第34話 勝利からの逆算のイメージ

 歴史的な第1回タイ版「甲子園大会」の出場校が出そろった。中学生のチームはコンケーン県の1校、日本人学校、インターナショナルスクールに、ナコンシータンマラート県体育学校の4校、高校生のチームは、スパーンブリー県体育学校、コンケーン県のチーム、ロッブリー県のチーム、ラームカムヘン大学、ラパチャ専門学校、インターナショナルスクール6校になったとタイ野球連盟から書面による連絡があった。

 ちなみに2023年の日本の第105回全国高校野球選手権記念大会の出場校は3486(3744)校であった。第85回大会の4163校をピークに19年連続で出場校が減少している。日本の状況についての詳細の分析はここでは省略させていただく。

 さて、歴史的な大会の1週間前、ヌを新キャプテンに新体制となり、しまった雰囲気の中で練習は続いた。バンコクに移動する前日の練習まで、調整というよりは通常と変わらない練習を続けた。

 1年生は校内で学習ができることから15時から1年生だけの特別練習、16時過ぎから上級生も入っての全体練習を丁寧に行った。バッティング練習では1年生も強い打球を外野へ飛ばすようになった。

 守備練習では自信なさそうに守る選手が多かった。中でもいつもは元気なオイが気持ちの入っていないプレーを続けたので、ポーンから厳しめな話をしているところへ2、3年生が集まってきた。

 気を取り直して紅白戦、2軍チームには真がピッチャー、ポーンがキャッチャーとバッテリーを組み本気モードで挑んだが、1、3塁の場面で、3塁ランナーのメーオが1塁への牽制のすきにホームへ突っ込み1点をもぎ取った。この姿勢を大いにほめて全ての練習を終えた。

 できることは全てやり切ったので、あとは彼らが伸び伸びと今まで積み上げてきたものを、全て出すことができれば結果は自ずとついてくると真は確信していた。2023年のWBCで世界一を奪い返した栗山監督は、試合を振り返ってあの勝利は全て計算しつくされたイメージどおりの結果だったという趣旨の話をしていた。優勝から逆算で戦うイメージが全てできあがっていたそうだ。

 次元は違うかもしれないが、真の中でも中学校の部ではインターナショナルスクール、日本人学校を破ってナコンシータンマラート県体育学校が、高校の部ではインターナショナルスクールを破ってスパーンブリー県体育学校が、アベック優勝を飾る以外のイメージはなかったのであった。

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