優華出生の秘密譚 第一章 始まりの章

優華出生の秘密譚 第一章 始まりの章


 その日。リーゲンは客室の布団で全裸で眠っていた。それは懐かしい記憶であった。

 夢は彼女が同じようにベッドから目を起きたところからだ。

 目の前には大量の御飯が置いてあった。

 お母様とお姉さまはともに忙しい。だけど、それでも接してくれる。あの女とは大違いだ。

 ご飯は和食である。

 ネギと卵を既にかきまぜた納豆と御飯やエッグコッケ―で作られた卵焼き。ほうれん草の養分を吸い取ったせいで自分までもほうれん草になったマンドラゴラ〈ほうれん草マンドラゴラ〉で作ったほうれん草のお浸し。

 みそ汁は地上で適応したわかめ〈地わかめ〉と豆腐ゴブリンで作った豆腐の味噌汁。

 雌株を纏った鮭〈メカブ鮭〉を切り離し、味付けたしたメカブと焼き鮭。

 最後に海苔の天ぷらと兎の形をしたリンゴが置いてあった。

 彼女はそれを食べると自然と涙が出る。

 今までこんなものを食べたことないからだ。


 それと同時に彼女は目を覚ました。


「おふくろ……。姉貴……。俺……。二人の料理もっと食べたかった」


 眠りながら片目だけ泣いていたのか。目には大粒の涙を浮かばせていた。左目は全く機能していない。閉じたままだ。

 すぐに専用の装備に着替え、狐耳少女に声掛ける。


「行ってくるよ」

「はい。お気をつけて」


 リーゲンはその場から去った。メインストリートは今日も元気であった。武器を売る。道具を売る。食材を売りだす声。

 どれも良い響きだ。正直リーゲンは羨ましく思っていた。

 しかし、嫌な声が聞こえた。


「お願いです! どうか。私たちのために入信してくれ!!」

「帰ってくれ! これ以上、嫌な思い出を思い出させないでくれ!」

「現実から逃げるな! お前は―――」


 赤いフードを被った者二人が家の者にしつこく入信するようにお願いする。

 そのフードには〈未練宗〉という文字が描かれていた。

 リーゲンは呆れた顔で叩き始める。


「何者だ! 私達は入信……」

「そいつが嫌がっているだろ? 素直に帰れ」


 リーゲンの無表情の威圧する。相手二体はすぐ逃げ出した。


「あ、ありがとう。よかったら、中に入ってくれ」

「いいのか。わかった」


 無表情でリーゲンはその場所尋ねた。

 居間に着くとその男は「お茶とお菓子をお持ちします」と言って、すぐにキッチンへ向かった。

 リーゲンは当たりを見渡した。そこには亡き妻の遺影が飾っていた。


「私の妻です。一年前に亡くなりました」


 茶とお菓子をのせたお盆を持って、男性はそう話した。

 リーゲンはテーブルに差し出した茶とお菓子を食い始める。

 男は勝手に話す。


「先ほどの信者は〈未練宗〉。現世帰りの術を信仰するために布教をしている者達です。やり方はえげつなく、ならず者たちを呼び出して、殺した後に手を差し伸べる奴らです」

「――――」


 鋭くした目でリーゲンはそいつを見る。


「現世帰り? それっと、これか?」

「ああ。そうです。それです」

「本当に人がよみがえるのか?」

「噂ですが……」

「―――――」


 リーゲンは男の話に考える。この男の話が本当であるなら今も死人が生き返っている話だ。

 死人が生き返る。それなら、あの二人も復活できるはずだ。

 リーゲンはそう考える。

 一方その頃。例の未練宗が住んでいる教会では。


「――――――」


 信者たちが呪文を唱える。魔方陣の真ん中に遺物が置いてあった。仮面を被った女性が唱える。


「『我は求める黄泉の泉よ。我と合わせる者に会し、再びそのものに命を与えたよ、そしてその人間にもう一度再誕を!!』」


 女性は唱え終わると、遺物が黒い穴へ入り込った。代わりにそこに信者が求めていた者が現れた。


「あー」


 ゾンビとは違う何かがいた。

 信者の一人が大きく喜ぶ。

 仮面を被った女性はこういった。


「『愛しなさい。そして、わが眷属となれ』」

「は!」


 とある信者は頭を下げる。しかし、信者はどれも顔色が悪かった。まるでゾンビだ。

 すると、信者の一人がある物を捕らえる。


「捕まえてきました! こいつ娘を亡くしたのに、生き返らせないでくれとほざいたので、ボコして、子供の遺物を持ってきました」

「『よろしい。なら、現世帰りの術』で蘇らせましょう」


 教祖はそういうが、男は喉を潰され、喋れないだろう。首を横に振るうが相手は聞く耳持たず。

