから、魔力球が取り出した。


「そ、それは僕のフルドライブスキルだ!! この力で僕を見下した奴らを報復するんだよ!!」


 フルドライブスキルを自分の復讐のために使うとは怒りが込みあがるリーゲン。

 リーゲンは「【能力アンインストール】」と言って、左手に武器創生の魔力球を出した後。

 

「【能力アップデート】」


 彼女がそういうと、二つの魔力球が合体して、すぐに彼女は【能力インストール】で胸の中へ入れた。

 すると、彼女の両腕は白い禍々しい鬼の両腕に変化した。

 追放は絶望する。リーゲンは無表情で躊躇いもなく、両手から魔力で作った双剣。

 白く禍々しい双剣が生まれ、リーゲンは相手の首目掛けて同時斬り、最後に連続斬りで相手の体を細かく切り刻んだ。

 双剣を消したリーゲンは右手で頭を持ち、すぐさま恵比寿から立ち去った。

 リーゲンがリベンジャーに着くと、そこには優華と能無が待っていた。


「お母様。帰りが遅くなってごめんなさい」


 リーゲンは申し訳ない顔で謝る。

 優華は気にしていない顔で「いやいや、大丈夫だ。お、お前。オレと同じ腕を取得したようだ。属性は無属性か……。珍しい」意外な顔で見ていた。

 本来優華が持っていたフルドライブスキル〈黒大鬼腕(くろおおおにしゅ)〉は属性が固定される。


 赤鬼腕(あかおにしゅ)なら炎と闇。

 青鬼腕(あおおにしゅ)なら炎と水。

 黄鬼腕(ききしゅ)なら地と炎

 緑鬼腕(えんきしゅ)なら風と炎

 紫鬼腕(むらさきおにしゅ)なら炎と雷。

 白鬼腕(しろおにしゅ)なら炎と氷。


 しかし、優華の持つ黒大鬼腕は炎と雷であり、それも禍々しい雷と炎だ。

 そして、本来白鬼腕を持った彼女の属性は無属性。それも防御を無視も追加されている。

 リーゲンは大きく感心する。憧れの優華さんに一歩近づいたからだ。

 すると、何かを思い出したリーゲンは標的の首を能無に差し出した。

 能無はそれを受け取り、報酬の16万ツカを差し出す。

 すると、優華が右肘で突く。

 しかし、何かを躊躇う能無。ため息をつくと同時に能無はフードを外した。

 リーゲンは目を丸くする。


「それが貴方の顔だったのですね」

「ふん。優華にしつこく言われたから、仕方なくだ」


 ひねくれるように言う能無。すると、リーゲンは感謝する顔でこういった。


「見せてくれて、ありがとうございます」


 にこやかな顔でリーゲンが言うと、能無はそっぽを向いた。


 殺害対象者


 追放 フルドライブスキル 白鬼腕


 過去に弱かったという理由でギルドから追放された青年。その後。地下派とつるむ様になり、現在白鬼腕を取得。だが、正義のためではなく、自ら追放したギルドに復讐をする。

 実は彼は商売の街 恵比寿が故郷。

 ただ、実力はそこまでなく、リーゲンに拘束され、奪われてしまった。


 ハント5 高速

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る