余命宣告を受け、卑屈に生きる主人公。
彼には〝プロのライダーになりたい〟という夢があった――。
そんな前提で始まる、三千字以下の切ない短編物語です。
もし自分が主人公と同じ境遇にあったら、おそらく彼と同じように絶望していただろうと思うし、他者に対しても身構えて卑屈になってしまうだろうなと、考えさせられながら読み進めました。
端々に滲む絶望や哀愁(冷たくなったコーヒーの切なさよ…)に胸を痛める中、ふいに出会う老婆の存在が非常に印象的で、結末は切なく悲しいものではありましたが、主人公の心情を思えば、せめて最後に心が救われて良かったのかな…と、彼が下した最後の選択に、とても胸を打たれました。
主人公のラスト・ライド、とても格好良かったです。
素敵なお話をありがとうございました!