優華出生の秘密譚 第三章 休憩の章
優華出生の秘密譚 第三章 休憩の章
ユウキが目を覚ますと、そこは客室だ。
しかもご丁寧に包帯まで巻いてくれていた。
その隣ではぼんやりと眺めるリーゲンがいた。
「よお、どうやら傷が癒えたみたいだな」
「お前がしたのか? さっきまで、おを殺そうとしていたのに……?」
「根に持つなぁ。仕方ねえだろ? テメエが俺の邪魔したんだから?」
ひねくれた顔でリーゲンが言うと、ユウキは首をかしげる。
「目的って、その二人の復活か?」
「ああ」
リーゲンが首を縦に振るうと、ユウキは考えるような顔で言った。
「少し昔を語ろうか。おはお前と同じ、復活させようとしたんだ」
「誰を復活したんだよ」
「おの彼女だ。本当にいい女だったよ。ギルドで共に戦った女だった。だけど、そんなある日。おが見ていない隙にバカな奴に拉致られてね。
おが帰った頃にはひどい殺され方だった。女性としての尊厳を奪われた状態で置かれていた。
だから、おはその犯人たちを殺した。
やつらは言ったよ『たかが、女を殺したくらいで何ムキになっているんだ?! 女なんていくらでもいるだろ?!』ってな。
でも、正直虚しい。だから、あの術でよみがえらせようとした」
「現世帰りの術をか?」
「うん……」
ユウキは語ってくれた。
昔、彼には最愛の彼女がいるのだが、悪徳ギルドの連中に彼女を蹂躙されたことを。
報復すれば、悪徳ギルドの連中は謝罪もない。
だから、完膚なきまで殺した。しかし、彼の心は満たされることもない。
そのために使った秘術。現世帰りの術。彼は藁にも縋る思いで唱えた。
しかし、その結果が彼女そっくりの堕人だ。
だから、彼は彼女そっくりの堕人を殺した。
リーゲンはそれを聞いて、納得する。
「それでお前は秘術を止めたというのか」
「ああ。おと同じことをするな」
思い出した途端。悲観になるユウキ。
それを聞いて、リーゲンは呆れた顔で。
「それを早く言えよ。それなら―――」
リーゲンの言葉にユウキは衝撃を走った。
「なら、ぶち壊すぞ? その秘術!」
「―――いいのか?」
「当り前だ。その話を聞けば、もう復活する気が失せた」
それを聞いて、ユウキは安心する。
すると、戸から狐娘がやってくる。
かなり毒々しい定食だ。
「おい。何だこの飯は……」
「え、とんかつですけど」
「――――」
リーゲンはド肝が抜いた顔で見る。
しかし、ユウキは躊躇いもなく、全部食べた。
狐娘は喜び、リーゲンは焦る。
すると、ユウキはその場でぶっ倒れた。
「「たおれたよ!!!!!」」
二人が青ざめる。すると、ユウキは目が覚める。
「うるさいな。寝てただけだよ」
「―――仕方ない。俺が作るよ」
リーゲンが立ち上がる。狐娘は厨房を案内する。
彼女はある物を作る。
この世界では野菜や肉は魔物たちに食われていない。彼女はカレーを作り始める。
豚肉、カレールー。野菜。ご飯で作り、隠し味に蜂蜜をカレーへ入れる。
三人分のカレーが出来上がり、それを三人で食べる。
「お、おいしい……」
狐娘は感激する。
「大きくうまい!」
ユウキはそれをガツガツ食べる。それにさっき食べたのにまだ食べるとはすごい驚いた。
三人が食べ終わると、狐娘はある物を取り出した。
「みんなで写真撮りましょう」
二人はそれを見て、何も言わなかった。
これは了承の意味だ。狐娘はカメラのタイマーを設定して、真ん中に立った。
カメラが光り、写真が出る。
見事な写真だ。すると、爆破が聞こえた。
リーゲンとユウキが見ると、そこには未練宗の者達が街で大暴れしていた。
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