子どもの輝き(創作話ではありません)
子どもの頃、親って何でも出来るように思いませんでしたか?
東雲の母はどちらかというとおとなしい人で、何かあるとポロッと涙がこぼれてしまうような人です。兄が小さい時は専業主婦、私が小さい時はパートをしながら六人分の家の家事をほとんどしていました。
母はお硬い県民性の出身で、なおかつあまり裕福でない農家で目が悪い祖母を抱えた家で育ったのでとにかく辛抱強い。
上の人の言うことをハイハイ、と聞いて出しゃばらない人です。
六人も家族がいて、嫁姑問題で揉めず(多少はあったとは思いますが)うまく家族が回っていたのは母の辛抱強さのおかげと私は思っています。
母は自己肯定感のあまり高くない人で、顔は可愛くないし、何にもできないし、気は弱いし……とよく言っていて、代わりに「晴加は明るいし、何でもできてすごいね~」とよく言ってくれました。
私は運動は得意でないし、勉強も普通。正義感だけは強くて人前に出ることも嫌では無かったけれど、顔も十人並み、なんなら小学校高学年時には太っていました(あ、今もですけど)。
なのに母が「可愛い、可愛い。お母さんから見たら晴加は可愛い」と言うものだから自己肯定感は瀑上がり(笑)いや、十人並みなことは理解してましたよ?(笑)でもお母さんがこう言ってくれてるんだから、他人がどう思おうがいいや。と思えました。
私は自分よりよっぽど母の顔の方が可愛いと思えたし、何より優しくていつも私を否定せず話を聞いてくれるのが嬉しくて。朝早くから家族分の弁当を作り、朝食を作り、仕事してまた夕飯を作って、誰よりも遅く寝る……自分の時間なんて無いのに「勉強しろ!」だとかも言われたことがなくて、中学時に周りがみんな反抗期で、親のことを『ばばぁ』とか言っているのが苦しく、「親は勉強しろだとか口うるさくて嫌いだ」と皆いうのに私は言われたことがない。
一度母に何故勉強しろって言わないの? と聞いたら「え? 晴加はお母さんが言わなくてもちゃんとやってるんでしょ? 頑張ってる子にそんな事言わなくても大丈夫よ」と笑顔で返ってきて、当時言うほど勉強してなかった私は焦って母の信頼を失いたくなくて勉強しました(笑)
なんにも特技がないという母でしたが、レストランで食べた料理を家で再現してくれたり、裁縫が得意で頼んだものを作ってくれたり、なにより友達に「晴加ちゃんのお母さんって優しそう、いいなー」とよく言われることが嬉しくて、私も「本当にそう思う! ウチのお母さん優しいねん!」と内心得意に思っていました。
私の中では『お母さんにしたいナンバーワン』。
私もいつか母のようなお母さんになりたい! と思っていました。
「お母さんって何でもできてすごいなぁ」というと「そんな事言うの晴加だけよ、私はなーんもできないわ。私は貴女のそのキラキラした感じが眩しいわ」といつも苦笑していた中学時代。
今、自分が親になり、母よ、あなたはやはり偉大だった……と思うのです。
時代も違いますけれど、あんなに自分の時間を削って家族の幸せのために働けない(笑)
ウンウンと聞いてくれた話をしている最中忙しかったろうに……、外食もいかず、旅行に行っても夕方までには帰らねばと旅行最終日には四時には帰宅して夕飯は家で。
とても真似できん(笑)
私は母と違い裁縫は大の苦手。デザインはするけれど作るのは祖母(母)に丸投げ。料理は好きだけれど母のように全部家でということはできず、惣菜も冷食も外食もします!(笑)家事も適当だし。
母の真面目で質素な生活を思い、たまに比べてトホホ、自堕落……と思うのですが、ここで面白いのが最近娘(SANA)が「お母さんって何でもできてすごいよねぇ!」と言うのです(笑)
……どこかで聞いたセリフだ(笑)
子ども時代の私と同じテンションで言うものだからデジャブ。
母に習い、私も子ども達には自己肯定感が上がるように厳しくも「すごい! 上手! 可愛い!」を多用して(笑)子育てしてきたつもりなのですが、何故か娘は自己肯定感低め。
私から見たら発表上手だし、スタイルなんかは断然私より良くて、ネットで小説書いちゃったりしてすごいなと思うのですが、心底「お母さんはすごい」と褒めてくる。
ああ、母って凄く見えるんだなぁ……と幼き日の自分を見てるみたいでなんだか感慨深いものがありました。
私は最近、あんなに得意だった歌の歌詞を覚えることもすんなりいかなくなり、娘は隣でするーっと覚えていく。絵も驚異的な速さで上達していくし、文章にしたっておかしなところもありますけれど(それは経験から来ることなのでしかたなし)、私が読んでても「この表現いいな……!!?」とか「こんな表現いつのまに??」と思うことも多く、その才能にぐぬぬ……となっています。
うまい表現の元は読んだ本をベースに素敵! と思った物を流用したりしているのでしょうが、ちゃんと自分の物語に落とし込んで適切な場所で使えるってところが最早すごい。
ああー子どもって凄いなーキラキラしてるなー本当にキラキ……はっ!
こ、これも母が言ってたやつ……!!
時代ってやつは、こうやって繰り返すのですね。
当時の母も思っていたでしょうが、「いや、オカン本当に大した事ないただの人やねん(笑)」と思いつつ、でも娘にそう言って貰えるのは嬉し恥ずかしい。
でも君の光る原石がもっと輝きますように! と私もやはり母に習い、子ども達に頑張ってるよ~! すごいなー! 可愛いぞぉ~! と言い続けてもっともっとピカピカしていってくれたらと思います。
……しかし、娘のために物語を書き始めたのに、最早彼女はライバルになりつつあります。というか押し上げてくる感じが怖いっ!……精進しなければ~💦
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