量子力学で年末の忙しさを何とかしたい!
kayako
※今年(2023年)の12月23日は土曜で助かった
「年末って忙しいよね」
「何だ、藪から棒に」
それは同僚の
確かにこの年末、ブラック企業で働く俺たちはあまりに忙しい。俺も竹輪も3日寝てない。
「ただでさえ仕事が大変な上に、クリスマスに大晦日に正月って立て続けに重なってさ。酷いと思わない?」
「こればっかりはしょうがないだろ」
「そこで、僕は考えたんだ。年末年始がめっちゃ楽になる方法を!」
「何だそれ」
何故かガッツポーズをとる竹輪。
「よくぞ聞いてくれました~
量子力学で、1年を13か月にするのさ!」
竹輪は完全に深夜テンションだ。しかしその目のクマは既にパンダの如く。
「いや、待て。おかしい。
お前、量子力学の意味分かってるか?」
「知らない。でも、ビームサーベルができるんでしょ?」
「らしいけど」
「だったら1年を13か月にすることだってできるんじゃない?」
「だからおかしいって。
そもそも量子力学ってのは、相対性理論と共に現代物理学の基礎となる理論であって……」
「でも、応用すれば壁をすり抜けることだって出来るんでしょ?
壁は粒子で出来ていて、その粒子の状態によっては人が壁を抜けることも出来るんだって」
「だからって、1年を13か月になんてことは……」
「出来るんじゃない?
状態によっては、12月が二つに分裂することだってありうるわけだ」
「マジで一度寝た方がいいな。俺も、お前も」
「でも、見てごらんよ。
今僕が量子力学を使ったおかげで、ほら!」
デスクの隅を指さす竹輪。
そこにはいつもどおり、12月のカレンダーがあった――
25日にクリスマスと書かれている。しかし、31日がおかしい。
「お……
大晦日の文字が、消えているだと!?」
「うまくいったぜ!
これで今年は年末まで、まだあと1か月以上あるよ。
年末までの締切も大幅延長だ~!」
俺は恐る恐るカレンダーをめくってみる。
12月の次は1月のはず……だったが
「じゅ……13月……だと……」
「13月31日が大晦日。その次が元旦。
いや~楽だね! クリスマスと正月が重ならないって!」
得意げな竹輪。
しかし俺は、13月のカレンダーに何やら見慣れないものを見つけた。
「なぁ。この、13月25日にあるシャッポホレテフ祭って何だ」
「え?」
「分からんなら調べるぞ。ええと……
ウィコペディアによると、南国発祥の奇祭。
上司全員の家を訪問し、一緒にドリアンを食すんだとさ」
「ゲ」
一気に真っ青になる竹輪。
「しかも上司の喜ぶコスプレ必須。さらに祭は大晦日まで継続らしい」
「ヒィイ!
な、何でそんな祭がいきなり日本に!?」
「ドリアン会社の陰謀だろ。
何にもない月には行事を入れたがるもんなんだよ、この国って」
「嫌だー! クリスマスの方がよっぽどマシだぁー!」
そこで目が覚めた。
目の前のカレンダーは相変わらず、12月31日に大晦日と書かれている。良かった。
量子力学で年末の忙しさを何とかしたい! kayako @kayako001
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