 すぐに儀式を開始する。だが、出てきたのは不完全な人間体。

 男性は発狂すると同時にその娘だった者をやりまくった。


「『そうじゃ! 人間は欲に忠実になるのだ』」


 教祖はその光景を愉税に楽しみ始める。さらに教祖はベルを鳴らして、左右の扉を開けさせた。

 そこには信者とゾンビと化した女性たちが全裸の状態で連れて行った。

 信者たちは一斉に襲い掛かった。

 楽しみ終わると、教祖は仮面を外す。

 その顔は骸であった。頭蓋骨の口を大きく開けて、女性たちの魂を吸い取る。

 何もかもあきらめた女性の魂は格別だ。本気でうまいし、力も漲る。


「『そいつらの指を切り落とせ、そしたら木偶人形にはできるだろう』」

「は!」


 信じられないことが起きた。そう、こいつは最初からいい宗教ではない。

 ただのカルト宗教だ。再び教祖は詠唱して、廃人と化した女ゾンビを蘇らせた。

 一方リーゲンは屋敷の客室で眠っていたが、住民の声が聞こえた。


「盗人だ!! 人さらいだ!!」

「―――」


 目を覚まして、リーゲンはすぐに立ち上がり【能力再構築 黒紅悪龍腕・武器創生】で大鎌を作り、すぐに屋敷から出た。

 でかいハイエースが通っていた。すぐにリーゲンは【能力再構築 ブースター】を発動。

 リーゲンの両太腿から骨が高速に浮き出て、変形。そのままブースターとして、飛んでいった。

 敢えて泳がせてから、加熱した黒い異形な機械大鎌でタイヤを切って、横転。

 その中から相手が出てくる。

 赤いフードを纏った信者と人質として、男性を連れて行く。

 多分攻撃したら、男を殺すつもりだ。しかし、リーゲンは問答無用に加熱した黒い機械大鎌で信者たちの脚を切り付け、大炎上する。

 人質を使った信者は逃げようとするが、背後から誰かが切り付けた。

 その男は骸骨の仮面をつけたスキンヘッドの男性。両腕は優華同様の黒赤の腕をしていた。

 しかし、増援たちが三人現れるけど、男の異形化した両手の爪は刃物と化して、相手を高速で切り付ける。

 相手の体は毒で蝕まれ、体が壊死。そして、その場で死んでしまった。

 人質になった男性は恐れたのか。すぐに逃げた。

 刃物と化した爪は元に戻り、仮面の男はリーゲンを見る。


「お前。悲惨な運命を歩んだな? おにはわかる。おは何でも分かってしまう。

 お前。最愛の人を二人亡くしただろ?」

「な、どうしてそれを?」

「お前の感情を見て、分かった。お前は復讐のために戦っているが、目的が終わって、今では悪人たちを葬っている。おはそう感じる」

「―――。まずお前は誰だ?」

「おか? おの名はユウキ。〈織田 ユウキ〉である」


 その言葉にリーゲンは驚愕する。そう、この者は優華と同じ苗字であるからだ。


 世界図鑑


 現世帰りの術


 詠唱は『我は求める黄泉の泉よ。我と合わせる者に会し、再びそのものに命を与えたよ、そしてその人間にもう一度再誕を!!』

 物や体の一部を代償にして使えば、そいつを生き返らせれるが、ゾンビに近い状態で復活する。

 成功したとしても、いつか自我が壊れる可能性もある。


 人物図鑑


 教祖


 女性であるが、もう生きた人間ではない。仮面を被っており、廃人と化した女の生気を吸い上げて、現世帰りの術を使って、再利用している。


 信者


 女教祖の考えが正しいと思い、間違いに気づかない狂信者。

 実は女をやりたい思いで入った者達ばかりである。

 そのためには罪のない女性を捕らえ、亡くなった者達の心を漬け込んで、拉致することもある。

 

 織田 ユウキ 男性 属性 闇


 リーゲンの前に現れ、突然来たスキンヘッドのドクロの仮面をつけた男性。その仮面の口は開けることができる。

 両腕は優華同様赤黒の腕をしており、爪を刃物と化して、相手を斬り裂くことができる、

 その刃には猛毒があり、斬られたら最後、細胞が壊死して、腐ってしまう。

 一人称は「お」という変わっており、他人の内側の感情が分かるのか。言い当てることがある。

 


 魔物図鑑


 ほうれん草マンドラゴラ 食産種 属性 地


 ほうれん草の養分を吸ったことで自分までもほうれん草になった。とてもうまいが叫ばれたら最後。


 メカブ鮭 食産種 属性 水


 メカブをたくさん食べたことで鱗からメカブが生えた鮭。切り離して、調理すれば二つおいしく頂ける。


 次回 対立と和解の章

 

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